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石灰防除(せっかいぼうじょ)

安くて身近な石灰(カルシウム)を、積極的に効かせて病気に強くする防除法。石灰は肥料であり、農薬でないのに極めて病気によく効いて「究極の防除法」との呼び声も高い。適用農薬が少ないマイナー品目でも気軽に使えて重宝する。

石灰の難点は、施用すると土中の炭酸イオンと強く結びついて作物が吸収しにくくなること。そこで、追肥的に、適期に効かせる方法が次々生まれてきた。

象徴的で斬新だったのは、作物の頭からバサバサと粉状の石灰をぶっかける「石灰ふりかけ」の技だ。福島県の岩井清さんは、花が咲いた頃のジャガイモに粉状消石灰をぶっかけて、腐れやソウカ病のない肌のきれいなイモをとる(イモの糖度が増すというオマケ効果もある)。茨城県の大越望さんはイチゴの苗や定植後の株に、粉状苦土石灰をふってすぐかん水するというやり方で、炭そ病を抑え込んでいる。

水に溶かして葉面散布する手もある。苦土石灰一〇〇〇倍液の上澄みを散布してダイコンの軟腐病を抑えたり、モミ酢カキ殻を溶かした有機酸石灰液を愛用する人もいる。

石灰散布で病気に強くなる理由はいくつか考えられる。

(1)細胞壁が強くなる……石灰はペクチン酸と結びついて「ペクチン酸カルシウム」として細胞壁を形成している。石灰が吸収されれば細胞壁が強化され、さらに病原菌が出すペクチン分解酵素の活性を弱めて病原菌の侵入を防ぐ。

(2)作物の頭がよくなる……作物体内に石灰が多いと、病原菌からの刺激に対して敏感に反応し、眠っていた病害抵抗性が誘導・発現されやすくなる。

(3)高pHで病原菌を抑制……石灰をふると、葉面・地表面のpHが上昇。強アルカリで病原菌の細胞壁を溶かしたり、糸状菌など高pHが苦手な菌の繁殖を抑える。

その他にも最近の研究では、病原菌(軟腐病菌などの細菌類)が情報交換するときに使う物質(クオルモン)の分解酵素を石灰が活性化して、病原菌が集団になれず、作物に侵入できなくなることもわかってきた。


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