月刊 現代農業 > 「現代農業」用語集

野菜・花

ずらし(早出し・遅出し)(ずらし(はやだし・おそだし))

以前から野菜や花では促成栽培や抑制栽培が産地ごとに行なわれてきたが、直売所が当たり前になってきた昨今、農家一人一人の自由な発想での「早出し・遅出し」ずらし術が次々と新しく開花中だ。
トウモロコシを例にすると、宮城県の佐藤民夫さんはまわりの人より一カ月早出しする。三月二十日頃に播種して育........

サラダセット(さらだせっと)

サラダに使う野菜数種類をセットで一袋に入れ、直売所やレストランに販売する野菜の新しい売り方。袋を開けたらすぐに食べられる手軽さ、農家だからこそ可能な豊富な種類、農家一人一人が考えたオリジナルの組み合わせで生まれる味で、お客さんを虜にできる。
秋田県の古谷せつさんの場合は、メインにボリュ........

葉かき収穫・わき芽収穫(はかきしゅうかく・わきめしゅうかく)

レタスやチコリなどは何カ月もかけて育て、結球したものを株ごと収穫するのが普通だが、展開してきた若葉(ベビーリーフ)をその都度ちぎる「葉かき収穫」という方法もある。直売所に毎日のように新鮮なサラダセットを持っていく農家には必須の技術。一度植えた株から一年近く、ひたすら葉かき収穫したとしても見かけの株........

サトイモ逆さ植え(さといもさかさうえ)

九州などではもともとやっていた人も多いらしいが、誌上では長野県須坂市の大島寛さんによって初めて紹介され、その後またたく間に全国に広がったサトイモの小力・多収栽培法。
サトイモはふつう、種イモの芽を上にして植え付ける。種イモから出た芽が親イモになり、そこに子イモ、孫イモが上へ上へとつく(........

ジャガイモ超浅植え(じゃがいもちょうあさうえ)

福井市の三上貞子さんが考案した、ジャガイモの超小力栽培法。
種イモがかろうじて埋まる程度に浅く植え付け(頂芽は下向き)、黒マルチをかけたら、追肥も土寄せもしない。収穫は拾うだけ。これでジャガイモがゴロゴロとれる。「土寄せの頃は田んぼが忙しいから、このやり方はとっても助かる」という声多数........

不耕起イチゴ(ふこうきいちご)

一度立てたウネを崩さず何年もつくり続けるイチゴの栽培方法。ウネ崩し、ウネ立て作業をしないのでとにかくラク。小力イチゴづくりの代表格で、全国に広まってきた。
収穫を終えた株は引き抜かず、根だけを残してクラウンから上を鎌で刈り取る。地中に残った根が分解されると根穴ができる。根穴のおかげで中........

るんるんベンチ(るんるんべんち)

農家が考えだした低コスト小力のイチゴの高設栽培方式。ハウス用パイプで架台を作り、その上に波トタンを曲げて栽培槽とし、主にモミガラを培地として栽培する。立ったままでできる苗の植え付け作業がそれまでの土耕に比べてあまりに楽しくるんるん気分であったことから、愛媛県宇和島地区の赤松保孝さんたちが命名した。........

なで肩イチゴ(なでがたいちご)

農イチゴの果実はまず縦に伸びて、次にヘタの肩部が横に伸びて、三角のイチゴになる。そこからさらにヘタ下が伸び、紡錘形となった完熟イチゴが、なで肩イチゴである。甘みが強くてコクがあり、ヘタ下までとろけるようにウマい。
ふつうのイチゴの場合、三角形になった時点で果頂部が熟してしまうので、なで肩に肥大するまで........

トロ箱栽培(とろばこさいばい)

トロ箱(発泡スチロール)やプランターなどに少量の土を入れ、簡単な給液装置を使って、野菜や切り花を育てる養液栽培。もともとは滋賀県農業技術振興センターが開発した「少量土壌培地耕システム」だが、誌面では「トロ箱栽培」と呼ぶことにした。
狭い限られた根域で育つのだが、生育が早く、日持ちもよく........

スーパーセル苗(すーぱーせるなえ)

ブロッコリーやキャベツなどのセル苗を、通常の育苗(二五〜三〇日程度)の二倍以上の期間、追肥をせずに水のみで維持した苗のこと。セル苗は移植適期が短く、天気の都合などでなかなか植え付けができないとすぐに老化してしまうことが問題だったが、この苗は徒長しないので、いつまででも置ける。水だけかけていても新葉........

