月刊 現代農業 > 「現代農業」用語集

土と肥料_基礎用語

C/N比(炭素率)(しーえぬひ(たんそりつ))

有機物などに含まれている炭素(C)量とチッソ(N)量の比率で、炭素率ともいう。C/N比がおおむね二〇を境として、それより小さい(つまりチッソが多い)ほど、微生物による有機物分解が早く、すみやかにチッソが放出され(無機化)、反対にC/N比が大きいほど分解が遅く、むしろ土の中のチッソが微生物に取り込ま........

pH(ぴーえいち・ぺーはー)

酸性・アルカリ性を示す値で、ピーエイチまたはペーハーと読む。七が中性で、それ以下が酸性、以上がアルカリ性。その数値が小さくなるほど酸性が強く、大きくなるほどアルカリ性が強い。
pHによって、土の中に溶け出してくる養分量が異なり、中性から弱酸性が一番バランスがいい。pHが六〜五・五以下の........

EC(いーしー)

土の中の養分の濃度を示し、イーシーとか電気伝導度とか呼ばれる。作物の種類によって適正な濃度があり、それより高いと作物の根は濃度障害を受けて養分を吸収できなくなり、低すぎると栄養不足に陥る。一般的な作物の場合、〇・二〜〇・五mS/pが適正とされている。
ECは硝酸態チッソ含量と密接に関係........

塩基バランス(えんきばらんす)

土の中に含まれている塩基(石灰、苦土、カリ、ナトリウムなど、交換性陽イオン)の比率。とりわけ石灰、苦土、カリの三つの成分の比率が重要とされる。これらの成分の間には拮抗関係があり、その比率が崩れると、土の中にはそれぞれの塩基が十分含まれていても作物には吸収されにくくなる。一般的には、石灰:苦土:カリ........

塩基置換容量(CEC)(えんきちかんようりょう(しーいーしー))

土が肥料を吸着できる能力(保肥力)のことで、いわば「土の胃袋」みたいなもの。吸着できる最大量を塩基置換容量とか、塩基(陽イオン)を吸着することから陽イオン交換容量(CEC、単位はmeq/一〇〇g)という。塩基置換容量が大きいほど土はたくさんの肥料を保持することができるため、肥料が作土から流れ出すの........

塩基飽和度(えんきほうわど)

土の塩基置換容量(CEC)のうちの何%が塩基で占められているかを示す数値。陽イオン飽和度ともいう。理想とされているのは「腹八分目」の飽和度八〇%、ただし茶は四〇%ぐらいがいいなど作物によるちがいがある。
塩基飽和度はpHと相関があり、塩基飽和度が高い土ほどpHが高い。およそ、塩基飽和度........

塩類集積(えんるいしゅうせき)

土壌中の水に溶けている各種の塩類が、蒸発などによる水の移動にともなって土壌表層に集積する現象。とくに、雨水の流入がない施設栽培では、水の移動がおもに下から上になるため塩類集積が起きやすい。塩類集積が起こると、濃度障害で作物の生育が停止したり、葉がしおれたり枯れたりするなどの障害が出る。
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ガス障害(がすしょうがい)

施設栽培で発生するアンモニアガス障害や亜硝酸ガス障害が代表的なもので、その発生のしくみは以下のようである。
チッソ肥料(とくにアンモニア態肥料)や有機質肥料、未熟堆肥などを大量に施したときに、その分解によって発生したアンモニアが土壌中にたまり、それが温度上昇や土壌乾燥にともなってガス化........

硝酸(しょうさん)

肥料として施されたアンモニア態チッソは、土中で硝酸化成菌によって硝酸態チッソに酸化されて作物に吸収される。このとき、量が多いと、硝酸態チッソが土に吸着されていた石灰などの塩基を引き出して土のECを高め、吸収されなかったものは雨によって地下に流れ去って地下水汚染の原因となる。
作物に吸収........

カリ(かり)

植物の必須元素の一つだが、チッソや石灰や苦土などのように体の構成物となるのではなく、つねに動き回りながら生体内の調整や酵素の活性化などにかかわっている養分で、早い話が細胞を肥大させる働きを持つ。このため、果樹の玉肥やイネの穂肥などに積極的に用いられてきたが、家畜糞堆肥が多量に施されるようになって様........

