環境保全型農業レポート > No.199 EUにおけるバイオガス生産の現状と規制の現状
記事一覧
  • No.219 日本農業のエネルギー消費構造 12/12/17
  • No.218 アメリカの有機農業者への金銭的直接支援の概要 12/12/16
  • No 217 道路に近い市街地で栽培された野菜の重金属濃度 12/11/26
  • No.216 未熟堆肥は作物の土壌からの重金属吸収を促進する? 12/11/25
  • No.215 全米有機プログラム(NOP)規則ハンドブック2012年版 12/11/24
  • No.214 ソイル・アソシエーションの有機施設栽培基準 12/10/26
  • No.213 イギリスではポリトンネルが禁止に? 12/10/25
  • No.212 EUの有機農業における家畜飼養密度と家畜ふん尿施用量の上限 12/09/24
  • No.211 有機と慣行農業による収量差をもたらしている要因 12/09/23
  • No.210 EU加盟国の有機農業に対する公的支援の概要 12/08/24
  • No.209 窒素安定同位体比は有機農産物の判別に使えるのか 12/07/20
  • No.208 デンマーク農業における窒素・リンの余剰量の削減 12/07/19
  • No.207 有機農業の理念と現実 12/07/02
  • No.206 EUが有機農業規則の問題点を点検 12/07/01
  • No.205 イングランドの農業者は持続可能な土壌管理の知識を十分持っているか 12/06/05
  • No.204 バイオ素材をベースにしたプラスチックの持続可能性評価 12/06/04
  • No.203 OECD加盟国における水質汚染 12/05/08
  • No.202 ヨーロッパの河川における水質汚染の動向 12/05/07
  • No.201 有機農産物の日本農林規格が改正 12/03/31
  • No.200 薬用石鹸成分,トリクロサンの生物への影響 12/03/30
  • No.199 EUにおけるバイオガス生産の現状と規制の現状 12/03/06
  • No.198 トウモロコシのエタノール蒸留粕の飼料価値と飼料供給に与える影響 12/03/05
  • No.197 コスト効果の高い余剰窒素削減政策は何か 12/02/01
  • No.196 世界の食料生産のための農地と水資源の現状と課題 12/01/31
  • No.195 福島県の農林地除染基本方針とその問題点 11/12/19
  • No.194 アメリカの養豚 ふん尿管理の動向 11/12/18
  • No.193 IAEA調査団(2011年10月)の最終報告書 11/11/24
  • No.192 岡山・香川両県から瀬戸内海への窒素とリンの負荷量 11/11/23
  • No.191 IAEA調査団(2011年10月)の予備報告書 11/10/31
  • No.190 放射能汚染事故時に如何に対処すべきか 11/10/12
  • No.189 農林水産省が農地土壌除染技術の成果を公表 11/10/11
  • No.188 アメリカの有機と慣行のリンゴ生産 11/09/20
  • No.187 有機JAS以外の有機農業の実態調査結果 11/08/22
  • No.186 カドミウム関係法律の改正とコメの濃度低減指針 11/08/21
  • No.185 イギリスが国土の生態系サービスを評価 11/08/20
  • No.184 西ヨーロッパと他国の農業生物多様性の概念の違い 11/07/21
  • No.183 中央農研が総合的雑草管理マニュアルを刊行 11/07/20
  • No.182 ビニールハウスは放射能をどの程度防げるのか 11/07/19
  • No.181 大気からの放射性核種の作物体沈着 11/06/13
  • No.180 放射性汚染土壌を下層に埋設する表層埋没プラウ 11/06/06
  • No.179 チェルノブイリ原子力発電所事故20年後のIAEA報告書 11/05/20
  • No.178 農薬の使用状況と残留状況調査の結果(国内産農産物) 11/04/19
  • No.177 キャッチクロップ導入と硝酸溶脱軽減効果 11/04/18
  • No.176 イギリスが世界の食料・農業の将来展望を刊行 11/04/17
  • No.175 2011年度から環境保全型農業実践者に支援金を直接支払い 11/03/28
  • No.174 経済不況は割高な環境保全農産物需要を抑制するのか 11/02/26
  • No.173 施設ギク農家の肥料投入行動とその技術的意識 11/02/25
  • No.172 世界の有機農業の現状(2) 11/01/14
  • No.171 OECDが日本の環境パフォーマンスをレビュー 11/01/13
  • No.170 有機JAS規格の改正論議が進行 10/12/23
  • No.169 都市農業は地下水の硝酸性窒素汚染を起こしていないか 10/12/22
  • No.168 アメリカで不耕起栽培が拡大中 10/12/21
  • No.167 アメリカが有機農業ハンドブック2010年秋版を刊行 10/12/03
  • No.166 EUが土壌生物多様性に関する報告書の第二弾を刊行 10/12/02
  • No.165 春先に深刻な農地の風食とその抑制策 10/11/04
  • No.164 家畜ふん堆肥製造過程での悪臭低減と窒素付加堆肥の製造 10/11/03
  • No.163 固液分離装置を用いた塩類濃度の低い乳牛ふん堆肥の製造 10/09/14
  • No.162 アジアではリン肥料の利用効率が低い 10/09/13
  • No.161 EUでは農地を良好な状態に保つのが直接支払の条件 10/08/26
  • No.160 OECD加盟国の農業環境問題に対する政策手法 10/08/25
  • No.159 ダイズ栽培輪換畑土壌の窒素肥沃度維持技術 10/07/20
  • No.158 アメリカが飼料への抗生物質添加禁止に動き出す 10/07/19
  • No.157 有機質肥料による養液栽培 10/06/22
  • No.156 EUが土壌生物の多様性に関する報告書を刊行 10/06/21
  • No.155 EUで土壌指令成立のめどたたず 10/06/20