ポットごと植え(ぽっとごとうえ)

ポットを付けたまま野菜の苗を定植する方法。とくにトマト農家のあいだで広まっている。育苗ポットの底には事前にキリで穴をあけたり、ハサミで切り込みを入れておく。定植後に根がポットの底から下方へ伸びていくので、上根にならずに地中深く張るようになる。
果菜類、特にトマトは一般に、初期に樹勢をつ........

土中緑化(どちゅうりょっか)

健苗づくりの工夫の一つ。発芽の途中、発根して子葉が見え始める頃、覆土を除いて日光を当てる。すると葉緑素がつくられて胚軸や子葉が緑色に変わる。こうして、あらかじめ緑化させてから、再び覆土して発芽させた苗は、体質が違う。根の数が多く、病気にも強くなる。接ぎ木しても活着が早いという。
この技........

根上がり育苗(ねあがりいくびょう)

根が土の上にのぞくように、セル苗などをポットの床土の上に乗せる程度に浅く仮植する。ポットにかん水するたびに、上に飛び出した部分の土が流れ、根が洗われ出てくる。山形県村山市のスイカ農家、門脇栄悦さんが考えだした方法。
ねらいは、不定根を出させず、種子根である直根をなるべく深く土の中へ入れ........

根洗い(ねあらい)

定植後に果菜類を病気に強くする方法。やり方の基本は、あらかじめ浅植えした株元を定植後四五〜五〇日ごろにホースの水で強く洗い流し、根を露出させるだけ。こうすると根に光が当たるので、しばらくして白い根が緑色の根になる。根を洗いだされた作物は生命の危機を感じて踏ん張ろうとするのか、樹幹下はものすごい細根........

直根・不定根(ちょっこん・ふていこん)

直根とはタネから発生した種子根が土中で垂直方向に伸びたもの。不定根とは土に埋まった茎部分のどこからでも出る根。
一般に、直根が優先すると根域が深く広くなる、生育が旺盛になる、環境の変化に強くなるなどの利点がある。とくにもともと直根性の作物(ホウレンソウやレタス、エダマメ、スイートコーン........

根巻き(根づまり)(ねまき(ねづまり))

根がポットやセル(プラグ)など育苗容器の壁面に沿ってビッシリと張った状態のこと。根巻きした部分が障害になり、定植後伸びてきた新根が容器の形より外に伸びられず、生育停滞・収量低下の原因になる。容器が小さいセル苗はあっという間に根が回ってしまうので、じつは結構大きな被害をもたらしているのだが、気づかな........

しおれ活着(しおれかっちゃく)

千葉県横芝光町でハウスメロン 抑制トマトを栽培している若梅健司さんの造語。
トマトは第三果房開花ころまでは節水し、根を深く張らせることが肝心。そのためには前作のメロンにワラを深く溝施用しておき、定植の数日前に十分にかん水し、表層はカラカラに乾くまで待って八月に抑制トマトを定植する。定植........

若苗(わかなえ)

育苗日数の短い苗を若苗という。若苗ほど根の活力が高いので、養水分の吸収力が高く、生育後半まで草勢が強く多収しやすい。反面、暴走し、トマトなどでは異常茎が出やすく、花しぼりが大きくなるなどの欠点がある。大苗は落ち着いた生育をし、花芽も着果も安定するが、根は若苗に比べておとなしい。老化苗は、育苗容器の........

直挿し(じかざし)

キクの小力技術。挿し床で育苗せず、発根していない穂を直接、圃場に挿し穂するというもので、作業効率が格段に上がる。生育もよくなる。冬至芽も揃いよく生えてきて、二度切りも揃うなど利点は多い。
愛知県の河合清治さんが、圃場に捨てたわき芽が活着して花まで咲かせたことにヒントを得て始め、全国に広........

鎮圧(ちんあつ)

鎮圧ローラーやトラクタの車輪などで、定植前や播種の前後に土を踏み固めること。埼玉県のトマト農家・養田昇さんらが基本とする技術。
鎮圧ベッドのいいところはおもに二つ。一つ目は土壌湿度が安定すること。土の表面からの蒸散が抑えられ、また、土をしめたことで地下水と毛管水がつながって、水分が安定........

溝底播種・穴底植え(みぞぞこはしゅ・あなぞこうえ)

畑に溝を切り、その底に播種して被覆資材をべたがけしておくだけで、真冬でも葉物がスクスク育ってしまうという画期的な技術。畑の足跡に播いたタネは他よりも生育がよかったという体験から、元東北農試の小沢聖さんが考案。播種機の後ろにソロバン玉状の鎮圧具をつければ、播種しながら溝がつくれる。
溝は........

