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堆肥稲作(たいひいなさく)

堆肥を「肥料」として使い、足りない分を化学肥料で補う堆肥栽培の稲作版。

堆肥の肥料分は、時間の経過・気温の上昇とともに分解してジワジワ出てくる。とくによく効いてくるのが六月末以降(暖地ではもう少し早い)と、田んぼの地力チッソが出てくる時期に重なる。イネにとっては出穂四五〜三〇日前の生育中期、太い直下根をグイグイ出し、穂づくりの準備に向けてチッソの要求量がぐんと高まる時期にあたる。

この時期、元肥に速効性の化学肥料を多めにやるV字型稲作では、過剰分けつを抑えるために中干しなどでチッソ肥効を抑えたほうがいいとされる。しかし実際には、気温が上がると自然に出てくる地力チッソの肥効まで抑えることは難しいため、分けつ過剰となりやすい。茎が細く倒伏しやすく、穂も小さくなってしまう傾向がある。

堆肥稲作ではあらかじめ化学肥料の元肥は控えめにして、栽植密度を少なくする。すると初期生育は控えめだが、生育中期にかけて肥効が出てきて必要茎数をゆっくり確保できる。過剰分けつが少ない生育となるため太茎大穂となり、登熟もよくて収量が上がる。さらに近年の高温障害にも強い傾向にある。

しかも堆肥は、気温が高くて生育が進んだ年には早く効き、逆に低温の年には自然にゆっくり効いてくれる。イネが必要とするときに必要なだけ吸う形に近くなるため、収量・品質が天候に左右されにくい。「元肥なしの硫安一発」への字稲作を提唱した井原豊さんも、じつは自分の田んぼでは「牛糞堆肥四〜五t元肥+疎植」でタダどり小力への字型有機栽培を実践していた。

ただし、使う堆肥の種類や地域の気温、土質等によって肥効の出方は変わってくる。寒冷地では茎数確保のために化学肥料の元肥を少量補う、西日本では元肥なしでさらに疎植にするなど、出穂四五日前に目標茎数の六割程度を確保することを目安に、それぞれの田んぼに合った施用量、栽培方法を見つけたい。


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