  • No.154 全国の農耕地土壌図をインターネットで公開 10/05/27
  • No.153 EUのCAPに関する世論調査結果 10/05/26
  • No.152 農林水産省がGAPの共通基盤ガイドラインを策定 10/05/06
  • No.151 イギリスの有機質資材の施用実態 10/05/05
  • No.150 EUの第4回硝酸指令実施報告書 10/03/29
  • No.149 有機栽培水稲のLCAの試み 10/03/28
  • No.148 アメリカの有機食品の生産・販売・消費における最近の課題 10/03/04
  • No.147 アメリカの家畜ふん尿の状況 10/03/03
  • No.146 IPMを優先させたEUの農薬使用の枠組指令 10/02/01
  • No.145 甘い日本の農地への養分投入規制 10/01/31
  • No.144 欧米における農地へのリン投入規制の事例 09/12/28
  • No.143 米国が土壌くん蒸剤の安全使用強化に動き出す 09/12/27
  • No.142 英国の企業等の環境法令遵守支援ツール 09/11/28
  • No.141 米国が農薬ドリフト削減のためのラベル表示変更検討 09/11/27
  • No.140 農水省が米国有機農業法に基づく国内認証機関認定へ 09/10/31
  • No.139 家畜ふん堆肥窒素の新しい肥効評価方法 09/10/30
  • No.138 バイオ燃料作物の生産にどれだけの水が必要か 09/09/30
  • No.137 有機と慣行の農畜産物の栄養物含量に差はない 09/09/29
  • No.136 日本の輸入食品の残留動物用医薬品の概要 09/08/27
  • No.135 日本が輸入した農産物中の残留農薬の概要 09/08/26
  • No.134 日本の輸入食品監視統計の概要 09/08/25
  • No.133 アメリカ農務省が中国輸入食品の安全性を分析 09/08/24
  • No.132 黒ボク土のpHと可給態リン酸上昇が外来雑草を助長 09/08/03
  • No.131 施肥改善に対する意欲が不鮮明 09/08/02
  • No.130 イギリスが農業用資材に含まれる園芸用ピートを明確に表示するよう指示 09/06/26
  • No.129 国内でのナタネ栽培とバイオディーゼル生産の環境保全的意義は? 09/06/25
  • No.128 土壌の炭素ストックを高める農地の管理方法 09/05/26
  • No.127 意外に事故の多い石灰イオウ合剤 09/05/25
  • No.126 食品のカドミウム新基準値設定の動き 09/04/17
  • No.125 EUの水に関する世論調査 09/04/16
  • No.124 アメリカはエタノール蒸留穀物残渣の利用を研究 09/03/03
  • No.123 石灰質資材添加で家畜ふん堆肥の電気伝導度を下げる 09/03/02
  • No.122 イングランドが土・水・大気の優良農業規範を改正 09/02/17
  • No.121 イングランドが硝酸汚染防止規則を施行 09/02/16
  • No.120 カドミウム濃度の低い玄米とナスを生産する新技術 09/01/19
  • No.119 日本農業のエネルギー効率は先進国で最低クラス 09/01/18
  • No.118 家畜排泄物の利用促進を図る都道府県計画 08/12/12
  • No.117 鶏ふんのエネルギー利用とリンの回収 08/12/11
  • No.116 イギリスで農地系の野鳥が引き続き減少 08/11/26
  • No.115 世界の農業普及の流れ 08/11/25
  • No.114 OECDの指標でみた先進国農業の環境パフォーマンス 08/10/16
  • No.113 養豚場を除く畜産事業場からの排水規制が強化 08/10/15
  • No.112 望まれるリンの循環利用 08/09/16
  • No.111 人工衛星画像を利用した新しい世界の土地劣化情報 08/09/15
  • No.110 イギリス(イングランド)が自国の硝酸指令を強化 08/08/13
  • No.109 OECDがバイオ燃料の過熱に警鐘 08/08/12
  • No.108 農林水産省が8作物のIPM実践指標モデルを公表 08/08/11
  • No.107 「土壌管理のあり方に関する意見交換会」報告書 08/07/19
  • No.106 EU環境総局が土壌と気候変動に関する会合を主宰 08/07/18
  • No.105 EUとアメリカの農業環境政策の違い 08/07/17
  • No.104 超強力な生分解性プラスチック分解菌 08/06/03
  • No.103 ダイズの作付頻度を高めると土壌が硬くなる 08/06/02
  • No.102 農業がミシシッピー川の水と炭素の排出量を増やした 08/04/06
  • No.101 日本も農地土壌の炭素貯留機能を考慮 08/04/05
  • No.100 「今後の環境保全型農業に関する検討会」報告書 08/04/04
  • No.99 茨城県の「エコ農業茨城」構想 08/03/06
  • No.98 EUの生物多様性に関する世論調査 08/03/05
  • No.97 EUで土壌保護戦略指令案が合意に至らず 08/01/18
  • No.96 八郎潟を指定湖沼に追加 08/01/17
  • No.95 イギリスの下水汚泥の土壌影響に関する研究報告書 08/01/16
  • No.94 低濃度エタノールを用いた新しい土壌消毒法 07/12/19
  • No.93 飼料イネへの家畜ふん堆肥施用上の問題点 07/12/18
  • No.92 環境保全型農業に関する意識・意向調査結果 07/11/08
  • No.91 バイオ燃料製造拡大が農産物価格と環境に及ぼす影響 07/11/07
  • No.90 減農薬からIPMへ 07/10/11
  • No.89 中国における農業環境問題 07/10/10
  • No.88 ユーレップギャップがグローバルギャップに改称 07/10/09
  • No.87 超臨界水処理による家畜ふん尿のエネルギー利用技術 07/09/14
  • No.86 有機農業用家畜ふん堆肥の品質基準の必要性 07/09/04