マルチムギ(まるちむぎ)

秋播き性のムギは冬の寒さにあうことで穂をつくり始める。そのため秋播きムギを春にまくと穂が出ず、長いこと青いまま。この性質を利用して、カボチャ、スイカなどのウネ間に春播きする。すると、生えたムギは雑草抑制や泥はね防止といった、マルチのような役をはたしてくれる。
敷きワラ代わりになるので、........

ゴロ土ベッド(ごろつち)

雨が降った後、畑がまだ少し湿っているときにロータリをかけるとゴロゴロの土になる。このゴロ土を盛って作ったベッドにはさまざまな機能があり、愛用者が多い。
まずは排水性と通気性。ゴロ土の土塊と土塊の隙間のおかげで大雨が降っても水が溜まらず、酸素たっぷりの状態が維持されて、長雨・湿害に極めて........

環境制御(かんきょうせいぎょ)

ハウス内の温度や湿度(飽差)、光、炭酸ガス濃度や養水分などを調節し、作物の生育に最適な環境にする技術。広義では日中の換気や夜間の変温管理なども含まれるが、昨今はオランダ由来の新しい技術をさすことが多い。
作物の光合成量を最大にするのが目的であるため、もっとも重要視されるのはその材料となる水(積極かん水)........

炭酸ガス施用(たんさんがす)

冬場、ハウスを閉めきると、炭酸ガス(CO2)濃度が外気(約三〇〇ppm)より低くなって光合成が鈍る。そこでLPガスを燃焼させるなどして積極的に炭酸ガスを施用する技術。コストがかかるので、家庭........

日中ちょっと焚き(にっちゅうちょっとだき)

炭酸ガス(CO)を日中、約四〇〇ppm(外気の濃度)キープするように焚く方法。
従来は明け方に二〜三時間、一〇〇〇〜一五〇〇ppmを目安に焚いて、換気を始めたらやめるのが一般的だった。しかし日中、光合成を行なっている作物は炭酸ガスを大量に消費する。換気開始後もハウス内の炭酸ガス濃度は減り続け、........

飽差(ほうさ)

ある温度と湿度の空気に、あとどれだけ水蒸気の入る余地があるかを示す指標で、空気一m3当たりの水蒸気の空き容量をg数で表す(g/m3)。植物の水分状態は、相対湿度よりもこの飽差に強く影響を受ける。
植物の生長にとって最適の飽差は三〜六g/m3とされている。飽差が六以上だと水分欠乏の危険を感知し........

露点温度(ろてんおんど)

気体中の水分が飽和に達して結露する温度、つまり、湿度一〇〇%の時の温度をさす。ベト病、灰色カビ病やススカビ病などの病原菌は、作物に付着した露を媒介に侵入するため、ハウス内の結露状態が長いほど発病しやすくなる。だが、露点温度を知り、結露をコントロールすれば病気も防げる。
宮崎県都城市のバ........

積極かん水(せっきょくかんすい)

作物に思う存分、蒸散させる技術である。蒸散量に見合うかん水量があると、水と一緒にカルシウムが引っ張られて果実の尻腐れや葉焼けが減る。また、気化熱によってハウス内も涼しくなり、日焼け果なども減る。
逆に水不足になると葉は気孔を閉じて蒸散を減らそうとする。気孔が閉じれば、せっかく炭酸ガスを焚いても吸われない。........

寒じめ(かんじめ)

冷たい空気に野菜をさらすことを寒じめと呼び、これによって甘みが増し、ビタミンC、ビタミンE、β カロテンのいずれも増加する。野菜が寒さに耐えるために葉の水分を減らし、糖を増加させるためである。ビタミンも糖から作られるので増加するというわけだ。いっぽう硝酸は減ることがわかっている。葉は厚く、姿は開張........

タネの向き(たねのむき)

タネは土に播く(挿す)ときの向きによって、発芽率が大きく左右される場合がある。たとえば三重県の青木恒男さんが実践するのが、トウモロコシの「とんがり下播き」。発芽率はほぼ一〇〇%になってよく揃う。ソラマメは、オハグロを下向き、かつ胚のある膨らみが垂直になるよう土に挿すと、やはり発芽率は一〇〇%に近く........

自然生え(しぜんばえ)

人が播種するのでなく、落ちた実やタネから自然の力で生えてくる現象。こぼれダネから生えたものは、その地の環境に合っているということなのか、病気や気象変化にとても強いことが観察されている。このことに学び、(財)自然農法国際研究開発センターは、誰でもできる自然生え自家採種のやり方を紹介している。
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