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への字稲作(へのじいなさく)

田植え後はさみしい姿、ゆっくりした生育で、出穂四〇〜三〇日前ごろの生育中期にもっとも旺盛になり、収穫期に向けておだやかに色がさめていく――こうした生育パターンを、その文字の形状になぞらえて「への字」稲作と呼ぶ。故・井原豊さんが提唱したイネつくりで、一九八八年の本誌連載以来、全国にこの名称が広まった。

当時、指導機関が農家に勧めていたのは、速効性の化成肥料を使っての早期茎数確保型の稲作(V字型稲作)。それに対して井原さんは、化学肥料の元肥チッソゼロ、出穂四五日前前後の硫安一発施肥で、必要な茎数は幼穂形成期(出穂二五日前頃)までにとればいいというやり方を基本にすることを提案した。なんといっても肥料代が安くすむこと、しかも病害虫の被害が少ない健康なイネに育ち、倒伏もしにくいということで、とくにコシヒカリをつくる農家に喜ばれた。

あくまでも生育パターンが「への字」であればいいので、施肥のやり方は硫安一発に限らない。気温や地力の低いところでは、元肥に化学肥料チッソを少量やってもいい。また堆肥を元肥として生かす堆肥稲作も、「への字」生育の傾向がある。同様に身のまわりで安く手に入る米ヌカ緑肥などの有機物を元肥にしてもいい。

への字稲作でつくったお米は食味もいいといわれている。


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