  • No.85 気候緩和評価モデル 07/09/03
  • No.84 EUの第3回硝酸指令実施報告書 07/07/23
  • No.83 まだ続く土壌残留ディルドリンの作物吸収 07/05/31
  • No.82 EUREPGAP(ユーレップギャップ)の概要 07/05/30
  • No.81 農林水産省が基礎GAPを公表 07/04/28
  • No.80 抗生物質の代わりに茶葉で豚を飼育 07/04/27
  • No.79 MPSの環境にやさしい花の生産が日本でも開始 07/04/26
  • No.78 畜産事業所からの排水基準 07/04/25
  • No.77 日本での井戸水が原因の新生児メトヘモグロビン血症事例 07/03/26
  • No.76 有機農業の推進に関する基本的な方針(案) 07/03/25
  • No.75 家畜排泄物の利用の促進を図るための基本方針案 07/03/24
  • No.74 EUのLCAに基づいた環境政策 07/03/23
  • No.73 硝酸は人間に有毒ではない!? 07/02/15
  • No.72 形だけの農林水産省環境報告書2006 07/01/20
  • No.71 2005年度地下水の硝酸汚染の概要 07/01/19
  • No.70 「持続性の高い農業生産方式」の追加案 07/01/18
  • No.69 EUの環境および農業に関する世論調査結果 07/01/17
  • No.68 有機農業推進法が成立 06/12/17
  • No.67 野菜畑と河川底性動物との関係 06/12/16
  • No.66 EUの統合環境地理情報データベース 06/12/15
  • No.65 特別栽培農産物ガイドラインの一部改正案 06/12/14
  • No.64 亜鉛の排水基準が改正 06/12/13
  • No.63 コシヒカリへの地力窒素発現量予測 06/11/30
  • No.62 EUが農薬使用に関する戦略を提案 06/11/23
  • No.61 化学肥料の硝安も爆発物の材料 06/11/22
  • No.60 EUが「土壌保護戦略指令案」を提案 06/10/13
  • No.59 国内未登録除草剤残留牛ふん堆肥による障害 06/10/12
  • No.58 高塩類・高ECの家畜ふん堆肥への疑問 06/10/11
  • No.57 水稲有機農業の経済的な成立条件 06/10/10
  • No.56 キャベツおよびカンキツのIPM実践指標モデル案 06/09/10
  • No.55 環境にやさしいバラの生産技術 06/09/09
  • No.54 対象範囲の狭い「農地・水・環境保全向上対策」 06/08/12
  • No.53 朝取りホウレンソウは硝酸含量が高い 06/08/11
  • No.52 イギリスの食品保証制度 06/08/10
  • No.51 イギリスの葉菜類の硝酸含量調査結果 06/08/09
  • No.50 食品のカドミウム規制に終止符! 06/07/14
  • No.49 日射制御型拍動自動灌水装置の開発 06/07/13
  • No.48 EUでは農業が水質汚染の主因 06/07/12
  • No.47 花き生産における国際環境認証プログラム:MPS 06/06/15
  • No.46 アメリカ 耕地からの土壌侵食の実態 06/06/14
  • No.45 コンニャク根腐病対策の新展開 06/06/13
  • No.44 ヘアリーベッチ栽培に補助金を交付 06/05/11
  • No.43 亜鉛の基準に関する動き 06/05/10
  • No.42 食品中カドミウムの国際基準案最終段階 06/05/09
  • No.41 長崎県版GAP(適正農業規範) 06/04/06
  • No.40 イギリスの農薬使用規範 06/04/05
  • No.39 成分表示と消費者の価格許容調査 06/03/15
  • No.38 環境保全に関する意識・意向調査結果 06/03/14
  • No.37 福島県の「環境にやさしい農業」 06/02/27
  • No.36 流出水への監視強化へ 06/02/26
  • No.35 持続農業法施行規則の一部改正 06/02/25
  • No.34 欧州の水系汚染対策 06/02/24
  • No.33 家畜ふん堆肥施用量計算ソフト 06/01/19
  • No.32 JAS規格が一部改正 06/01/18
  • No.31 残留農薬ポジティブリスト制度の導入 06/01/17
  • No.30 EUの農業環境支払事務の会計監査 05/11/29
  • No.29 有機畜産関連の日本農林規格告知 05/11/28
  • No.28 牛ふん堆肥によるコシヒカリ栽培技術 05/11/08
  • No.27 福岡県「農の恵み事業」 05/11/07
  • No.26 フードチェーン・アプローチ 05/09/23
  • No.25 輪換畑ダイズ収量低下の原因 05/09/22
  • No.24 有機農業に対する政府の取組姿勢 05/09/21
  • No.23 定植前リン酸苗施用法 05/08/31
  • No.22 輸入蓄養マグロのダイオキシン類濃度 05/08/30
  • No.21 フード・マイル計算の難しさ 05/08/29
  • No.20 続・コメのカドミウム基準情報 05/07/26
  • No.19 殺菌剤耐性いもち病菌の出現 05/07/25
  • No.18 総合的病害虫・雑草管理(IPM)実践指針案 05/07/23
  • No.17 精米カドミウム含量の動向 05/05/19
  • No.16 家畜ふん堆肥中の抗生物質耐性菌 05/05/18
  • No.15 水田の汚濁物質排出量 05/05/17
  • No.14 北海道「遺伝子組換え」条例 05/04/21
  • No.13 北海道「食の安全・安心条例」 05/04/20
  • No.12 「農業生産活動規範」とは 05/04/19
  • No.11 湖沼の水質保全はどうなる 05/04/18
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  • No.199 EUにおけるバイオガス生産の現状と規制の現状

