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セシウム(せしうむ)

東京電力福島第一原発の事故後、突然、身近になった元素。問題なのは放射線を出す放射性セシウムで、半減期(放射性物質が崩壊によって半減するまでの期間)が二年のセシウム134と三〇年のセシウム137がある。

一般食品に含まれる放射性セシウムの基準値は、二〇一二年四月に一〇〇ベクレル/kgと定められた。これを超える食品は流通できないが、事故から時間が経過するとともに、農産物から一〇〇ベクレル/kgを超えるセシウムが検出されることは非常に希となった。セシウムは土壌中の粘土粒子と結び付きやすく、そうなってからは作物に吸収されることはまずない。

セシウムはカリウムと化学的な性質が似ているので、作物の根のまわりにカリウムがあると、セシウムと拮抗して吸収抑制効果を発揮する。反対に、土壌中の交換性カリウムが少ない水田(乾土一〇〇gあたり一〇mg未満)ではセシウムが吸われやすくなる。福島県農業総合センターの水田での試験では、セシウムの吸収抑制に利用するにはケイ酸カリよりも塩化カリのほうが有効で、追肥よりも元肥で施用したほうが効果が高いという結果が出ている。

事故後、農水省は、土壌から玄米に移行するセシウムの割合を示す移行係数を〇・一(玄米から検出されるセシウムの濃度が土壌中の濃度の一〇%になる)と仮定したが、その後の試験研究機関の調査によると、実際はその一〇分の一から一〇〇分の一程度のようだ。ただし、東京大学の根本圭介さんらの研究により、大雨などの後に用水中のセシウム濃度が高まり、それがイネの上根が発達する出穂期頃の水田に流れ込むと、非常に高い割合で米に移行することがわかってきた。用水中のセシウムを除去できる身近な素材としてはモミガラが有効だ。

また、水田に蓄積したセシウムを除去するには、代かきで浮いた泥水を排水することが有効であることもわかってきた。セシウムが付着した粘土や腐植が水中に浮遊しやすいからだが、これを水の中から回収するのにもモミガラが利用できる。


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