リン酸(りんさん)

植物の必須元素の一つ。リン酸は植物体内でのタンパク質合成や遺伝情報の伝達に重要な働きをする核酸の構成成分であり、エネルギー代謝にかかわる重要な物質でもある。リン酸をやると根の伸びがよくなる、葉にツヤが出て硬くなる、チッソ過多の作物でもチッソの代謝がすすむなど、リン酸の悪口を言う人は少ない。
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ケイ酸(けいさん)

ケイ酸は長年、イネの土壌改良資材「ケイカル」のイメージが強かったが、最近はウドンコ病やイモチ病などの抑制効果やイネの光合成を高めて登熟をよくする効果など、積極的な活用が注目を集めている。「ケイカル浸み出し液」は農家が開発したウドンコ病対策だし、ケイ酸の積極施肥でイネ一tどりを達成した須坂園芸高校の........

石灰(カルシウム)(せっかい(かるしうむ))

植物の必須元素の一つ。これまで酸性改良など土壌改良資材としての施用が中心だった石灰だが、一方でカルシウムは細胞壁などの組織つくりの必須成分で、新根や生長点の組織を充実させるのに欠かせない養分でもある。早い話、カルシウムは細胞を締める成分、細胞がしっかりすれば病害抵抗力も高まる。
最新の........

苦土(マグネシウム)(くど(まぐねしうむ))

植物の必須元素の一つで、葉緑素の核となる重要な成分。また、酵素の成分でもあり、糖やリン酸の代謝に関与し、食味向上や果樹の糖度向上などに役立つ。リン酸と苦土は植物体内を供連れ移動し、リン酸とともに苦土を施用したり、リン酸が蓄積した土に苦土を施すと、リン酸の吸収が著しくよくなる。そのため、苦土の積極施........

亜リン酸(ありんさん)

リン酸よりも分子が小さくて、水や有機酸に溶けやすく、根や葉から吸収されやすい。花芽形成や着果、結実促進や根量増加など、一般的なリン酸の効果が、より早く少ない量で表われる。また、植物体内での移動も早い。
こうした働きから生育初期に使用するとよく、苗の株元に亜リン酸をまいた黒ダイズが一四%も........

セシウム(せしうむ)

東京電力福島第一原発の事故後、突然、身近になった元素。問題なのは放射線を出す放射性セシウムで、半減期(放射性物質が崩壊によって半減するまでの期間)が二年のセシウム134と三〇年のセシウム137がある。
一般食品........

微量要素(びりょうようそ)

植物の必須元素といわれている二三元素のうち、微量元素といわれているのは、モリブデン、銅、亜鉛、マンガン、鉄、ホウ素、塩素の七元素。これらの微量要素は、微量ではあるが、体内で光合成や硝酸還元などの代謝に重要な役割を果たしているため、不足するとチッソ代謝を狂わせて、チッソ過多の農産物の原因になり、病気........

ミネラル(みねらる)

一般には、チッソ、炭素、水素、酸素以外の元素を無機質またはミネラルと呼ぶ。『現代農業』では、石灰、苦土、カリ、ナトリウムなどから各種微量要素まで、作物・家畜の生体内の生理活性にかかわり、食べものを通して人間に影響を与える物質をミネラルと呼んでいる。ミネラルはきわめて微妙なバランスのなかで、相互作用........

アミノ酸(あみのさん)

タンパク質を構成する基本単位となる有機チッソ化合物で、作物体では二〇種が知られている。作物に吸収されたチッソ(硝酸態)は、体内で亜硝酸→アンモニアへと変化し、グルタミンなどの各種アミノ酸がつくられる。これらのアミノ酸はその後タンパク質に合成されるが、アミノ酸自身もうま味や甘味などに影響を与える。<........

有機酸(ゆうきさん)

植物や動物(微生物も含む)が、体内で糖を分解してエネルギーを得る過程でつくりだされる酸のことで、クエン酸やリンゴ酸など多種の有機酸がある。果実に含まれる酸、ホウレンソウで嫌われるシュウ酸も有機酸の一つである。
根から出された有機酸(根酸)は、作物に吸収されにくいミネラルなどを溶かして作........

根酸(こんさん)

作物の根が分泌する有機酸のことを根酸という。植物は、根から分泌した有機酸によって有害な物質を無毒化するだけでなく、必要とする元素の取り込みにも役だてている。
根を守る例をあげると、茶は根が分泌する有機酸によって有害なアルミニウムの動きを封じ込めているし、ソバは有機酸の一種であるシュウ酸........