    ●バイオガスとは

     有機物であるバイオマス資源を酸素のない嫌気的条件で微生物に分解させ,生じた有機酸や二酸化炭素を使って,メタン生成細菌が,単純化していえば,二酸化炭素(CO2)を水素(H2)で還元する形でメタン(CH4)を生成する。このとき,回収されるメタンを主成分とする可燃性ガスがバイオガスと呼ばれており,メタン60〜70%,二酸化炭素30〜40%,その他微量の窒素ガス,酸素ガス,硫化水素などを含んでいる。

    ●EUにおけるバイオガス生産

     欧米の家畜生産では,牛や豚のふん尿をスラリーとして貯留しており,これを直接農地に養分源として施用している。このとき,土壌注入すればかなり減少するが,土壌表面施用では,悪臭やアンモニアの大気揮散などの環境問題が生じている。最近では,スラリーをエネルギー源としても活用するために,嫌気的条件で微生物分解(嫌気消化)させて,バイオガスを生成させ,そのガスから熱や電力をえて,残渣をそのままか堆肥化させて農地に還元することが増加してきている。しかし,家畜ふん尿からのバイオガス生産にはいろいろな問題がある。

     欧米における嫌気消化の現状と問題点を,イギリスの有機農業団体の土壌協会(Soil Association)などが,民間調査企業に委託して行なわれた調査の次の報告書から,その一端を紹介する。

    JS Lewis Ltd (2011) Final Report to the Soil Association and World Society for the Protection of Animals. Anaerobic Digestion Study. 32p.

