土と肥料_自給肥料・自給資材米ヌカ(こめぬか) 玄米を精米した時にでるヌカ。イネの種子は表皮部、胚芽部、胚乳部と、それらを保護するモミガラからできているが、このうち胚芽と表皮部を合わせたものが米ヌカとなる。胚芽は芽、つまり次代に受け継ぐ命そのもので、これを生かすためにデンプンというエネルギーを貯えているのが胚乳部(白米)である。 フスマ(ふすま) 小麦を製粉するときに除かれる皮の部分(外皮部と胚芽)で、日本では主に牛の飼料として利用されてきた。そのまま食べてもあまり美味しくないが、デンプン、タンパクのほか繊維質やミネラルが豊富に含まれており、最近、健康食品にも利用されている。 クズ大豆(くずだいず) 紫斑があったり、小さかったり、割れていたりして食用にならない大豆。 おから(おから) 豆腐を作る際、豆乳を搾ったあとに出るカス。豆腐屋さんにとっては産業廃棄物となって邪魔者扱いされるが、使いようによっては栄養分豊かな肥料や飼料に生まれ変わる。 茶ガラ・茶粕(ちゃがら・ちゃかす) 緑茶、紅茶、ウーロン茶、数種のブレンド茶などのお茶の搾り粕。飲料メーカーから産業廃棄物として多量に排出されるものを使えば安定して安価で入手できるので、地域によっては身近で非常に有効な有機物の一つである。 コーヒー粕(こーひーかす)飲料加工場などから出るコーヒー抽出後の粕。多孔質なので、通気性をよくし水分を吸着するうえ、フェノール基をもつためにアンモニアの吸着効果も優れていることから、堆肥化の副資材として役立つ。コーヒー粕を畜舎の敷料や家畜糞と混ぜると悪臭が激減し、子牛の下痢や肺炎も減少する。キュウリやトマトの畑にコーヒー粕........ 魚肥料(さかなひりょう)古くは「干鰯」(ほしか)「ニシンカス」、現在は缶詰や鰹節の工場から出る魚粕、ソリューブル(魚の煮汁)など、広く魚を原料とした肥料のこと。BSEの発生で肉骨粉などの輸入がストップして以来、リン酸を多く含む動物質肥料として重用されているが、最大の魅力は旨味のもとであるアミノ酸が魚肉タンパクに多く含まれ........ 生ゴミ(なまごみ)残飯や野菜クズなどいろいろなものが混ざっており、肥料成分が豊富。東京農大の後藤逸男教授らが調査した結果では、現物当たりで、チッソ三・三~四・六%、リン酸一・二六~一・四五%、カリ一・〇五~四・六二%。家庭の台所、レストランやホテルなどの残飯中心の生ゴミはチッソが多く、スーパーや市場から出るものは野........ モミガラ(もみがら) モミ摺りして玄米を取り出した残りがモミガラ。地域によっては焼却されることも多いが、ケイ酸を多く含む身近な有機質資材として大変重宝な存在である。 ソバ殻(そばがら) ソバの実を取り去った後に残るソバ殻は、土づくりにたいへん役立つ。毎年、ソバ殻を畑にまくだけで、土がふっくらして草取りがラクになったという農家や、ウネ間に置くと一~二カ月でフトミミズがすみつくようになったという農家がいる。 落ち葉(おちば) 落ち葉には、(1)チッソ源やエネルギー源を加えなくても発酵が進む、(2)カルシウム、マグネシウムなどのミネラルに富む、(3)多種多様な土着微生物が付着している、などの特徴があり、落ち葉マルチなど、その利用が見直されている。 竹パウダー(たけぱうだー) 竹を粉砕して作るフワフワした粉を以前は竹肥料と呼んでいたが、最近は竹パウダーという名前が定着している。高価な粉砕機の代わりに、チップソーを何枚も重ねた手作りの粉砕機(竹パウダー製造機)で作る方法が普及して、身近な手作り資材になった。 緑肥(りょくひ)生育中のまだ緑色の植物を土つくりや養分供給に生かすこと。ウネ間や樹間にイネ科やマメ科などの植物を播き、栽培期間中に適宜、刈り取って敷き草などにする場合と、休閑期間に育ててすき込んだりする場合がある。昔から行なわれてきたが、肥料も農薬も値上がりする一方の近年は、肥料効果の高いマメ科緑肥が注目されてい........ 天恵緑汁(てんけいりょくじゅう) ヨモギやクズなどを黒砂糖と混ぜて容器に入れておくと、一週間ほどで発酵液(菌液)ができる。一滴も水を入れなくとも、黒砂糖の浸透圧で植物エキスが抽出されるとともに、酵母菌や乳酸菌の働きで発酵する。発酵が加わることで、単なる抽出液以上の効果が期待できる。 手づくり酵素液(てづくりこうそえき)ひと抱えもある巨大なダイコンの写真でおなじみの「○○酵素」など、酵素液には人を惹きつけて止まない魅力がある。作物にも使うが、毎日飲んで「病気が治った」「快便、風邪知らず」と健康効果を重視する人もいる。