根圏微生物(こんけんびせいぶつ)

根の周り(根圏)に生息する微生物のこと。根圏では、根酸その他根からの分泌物などをエサに微生物が繁殖し、その微生物が土の養分を作物が吸収しやすい形態に変えたり、微生物が分泌する養分を作物が受け取るなど、作物と微生物が共生する活性の高い場となっている。チッソ固定菌、リン溶解菌、糸状菌、細菌、菌根菌など........

葉面微生物(ようめんびせいぶつ)

葉の表面に生息する微生物のことで、糸状菌(カビ)、酵母、細菌などが多い。米ヌカを葉の表面や通路に散布したら病害が激減したという報告から、葉面微生物に注目が集まっている。
一見何もなさそうに見える葉の表面だが、葉から分泌される糖類や有機酸、古くなった細胞がはがれたものなどが付着しており、........

根粒菌(こんりゅうきん)

マメ科植物の根に根粒をつくり、大気中から取り込んだチッソをアンモニア態チッソに変換(空中チッソの固定)、マメ科植物に供給する土壌微生物。根粒内にはマメ科植物から光合成産物が供給され、根粒菌とマメ科植物は共生関係にある。
土壌中にチッソ肥料が多いと、根粒菌の働きは低下する。マメ科植物が、........

菌根菌・VA菌根菌(きんこんきん・ぶいえーきんこんきん)

菌根菌は糸状菌(カビ)の仲間で、@菌糸が根周辺に伸びて根を包むようになる外生菌根菌、Aカンキツなどの多くの植物に感染するVA菌根菌、Bランなどの特定の植物のみに感染する内生菌根菌が挙げられる。注目される理由は、菌根菌がリン酸の吸収やミネラルの吸収を促進するからである。
リン酸は土壌に吸........

こうじ菌(こうじきん)

糸状菌(カビ)の仲間。味噌づくりはもちろん、ボカシ肥や発酵肥料づくり、土ごと発酵もこうじ菌から始まるので「発酵のスターター」といわれる。「酵素の宝庫」と呼ばれるくらい多様な消化酵素を出して有機物を分解する。デンプン以外にタンパク質や脂肪も分解できる。
大きな特徴は、炭水化物=デンプンを........

納豆菌(なっとうきん)

名前のとおり納豆ができるときに働く菌で、タンパク質やデンプン、脂肪を分解する力が強く「分解屋」の異名を持つ好気性菌。分類上は、バチルス属の中の枯草菌の仲間で細菌の一種。
田んぼや湿地を好み、ワラや枯れ草などに棲みつく。pH七〜八の弱アルカリを好む。「宇宙から来た菌」「世界最強の菌」と呼........

乳酸菌(にゅうさんきん)

通性嫌気性菌で、嫌気的な条件で乳酸をつくるが、酸素があっても平気。桿菌と球菌があり、桿菌にはヨーグルトや乳酸菌飲料をつくるラクトバチルス、球菌にはチーズやヨーグルトをつくるストレプトコッカスなどがいる。
糖をエサに乳酸などの有機酸を多くつくり出し、抗菌作用を発揮するため、「掃除屋」の異........

酵母菌(こうぼきん)

糸状菌(カビ)の仲間だが、カビ特有の長い菌糸はつくらず、カビの胞子が独立したような丸い形で、カビと細菌の中間的な性質を持つ。
糖をエサに、体の中でアミノ酸、ビタミン、核酸、ホルモンなど様々なものをつくり出す「合成屋」。人間の体内では作り出せない必須アミノ酸も合成する。
酸素........

酢酸菌(さくさんきん)

酵母菌が糖からつくったアルコールをエサに酢酸をつくる、酢醸造には不可欠な菌。
好気性菌であり、柿酢など自家醸造の果実酢を作るには通気性を確保することが大切。酢酸菌の好きな温度は四〇度、冬はあまり働かない。
米ヌカの葉面散布では、乳酸菌とともに酢酸菌が増え、乳酸や酢酸によって葉面の........

放線菌(ほうせんきん)

細菌、糸状菌と並ぶ三大微生物の一つ。抗生物質を出して糸状菌の菌糸を溶かしたり、伸びるのを抑えたりなど、その抗菌作用が注目される。リンゴのモンパ病やイネのイモチ病をも抑制する。また、家畜糞の悪臭のもとである低級脂肪酸の分解酵素をもつので悪臭を消し去り、しかもハエの卵も食べる。だから放線菌堆肥は悪臭が........