    A.デンマーク:家畜ふん尿からのバイオガス生産

     EUのなかで,家畜ふん尿からのバイオガス生産を活発に行なっている国は,デンマークとオランダである。メタン発生源になる有機物は炭素化合物である。家畜ふん尿では,家畜が飼料を消化して,有機物中の炭素化合物のかなりの部分をエネルギー源や細胞成分合成のための炭素源として利用している。そのため,ふん尿としての排泄物中の炭素化合物量が減少してしまっている。作物茎葉をそのまま原料にするのに比べると,家畜ふん尿を原料にした場合には,メタン発生源になる炭素化合物が大幅に減少してしまっているのである。調査報告書に引用されている図によると,有機物原料1トン当たりのバイオガスの標準的生成量は,青刈りトウモロコシサイレージで205 m3,牧草茎葉で185 m3,コムギ茎葉で170 m3なのに対して,豚ふん尿で74 m3,家禽ふんで56 m3,牛ふん尿で36 m3にすぎない。

     デンマークは主に,乳牛と豚のスラリーを農場から集めて処理する,集中型バイオガスプラントを1980年代から開始している。国は,この集中型バイオガスプラントに補助金を支給し,プラントは農業協同組合ないし自治体が所有している。このため,デンマークでは家畜ふん尿がバイオガスプラントの原料の80%を占め,2010年時点でのバイオガス生産量は,原油相当量のエネルギー量で7万3千トンである。デンマークの集中システムでは,バイオガスを熱電併給ユニットに供給して,バイオガスプラントの運転に必要な熱と電力を利用すると同時に,余った熱や電力を地域に供給している。

     しかし,家畜ふん尿はバイオガス生産のための基質としては,植物体そのものよりも劣るために,家畜ふん尿を原料にしたバイオガスプラントの生産能力は低く,多くのプラントは深刻な資金問題を抱え,家畜ふん尿だけに依存している限り,集中バイオガスプラントが経済的に活力を持てるのは不可能であると指摘されている。そして,集中システムでなく,農場単独の小規模システムだと,家畜ふん尿だけのシステムのガス生産レベルは期待するよりもはるかに低いことが確認されている。

    B.ドイツ:エネルギー作物からのバイオガス生産

     これに対してドイツは,2010年時点でバイオガスを原油相当量のエネルギー量で356万1千トンも生産して(デンマークの49倍)おり,EUで断然トップの位置にある。ドイツでは,生産効率の低い家畜ふん尿を原料として利用するのを放棄し,当初は家畜ふん尿用に建設されたプラントを,ガス生産と収益を最大にするために,青刈りトウモロコシなどの作物を原料にするように転換してきている。現在,65万haでバイオガス用の作物を生産している。バイオガスの原料は,重量で,作物が41%,家畜ふん尿が43%,その他が16%となっている。しかし,エネルギー生産量では,作物が73%を占め,家畜ふん尿は11%だけで,作物がバイオガス原料の主体をなしている。

    ●消化液の肥料利用

     上述したJS Lewis Ltd (2011)の報告書は,スラリーを嫌気消化した残りの消化液の肥料価値について,次のまとめを行なっている(詳細はADAS UK Ltd and SAC Commercial Ltd (2007) Nutrient Value of Digestate from Farm-Based Biogas Plants in Scotland. Report for Scottish Executive Environment and Rural Affairs Department - ADA/009/06. 44p.を参照)。

     ・固形物含量がかなり減少(最大25%)

     ・pHが上昇

     ・アンモニウム性窒素が平均26%増加。ただし,増加率は保持時間によって大きく異なる。

     ・デンマークの研究では,窒素の利用率がスラリーよりも15〜30%上昇。

     ・消化液を作物に施用したとき,スラリーよりも,窒素の作物吸収量が1年目には向上するが,2年目以降に無機化されて作物に吸収される窒素量は,スラリーの方が多くなる(初年目無機態窒素供給量は多いが,2年目以降の残効窒素量が減少)。

     ・その結果,数年間での窒素の作物吸収量の総計がスラリーよりも向上するか否かについては明確な結果がない。

     ・スラリー消化液の分離液を農地に施用した場合,農地からロスされる窒素量が少ない。これは,消化液の粘度が乾物含量の低下によって下がって,土壌に迅速に浸透し,土壌表面にとどまって大気に揮散するものが少ないことを反映している。

     ・窒素,P2O5,K2Oの全量は,消化プロセスでも温存されて,変化量はわずかにすぎない。

     ・消化プロセスにおける一部有機態リンの可溶化の結果,リン酸の可給性が無機態のオルソリン酸(PO43-)の増加によって高まっている可能性があるが,さらに検討が必要である。

     ・スラリーの嫌気消化が,N2Oの年間発生量に影響を及ぼすとの明確な証拠はない(生のスラリーと嫌気消化したスラリーとを農地に施用した場合の比較)

     このように,嫌気消化では炭素は減るものの,3要素の含量はほとんど変化しないため,嫌気消化を行なったからといって,家畜ふん尿中の養分過剰問題はなんら解決することはない。

