アメリカの有機農業法(全米有機プログラム National Organic Program:NOP,連邦法の番号7 C.F.R. §205と使用禁止および許可物質リスト)は,農業者や食品加工業者が有機農産物を販売する際には,同法にしたがって農産物の生産や加工を行なっていることを,認定された認証機関に確認してもらうことを求めている。
外国の農業者や食品加工業者が生産した農産物を,有機農産物としてアメリカで販売したい場合には,アメリカで既に認定されている認証機関の検査を受ければ良い。しかし,アメリカに所在する認証機関の係員に日本まできてもらうと,その都度の出張経費までも請求されることになる。同法の§205.500(c)(1)では,外国政府の要望によって,その国の認定機関を認定する基準が同法の必要要件を満たしているとアメリカ農務省が判断した場合には,アメリカ農務省に代わって,外国の政府機関が同国の認証機関がアメリカの法律に準拠した認定業務を行なうことを認定できることを規定している。この規定で承認された認証機関が日本にあれば,検査費用が安くてすむことになる。
既にこの合意は,ニュージーランドとイギリス(2002年),デンマーク(2003年),インドとイスラエル(2006年)との間でなされていたが,2008年5月19日に日本の農林水産省との間でも合意した。農林水産省消費安全局表示・規格課が担当だが,同課の監督の下に具体的な審査業務は独立行政法人農林水産消費安全技術センターが行なう。
この合意に基づき,2009年11月2日から農林水産省が全米有機プログラム基準に基づく認証機関の認定申請の受付を始めた。
日本の有機農業基準よりもアメリカのほうが厳しい部分があるため,日本の基準そのままではアメリカの基準をクリアできないので,注意が必要である。