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二本立て給与(にほんだてきゅうよ)

千葉県の獣医師・渡辺高俊さん(故人)が全二〇万頭の直腸検査から乳牛を健康に飼うために編み出した飼料給与法。名称の由来は飼料給与を粗飼料(基礎飼料)と濃厚飼料(変数飼料)に、乾乳期と泌乳期に分けて考えることから。

もともと牛は草を食べて、自分の健康を維持し、受精し、胎内で子どもを育て、産み、哺乳(一日五kgほど)してきた生き物である。その基本的な生理を草で満たそうというのが基礎飼料である。乳牛が体を維持し、乳を五kg生産できるエサは、NR(栄養比)七・五〜九・五。NRとはDCP(粗タンパク質)とTDN(可消化養分総量)のバランスで、(TDN―DCP)/DCPで導く。

いっぽう濃厚飼料(変数飼料)は乳牛が乳を出すためのエサで、分娩後一週間まで無給、八日目に五〇〇g給与し、その後は毎日一kgずつ増給。乳量二七kg・給与量五kgになってからは、乳量二kg増で一kg増給。泌乳ピーク後は乳量五kg減で一kg減給。乾乳で無給となる。

この給与法は多くの酪農家によって実践され、繁殖障害を克服しながら年間乳量を五〇〇〇kgから七〇〇〇kgくらいに引き上げた。しかし、のちに一万kg以上の泌乳能力を持つ牛が増えてくると、濃厚飼料は胃が正常に働く上限一〇kgを超えて給与せざるを得なくなった。一〇kg以内に抑えると栄養不足でタネが止まらなくなる。そこで、渡辺さんは宮城県の酪農家・佐々木富士夫さんに泌乳期の粗飼料のNRを下げる飼料設計を託した。つまり、粗飼料の産乳量を引き上げることで、濃厚飼料一〇kg以内のまま、一万kg以上の牛に対応できるようにした。佐々木さんは自ら実践してこれを確認し、「新二本立て給与法」を確立した。


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