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小力技術(しょうりょくぎじゅつ)

「省力」と書くのが日本語としては正しいのだろうが、『現代農業』ではあえて「小力」と使うことが多い。小力技術とは、「『自然力』を活用することで、人は『小さい』力しか使わずにすむようになる技術」である。

この言葉を初めて『現代農業』誌上で使ったのは群馬県のキュウリ農家・松本勝一さん。松本さんは若い頃はがむしゃらに肥料をやって多収をねらって頑張ってきたが、病気をして以来、土やキュウリの潜在力をなるべく発揮させる方向でラクな栽培に変えた。キュウリは株間一mの超疎植にして好き勝手な方向に伸ばす「伸び伸び仕立て」に変え、ベッドもわざわざ作り直すのをやめて表層に発酵鶏糞を混ぜただけの春夏連続利用にした。以来、日当たりがよくなったキュウリの潜在力がいかんなく発揮され、土も微生物が勝手に耕してくれたせいか、かえって収量も品質も上がってしまったというわけだ。

高齢者や女性が農業の中心を担う時代になった一九九〇年代頃から『現代農業』は農家が次々開発する小力技術に注目。次々と誌面で紹介してきた。イネの「プール育苗」は水の保温力を借りてかん水や換気をラクにする技術だし、「土ごと発酵」は微生物の力を借りて土を耕し激変させ、堆肥つくりを不要にする技術である。「バンカープランツ」は、土着天敵の力を借りて農薬散布を激減させる技術である。

「省力」といってしまうと「力を省いてラクになる」イメージになる。これは機械力(石油力)・農薬力などを使ってその作業だけを単純に省くというときには合っているかもしれないが、自然力に助けてもらう場合は、不思議とその作業がただラクになるにとどまらない。作物が丈夫になったり、味がよくなったり、地域自然が豊かになったりと、「末広がり」になるのも小力技術の大きな特徴である。


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