だが、市販品は何といっても高い。一〇〇mlくらいの小瓶で一万円くらいするものもある。これがもし、自分........ 鶏糞(けいふん) 鶏は牛や豚よりも腸が短く、エサの栄養吸収率が低いため、排泄された鶏糞には三要素(とくにリン酸)が比較的多く含まれる。また採卵養鶏では卵の殻を硬くするカキ殻などをエサに与えるため、糞には石灰も多く含まれる。栄養満点肥料であるうえ、値段が安いとあって、肥料代が値上がりする中、ひっぱりだこである。 豚糞(とんぷん) 豚糞の炭素率(C/N比)は一〇程度で比較的分解が速く、牛糞より肥効が出やすいので有機質肥料としての利用価値が高い。肥料成分の量は鶏糞と牛糞の中間ぐらい。チッソ、リン酸に比べるとカリがやや少ない。 牛糞(ぎゅうふん)牛は草などの粗飼料を多く食べるため、牛糞は鶏糞や豚糞より肥料成分含量が低く、繊維素やリグニン含量の高い難分解性有機物に富む。そのため、これまでは土壌改良資材としての利用価値を評価されてきた。だがこれからは堆肥栽培の時代。肥料として牛糞をとらえ直し、ゆっくりジワジワ出てくる肥効を上手に使う方法を磨い........ 尿液肥(にょうえきひ) 牛や豚などの家畜尿からつくる液肥。 下肥(しもごえ)かつて、人間が排泄する屎尿は「下肥」としてじっくり熟成され、利用された。乳酸菌など人間の体内にいて健康維持に働いてくれる菌と、肥だめに飛び込んでくる好気的な菌が連合して、下肥は十分発酵した菌体肥料といえよう。そこには人間の体が取り込んだ食べものや塩のミネラルが含まれ、また、土に穴を掘って熟成された........ 灰(はい)草や木などの有機物を焼くと、最終的には燃えないものが灰として残る。「燃えカス」どころか、灰こそ、カリ(カリウム)、カルシウムなどのほか、ミネラルの宝庫である。草木灰にはカリが、モミガラやイナワラ、竹などイネ科の灰にはケイ酸が、せん定枝など木の灰にはカルシウムが、鶏糞を燃やした灰にはリン酸が多く含ま........ 木炭(もくたん)南米・アマゾン川流域の住居跡で見つかる「黒い土」では、不思議と作物や樹木がよく育つ。その黒い土に炭が含まれていることがわかったのは近年のことだ。炭は、日本の農家にとって木酢液と並ぶ代表的な自給資材。畑や田んぼに入れるなら、簡単にやける伏せやきの炭で十分だ。地面に大きな穴を掘って炭を量産し、大いに活........ 竹炭(ちくたん) 竹をやいてつくる竹炭にも、木炭と同様の効果が期待できる。竹炭をやくときに採れる竹酢液も、木酢液同様に減農薬や土壌改良に役立つ。竹林の荒廃に悩む地域が少なくないが、逆にいえば竹は無尽蔵の地域資源。最近は竹パウダーとしての利用が増えているが、竹炭としても大いに利用したい。 モミガラくん炭(もみがらくんたん)モミガラを炭にやいたもの。モミガラ同様、いろいろに使える農家の基本資材。保水性・通気性の確保に役立ち、微生物の棲みかとなって、土の微生物相を豊かにする。ケイ酸分などのミネラルが豊富で、作物の耐病性を高める効果もある。くん炭を毎年入れてきた田んぼでは、イネの葉先を握るとバリバリと感じるほど丈夫になると........ 木酢(もくさく) 木材を炭化(熱分解)するときに立ちのぼる煙を冷却して得られる液体。炭化する素材や炭化の方法によって淡い赤色から濃い褐色、黄色みがかったものまで色はさまざまだが、総じて燻製に似た酸っぱい臭いがする。採取したばかりは木タールなどが混ざっているので、静置濾過して用いるのが一般的。 竹酢(ちくさく)木酢液とほとんど同様だが、木炭ではなく、竹炭をやくときに出る煙が煙突で冷えて得られる液体。全体の八〇~九〇%が水分、主な成分は酢酸・プロピオン酸・蟻酸などの有機酸類で、その他にアルコール類、ホルムアルデヒド、中性成分など、約三〇〇種類のさまざまな有効成分が含まれている。木酢液との違いをあえていうと、........ モミ酢(もみす)モミガラくん炭をやくときに出る煙を冷やして採れた液体。木酢液・竹酢液同様、主成分は酢酸で、pH三・五~四・〇の強酸性。 発酵カルシウム(はっこうかるしうむ)カキ殻を発酵させてカルシウムをとても吸収しやすくする方法を、三重県の川原田憲夫さんが開発。弟子である愛媛県の山本良男さんが誌面で紹介してくれた。大きな反響を呼んでいる。 ケイカル浸み出し液(けいかるしみだしえき) 手作りする極安の水溶性ケイ酸。水で薄めてすぐに効かせるようなケイ酸資材は高価だが、千葉県の花沢馨さんが編み出したのは安価なケイカルを使うユニークな方法。主にイチゴのウドンコ病対策に使われている。 |