光合成細菌(こうごうせいさいきん)

湛水状態で有機物が多く、明るいところを好む嫌気性菌。べん毛で水中を活発に泳ぎまわり、土にも潜る。田んぼやドブくさいところに非常に多く、イネの根腐れを起こす硫化水素や悪臭のもとになるメルカプタンなど、作物に有害な物質をエサに高等植物なみの光合成を行なう(酸素は出さない)異色の細菌。一説によると、地球........

好気性菌・嫌気性菌(こうきせいきん・けんきせいきん)

好気性菌は、酸素呼吸しながら有機物を分解するタイプの菌で、酸素がないと生育できない。反対に酸素がなくても生きていける菌を嫌気性菌という。有機物発酵にかかわる好気性菌の代表はこうじ菌と納豆菌。さらに酢酸菌も好気性菌。
一方、嫌気性菌には、酸素があると生育できない絶対的嫌気性菌と、酸素があ........

ミミズ(みみず)

畑でよく目にするのは主にフトミミズ。未熟有機物が好きで、堆肥や生ゴミの分解に活躍するのは主にシマミミズ。米ヌカをふった田んぼでトロトロ層つくりに働いているのはイトミミズ。
ミミズは豊かな土壌を作る最高の立役者だ。というのも「食べる・糞をする・尿を出す・動きまわる・死亡する」というミミズ........

自活性センチュウ(じかつせいせんちゅう)

センチュウというと、ネコブセンチュウなど、有害な寄生性のセンチュウを思い浮かべがち。だが、じつは地球に生息するセンチュウの九〇%が、無害どころか土つくりに欠かせない重要な存在である自活性センチュウだ。
自活性センチュウは落ち葉などの有機物を食べて分解し、微生物が働きやすい環境をつくる。........

団粒(だんりゅう)

土壌粒子が陽イオンや粘土鉱物、有機物(腐植)などのはたらきによって結合し、小粒の集合体となったもので、そうした状態を団粒構造という。これに対して、土壌粒子がばらばらの状態にあるものは単粒(単粒構造)という。
作物栽培上では水の中でも壊れない団粒(耐水性団粒)が重要である。団粒構造が発達........

腐植(ふしょく)

土壌有機物と同じ意味で用いられることもあるが、とくに土壌中で動植物遺体が土壌生物によって分解・再合成された暗色無定形(コロイド状)の高分子化合物(腐植物質)をさすことが多い。
腐植は機能的な面からは、栄養腐植(土壌微生物に分解されやすく養分供給源となる)と、耐久腐植(土壌微生物に分解さ........

発酵(はっこう)

有機物が微生物の作用によって分解され、アミノ酸や乳酸、有機酸、アルコール類、二酸化炭素などが生成される現象で、一般には人間や動植物の活動にとって都合がよく役立つもの(有用物質)が生産される場合をさし、有害物質が生産されたり悪臭を発したりする「腐敗」と対比的に用いられる。
好気性微生物(カ........

腐敗(ふはい)

有機物(有機チッソを含む物質)が微生物の作用によっておもに嫌気的に分解され、有害な物質が生成されたり悪臭が発生したりする現象。一般には、食品や農畜産物などが微生物の作用によって変質することをさす場合が多いが、農業関係では土や畑の状態をさすことも少なくない。
水口文夫さんは、土壌中にすき........

キレート化・錯体(きれーとか・さくたい)

吸収されにくい養分を吸収しやすくする仕組みの説明によく使われる。キレートとは、ギリシャ語で「カニのハサミ」という意味で、吸収されにくい養分をアミノ酸や有機酸によってカニバサミのようにはさみ込んで、吸収されやすい形に変えたり、反対に有害物質を無害化したりする。作物が根酸を分泌して周囲にあるミネラルを........

酵素(こうそ)

味噌や醤油、日本酒などが微生物の発酵の力を借りた食品だが、その作用が微生物の体内にある物質(酵素)によるとわかったのは一〇〇年ちょっと前。酵素は生き物の体の中でつくりだされた物質(タンパク質)で、体内に取り込んださまざまな養分の代謝(分解・合成)にかかわり、その速度をコントロールしていることがわか........

酸化・還元(さんか・かんげん)

「酸化」とは酸素と結びつくか水素を奪われることで、「還元」とはその逆の現象である。
たとえばチッソ肥料の硫安(チッソはアンモニアNH4)を施すと、アンモニアは、土の中でNH4+→NO2-→NO3-と変化して作物に吸収される。この現象は、チッソが酸素と結びつくから「酸化」であり、硝酸に変化........