無機態チッソの暫定排水基準の延長
「水質汚濁防止法」によって,2001年7月に公共水域および地下水(指定内湾を含む)への事業場(特定汚染源)からの無機態窒素(硝酸性+亜硝酸性+アンモニア性窒素の合量)の排水基準を100 mg/L以下とすることが施行された。ただし,すぐには基準達成が困難な事業場については,3年間1,500 mg/Lの暫定基準が設けられた。農業関係では畜産事業所(1日の排水量が50 m3以上の舎飼飼養の畜産事業所)が規制の対象であり,畜産事業所にもこの暫定基準が適用された。その後,2004年7月〜2007年6月までは,畜産事業所の暫定基準は900 mg/Lとされた。
この暫定基準の期限が近づいたため,環境省は2007年7月以降の暫定基準について,方針案を2007年3月29日に公表した。それによると,これまで無機態窒素の排水暫定基準を認めていた17業種のうち,暫定基準適用を廃止して一律基準に移行させるもの4業種,これまでよりも引き下げた暫定基準値を適用するもの11業種,これまでと同じ暫定基準を適用するもの2業種とし,畜産事業所にはこれまでと同様に900 mg/Lの暫定基準を適用する。
この暫定基準は,今後パブリックコメントを募集した後,6月1日頃に公布される「排水基準を定める省令の一部を改正する省令の一部を改正する省令」によって正式決定される。なお,この排水基準は非特定汚染源の農地には適用されない。
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