    ●EUの動物副産物からのバイオガス生産についての法的規制

     EUは,家畜を含む動物の各種副産物を人間の消費以外の目的で利用する際の規則(通称「動物副産物法」)を,人間の健康確保の視点から定めている(Regulation (EC) No 1774/2002 of the European Parliament and of the Council of 3 October2002 laying down health rules concerning animal by-products not intended for human consumption ,および,Commission Regulation (EC) No 208/2006 of 7 February 2006 amending Annexes VI and VIII to Regulation (EC) No 1774/2002 of the European Parliament and of the Council as regards processing standards for biogas and composting plants and requirements for manure )。

     これらの法律に基づいて,動物副産物を原料にしてバイオガスを製造するプラントは,所管当局の承認をえなければならず,運転条件も規制を受けている。

    A.動物副産物の3つのカテゴリー

     「動物副産物法」では,人間の健康に対するリスクの大きさや可能性から,動物副産物を3つのカテゴリーに区分している。これらはおおまかにいえば次のとおりである。

     カテゴリー1:伝達性海綿状脳症などの,人間や動物に伝達しうる疾病に罹病した動物,基準を超えた投与禁止物質や極めて毒性の高い環境汚染物質で汚染された動物の部位など。

     カテゴリー2:ふん尿および消化管内容物や,許容レベルを超えた獣医薬品および各種の汚染物質で汚染された動物の部位など。

     カテゴリー3:と殺された動物の一部で,人間の消費に適するが人間用に使われなかった部位や,人間の消費用に製造された製品だが何らかの理由で廃棄されたものなど。

    B.バイオガスプラントの消毒/衛生ユニット

     動物副産物からバイオガスを製造するプラント(バイオガスプラント)には,基本的には,原料の動物副産物を消毒する装置(消毒/衛生ユニット)を装備することが義務づけられている。消毒/衛生ユニットには,温度のモニタリング装置,その記録装置ならびに不十分な加熱を防止する安全システムを装備しなければならない。

     例えば,カテゴリー3の生の動物副産物を原料にしてバイオガスを製造する際には,事前に原料の最大粒子サイズを12 mm,最低70℃で60分間以上継続して加温することが義務づけられている。

     また,カテゴリー2のふん尿および消化管内容物を除く,許容レベルを超えた獣医薬品および各種の汚染物質で汚染された動物の部位などを原料にする場合には,事前に原料の最大粒子サイズ50 mm,最低133℃で20分間以上,加圧飽和蒸気で加熱することが義務づけられている。

     そして,これらの条件についての記録を少なくとも2年間は保持することが課せられている。このための加温は,通常はバイオガスを燃焼させてえた熱か電力によって行なう。なお,カテゴリー1の動物副産物は焼却しなければならず,バイオガス製造の原料には使えない。

     ただし,ふん尿(家畜の排泄したふん尿と敷料),消化管から分離された消化管内容物,ミルクおよび初乳は,所管当局が深刻な伝染病のリスクが存在しないと考える場合には,バイオガスプラントで生の原料として処理せずに使用することが許されている。そして,これらの生の動物副産物原料からバイオガスを製造するプラントには,消毒/衛生ユニットの装備が免除されている。しかし,深刻な伝染病を発症した家畜が存在する場合や,家畜ふん尿に加えて,病死した家畜の死体などをふん尿に加えて処理する場合には,消毒/衛生ユニットを装備した装置で,定められた条件を確保することが必要になる。

     EUの嫌気消化プラントに関する資料をみると,動物副産物を原料にしたバイオガスプラントの消毒/衛生条件として,原料の最大粒子サイズ12 mm,最低70℃,60分間以上の加温を上げているので,大方のバイオガスプラントがこの消毒/衛生条件を事前に行っているようである。

     ただし,一律にこの条件が課せられるのではなく,法律に定められた病原生物の削減効果を上げられることを証明できれば,違った条件を設定することも許される。

     例えば,イギリスでは,上記のEUの条件の代わりに,原料の最大粒子サイズ50 mm,最低57℃,5時間以上,または,原料の最大粒子サイズ60 mm,最低70℃,60分間以上としている。ただし,EUの条件では,嫌気消化後に消化液を貯蔵する必要はないが,イギリスの条件では原料に肉がある場合には,消化液を18日間貯蔵することが課せられている(British Standards Institution : PAS 110:2010 Specification for whole digestate, separated liquor and separated fibre derived from the anaerobic digestion of source-segregated biodegradable materials. )。

    C.消化液の微生物レベル

     家畜ふん尿を原料にした場合に,消毒/衛生ユニットの装備が免除されているとはいえ,全てのバイオガスプラントについて,その処理中または処理直後に消化液の代表サンプルを採取して微生物検査を行ない,下記の基準をクリアすることが課せられている。

