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脱プラウ(省耕起)(だつぷらう(しょうこうき))

収穫後のプラウ耕は主に北海道の畑作で長い間常識とされてきた。だが、「プラウ耕は百害あって一利なし」と問題提起したのが元北海道大学の相馬尅之さん。相馬さんは、北海道の畑の物理性を広く調査するなかで、「ロータリによる過度な砕土+プラウ耕」が、土壌の間隙(隙間)を減らす原因であることを突き止めた。春先に一度ロータリで軟らかくした土は、作物が生育する春から秋に機械の踏圧で締まり、その土を秋にプラウで練り返すように下層に入れると、下層は間隙のない層となってしまう(左ページ図)。間隙がなければ水は通らず、当然根も伸びることができない。

また、(株)渡辺農事の寺田保さんも「深耕信仰」を批判する。プラウ耕で微生物の少ない下層を反転して上に出すと、上層は高温・乾燥に弱くなり、ダイコンのイオウ病菌などが異常繁殖する。また、プラウ耕で下層に犂底盤ができると排水が悪くなり、長雨後のレタスやハクサイは石灰を吸えず、チップバーンが多発する。

さらに農家の実感としても、嫌気的な深層にすき込まれた粗大有機物は分解しづらく根傷みを引き起こすことや、肥沃な表土を深層に入れ込むと肥料効率が悪いということがあった。

このような事情から、近年、北海道の畑作地帯では、プラウ耕を止め、レーキやハロー、スタブルカルチなどで浅く粗く耕すだけの「省耕起」に転換する動きが広がっている。プラウ耕を止めた農家は、「畑の物理性が改善し、保水性と排水性が向上する」「夏の畑の過乾燥がなくなる」「病気が減る」「施肥量が減らせる」「作業工程が減り、体がラクで燃料代が浮く」「雪解け水が停滞しないので、春は畑に早く入れる」など、さまざまなメリットを感じている。

プラウ耕をやめた上で、土壌の間隙を再生するために相馬さんが推奨するのは、練り固められた土壌にサブソイラなどで強制的に亀裂を入れる心土破砕である。ただし作業速度が速いと、せっかくあけた亀裂が自然に閉じてしまうため、時速二〜三kmという眠くなるほどのゆっくりスピードで行なうように、とのことだ。


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