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不耕起・半不耕起(ふこうき・はんふこうき)

本誌に不耕起栽培が頻繁に登場するようになった当初(二〇年ほど前)は、水田での事例が先行した。トラクタでの耕起・代かき作業が不要という手間減らし効果や、土中に前年までの根穴構造が残ることで、根圏が酸化的に保たれるなどの利点が注目された。また、耕していない土を根が突き破っていくことで稲体内に生じる植物ホルモン的な作用が、活力の高い太い根をつくったり、茎を太くしたりする効果も確認された。

その後、米ヌカの利用や土着菌などの微生物の活用と組み合わさって、不耕起・半不耕起栽培はさらに進化する。半不耕起とは、耕耘・代かきともに表層数センチをごく浅く耕すだけにとどめるやり方で、耕耘前に入れた米ヌカやボカシ肥、それに前年の切りワラ・切り株を、微生物が働きやすい表層に集中させることができる。これはイトミミズを殖やすことにもつながり、半不耕起はトロトロ層づくりのためにも重要な耕耘法となった。

近年では、サトちゃんこと福島県の佐藤次幸さんが「稲株がひっくり返る程度」の深さ一〇cm以下の浅起こしを推奨。低燃費・高速耕耘法と組み合わせることで、燃費も作業効率も大幅に改善した農家が多い。

畑での不耕起・半不耕起栽培も幅広い展開を見せている。水田同様の手間減らし効果はもちろん、根穴構造が保たれた畑は排水性と同時に保水性もよくなって干ばつにも長雨にも強くなる。また全層に肥料を混ぜ込むことができないため、部分施用となり、肥料も減らせる。部会単位の不耕起イチゴ栽培や、「ナス二〇年不耕起連続栽培!」などの記事が誌面にはよく登場する。

また三重県の青木恒男さんは、多品目の直売所野菜畑で不耕起・半不耕起のウネ連続利用を展開。以前、超粘土質の水田転換畑をフカフカにしたいと何回も深く起こしていた頃は「水を含むとドロドロ、乾くとガチガチ」で扱いづらかった土が、耕すのをやめた途端「水分が安定してしっとりと均一、それでいて排水がいい」土に変わったという。前作の残渣をそのまま有機物マルチや肥料として利用できる、土中に眠った雑草のタネを起こさないので草が生えにくい、なども利点だそうだ。

不耕起や自然農法に取り組む農家はたいてい「森林土壌は人が耕さなくてもいつもフカフカ」なことを根拠にする。「上からの土つくり」は、刈り敷き・敷きワラを伝統としてきた日本の農家の実感に沿うものなのかもしれない。


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