     大腸菌(Escherichia coli):  n = 5, c = 1, m = 1 000, M = 5 000/1 g; または

     腸球菌(Enterococaceae):  n = 5,  c = 1,  m = 1 000,  M = 5 000/1 g; および
    

     サルモネラ菌(Salmonella): n = 5; c = 0;  m = 0;     M = 0/25 g
    

     ここで

     n = テストするサンプル数

     m = 細菌数の閾値;全てのサンプルの細菌数がmを超えない場合に,結果は満足できるものとする。

     M = 細菌数の最大値;1つまたは複数のサンプル中の細菌数がMまたはそれを超えた場合には,承認できないもの とする。

     c = 細菌計数値がmとMの間にあるサンプル数で,その他のサンプルの細菌計数値がmかそれ未満の場合には,サンプルは承認可能とする。

     そして,この基準を遵守していない消化液は再処理しなければならず,サルモネラ菌の基準を遵守していない場合には,所管当局の指示にしたがって処理ないし廃棄しなければならない。

     また,バイオガスプラントは,所管当局の承認を得た自らの分析室を有するか,外部の分析室を利用して,規定された微生物などの分析を行なうことが義務となっている。

     なお,上述したBとC の条件は,バイオガスプラントだけでなく,家畜ふん尿から堆肥を製造する堆肥化プラントにも,同じ基準で適用される。

    ●嫌気消化による有害生物の減少

     メタン生成菌には,中温性生成菌と高温性生成菌の2群が存在している。嫌気消化によるメタン生成プロセスには,液温を30〜40℃に保持する中温プロセスと,50〜55℃に保持する高温プロセスの2つがあり,温度に応じて二つの群のメタン生成菌が関与している。

     消毒/衛生ユニットを装備した嫌気消化装置で,事前に70℃,60分間の消毒を行なえば,耐熱性のない病原性細菌,ヒトカイチュウ,雑草種子の大部分を殺すことができる。しかし,通常の家畜ふん尿だけを嫌気消化する際には,原料の事前加熱はEUでも免除されている。そうした場合であっても,高温プロセスであれば,有害生物の多くを死滅させることができる。このため,EUでは,雑草種子や病原生物の多い,リスクの高い原料を使用した嫌気消化は高温プロセスでなされる傾向がある。しかし,ドイツでは,国内のメタンガス発生装置全容量のうち85%は中温プロセスのものである。これは,リスクの低いエネルギー作物を原料にした嫌気消化が多いことを反映している。

     ヨーロッパで行なわれた,消化液中で病原生物が死滅に要する温度別の時間を調べた研究結果をまとめたものをみると,耐熱性のない病原生物は,嫌気消化の行なわれる温度では迅速に死滅する(表1)。すなわち,調べた病原生物は,70℃で秒単位,53℃で時間単位,35℃で日単位のレベルで死滅している。

     ヨーロッパの嫌気消化装置での消化液の保持期間は,中温と高温プロセスとも,農場が単独で行っている装置で20〜40日間,複数農場から集めたふん尿を利用する集中型装置で12〜25日間とのことなので(Teodorita Al Seadi, ed. By (2008) Biogas Handbook. ),中温と高温のいずれの嫌気消化でも,液が良く撹拌されて極端な温度むらがなく,適切な温度が確保されれば,耐熱性のない病原生物は死滅することが期待できる。また,同時に雑草種子もかなりの部分が死滅するとされている。

     なお,高温プロセスを行なっても温度は70℃になりえないが,病原菌の殺菌効果でいえば,52℃で10時間,53.5℃で8時間,55℃で6時間保持ができれば,70℃で1時間の保持に相当するとの研究結果がある(Bendixen, 1995:Teodorita Al Seadi, ed. By (2008) Biogas Handbook. P.110から引用)。

    ●耐熱性の病原細菌の生残

     スウェーデンで行なわれた研究によると,嫌気消化において原料を予め70℃,60分間加熱しても,100℃で死滅しない耐熱性胞子(芽胞)を形成するバチルス属細菌やクロストリジウム細菌は死滅しないことが確認されている(Elisabeth Bagge (2009) Hygiene Aspects of the Biogas Process with Emphasis on Spore-Forming Bacteria. )。

     バチルス属の細菌のなかには,罹病した家畜は焼却処分される恐ろしい病気を起こす炭疽菌(Bucillus. anthracis)や,食中毒を起こすセレウス菌(B. cereus),カイコなどの蝶類や甲虫類の神経毒である殺虫成分(BT剤)を生産する卒倒病菌(B. thuringiensis)などの種も含まれる。また,クロストリジウム属の細菌のなかには,食中毒やガス壊疽を起こすウェルシュ菌 (Clostridium perfringens),重篤な障害を起こす破傷風菌 (C. tetani),食中毒を起こすボツリヌス菌 (C. botulinum)などの種も含まれる。

     動物副産物を原料にして嫌気消化を行なう場合には,家畜の病原菌であるバチルス属菌やクロストリジウム属菌が消化液に多く残っている可能性がある。このため,スウェーデンでは嫌気消化液を家畜用の牧草地に施用せず,施用するなら,人間用の作物を栽培する耕地に施用するように指導されている。

