月刊 現代農業 > 「現代農業」用語集 > 基本の用語

自家採種(じかさいしゅ)

固定した品種(固定種)であるイネや野菜からは自分でタネが採れる。ただ、イネは一つの花(モミ)のなかで受精する(自家受精作物)ので比較的簡単に自家採種できるが、野菜には、アブラナ科のように一つの株の花のなかでは受精できないため、複数の株をいっしょに開花させてタネ採りしなければならない作物(他家受精作物)が多い。また、アブラナ科は交雑しやすいという特徴もあるので、その品種の特徴を維持してタネを採るには、他の品種の花粉が混じらないよう気をつける必要もある。

野菜ではF1(雑種第一代)品種の栽培が増え、昔に比べると自家採種する機会は減っている。しかし、このところ地域の在来種を大事にする運動が各地で起こり、自家採種の技術がふたたび注目されるようになってきた。長崎県の岩崎政利さんは、「タネ採りをすると、野菜づくりの究極の楽しさがわかるようになる。野菜と語れるようになる」と、約五〇品種を自家採種している。自家採種を繰り返すとだんだんその地に適応したタネとなり、病気や寒さ暑さにも強くなることを実感する農家も多い。

また、最近は購入種子代が高い。コスト減らしも兼ねてF1品種からのタネ採りにも挑戦する人が増えている。「思ったより形質のばらつきは出ない」そうだが、たとえばらついても、その中から数年かけて自分の気に入った形質のものを選んでいけば、市場流通向けではないが味のいいオリジナルの品種が生まれたりもするそうだ。

知的所有権(財産権)が重視されるのにともなって、登録品種の自家採種・自家増殖を規制しようという動きも出てきているが、タネを採ることは農家の権利として種苗法でも認められている。花などの一部の品目と、種苗の購入時に特別な契約を結んだ場合を除いて、農家が自分の経営の範囲でタネを採ったり苗を殖やしたりするのは自由である。


関連記事(会員の方は閲覧できます)

ルーラル電子図書館を検索

電子図書館:自家採種

同一ジャンルの用語 「基本の用語