No.108 農林水産省が8作物のIPM実践指標モデルを公表

 農林水産省消費・安全局植物防疫課は,2005年11月に病害虫,農薬などの分野の有識者からなるIPM検討会を発足させた。IPMは,総合的病害虫・雑草管理と訳し,『利用可能なすべての防除技術を経済性を考慮しつつ慎重に検討し,病害虫・雑草の発生増加を抑えるための適切な手段を総合的に講じるものであり,これを通じ,人の健康に対するリスクと環境への負荷を軽減,あるいは最小の水準にとどめるものである。また,農業を取り巻く生態系の攪乱を可能な限り抑制することにより,生態系が有する病害虫及び雑草抑制機能を可能な限り活用し,安全で消費者に信頼される農作物の安定生産に資するものである』。

 IPM検討会は,都道府県が地域に応じた具体的なIPM実践指標を作る参考となるように,主要作目または作物別の具体的な実践指標モデルを策定している。これまでに水稲,キャベツ,カンキツのモデルを作成して公表したが(環境保全型農業レポート.「No.18 総合的病害虫・雑草管理(IPM)実践指針案」「No.56 キャベツおよびカンキツのIPM実践指標モデル案」),2006年7月以降,新たなIPM実践指標モデル案が公表されていなかった。しかし,この間も作業は続けられていて,2008年8月1日に8作物(リンゴ,ナシ,トマト(施設),イチゴ(施設),ダイズ,サトウキビ,チャ,キク(露地))のIPM実践指標モデルが公表された。

 これらの案についての意見を2008年8月末日まで公募している。寄せられた意見を踏まえて必要な手直しを行なったものが,やがて「総合的病害虫・雑草管理(IPM)実践指針」のホームページに掲載されることになる。