    ●中温プロセスでの雑草種子の生残の可能性

     日本の研究で,牧草地を荒廃させてしまうエゾノギシギシの種子について,次の結果がえられている。

     実験室内で牛スラリーに種子を添加して,中温の35℃で20日間保持したときに,種子の死滅率は34.0%にすぎなかった。しかし,42.5℃にすると,10日間で死滅率が100%になることが認められている(木村義彰・梅津一孝・高畑英彦 (1994) メタン発酵処理がエゾノギシギシ種子の生存率に及ぼす影響.日本草地学会誌.42(2) 165-170)。

     また,ヨーロッパの研究では,次のようなことが報告されている。

     雑草種子を牛スラリーに加えて,35℃で21.5日間保持したときに,多くの雑草種子が100%死滅したのに,添加したシロザの種子の5 %が生き残った。しかし,温度を38℃に上げると,100 %死滅したことが観察されている(Lukehurst et al. (2010) Utilisation of digestate from biogas plants as biofertiliser. p.17から引用 )。このように中温プロセスでは,低めの温度だと,雑草種子が生き残る種類が多くなるようである。

    ●中温プロセスでのクリプトスポリジウムの生残の可能性

     クリプトスポリジウムはヒトを含む脊椎動物の消化管に生息する原虫(原生動物)で,動物体外の環境中では非活動状態のオーシスト(嚢包体)となって存在し,厳しい環境条件に耐える能力をもっている。水道の消毒に用いられている塩素濃度では死滅せず,し尿や家畜ふん尿で汚染された井戸水や,そうした原水を水源にした水道の利用によって,クリプトスポリジウムによる下痢,胃痛,腹痛などを起こすクリプトスポリジウム症が全国的に生じている。

     クリプトスポリジウムのオーシストは,水中では45℃以上1日間(最短6時間)の加熱によって感染性を失い,45℃を超える温度で1週間以上保持した牛ふんの堆肥化処理によって,感染性が失われた(志村亀夫ら (2002) クリプトスポリジウムオオシストは畜糞堆肥処理で消毒できる.平成13年度動物衛生研究成果情報)。このため,きちんと堆肥化処理をした場合には問題にならない。

     クリプトスポリジウムのオーシストを嫌気性消化汚泥に投入し,室温(23℃),35℃,55℃に保持して,オーシストの生残を脱嚢試験と生体染色試験とによって調査した結果がある(北村友一・森田弘昭 (2002) 嫌気性消化汚泥中でのCryptosporidium parvumオーシストの挙動と生残性.下水道協会誌.39(479): 89-97)。室温で40日間保持した場合,オーシストの生残率は6 %(脱嚢試験)と44 %(生体染色試験)で,かなりのオーシストが生き残った。他方,高温プロセスに相当する55℃では,1日間の保持で生残率が0 %(脱嚢試験)と10 %(生体染色試験)と激減した。そして,35℃,5日間の保持では,生残率が7 %(脱嚢試験)と16 %(生体染色試験)であった。この結果から,高温嫌気性消化であれば,オーシストは確実に不活化する。しかし,30〜40℃の中温プロセスでは温度が35℃にまで上昇しない場合には,かなりのオーシストが生き残る可能性が考えられる。

    ●おわりに

     家畜ふん尿を嫌気消化して製造したバイオガスの利用は,地域資源を活用したグリーンエネルギーの生産や物質循環などの視点から,注目を集めている。しかし,家畜ふん尿は,メタンの原料になる炭素化合物が少なく,メタン生産の原料としては良質でなく,デンマークのように,家畜ふん尿を原料にしたバイオガスプラントの運営には,補助金の注入が不可欠のようである。そして,EUのバイオガスプラントには,能力の低い事例が多数存在していることも指摘されている。

     消化液では3要素量が保存されている。このため,肥料価値は温存されている。ただし,固形有機物量が減っているので,消化液の窒素の肥効は,堆肥のような緩効的肥効が減少し,速効的肥料に近い肥効になる。そして,固形分が減って消化液の均質性が増して,分析のバラツキも減るので,家畜ふん尿や堆肥よりも,消化液から供給される無機態窒素量を正確に予測しやすくなる。

     とはいえ,日本ではバイオガスプラントとその運転条件について,家畜ふん尿を原料にした場合には,標準的規格が作られていない。その上,EUのように動物副産物を原料にした際のバイオガス生産の規則も作られていない。そうした条件下では,有害生物をしっかり除去できる条件を確保したバイオガス製造だけでなく,そうでない条件下で消化液に多量の有害生物が生き残っているバイオガス製造も考えられる。家畜ふん尿を原料にしたバイオガス生産については,プラントとその運転条件について標準的規格を作り,適切な指導が行なえるようにすることも大切であろう。

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