神奈川県がその使用に警告
●推定されている原因
多量の牛ふん堆肥や馬ふん堆肥を野菜や花きの育苗用土に混合した場合,複数の県で作物の生育に異常がみられている。原因は未確定だが,一部の輸入粗飼料に含まれる除草剤の「クロピラリド」との関連が疑われている。この除草剤は国内未登録で,国内では使用されていない。この問題については,畜産草地研究所が2006年度から3年間にわたり「飼料および堆肥に残留する除草剤の簡易判定法と被害軽減対策の確立」を関係機関と協力して「農林水産研究高度化事業」の予算で開始したところである。神奈川県は2006年9月に,緊急に「普及指導資料」としてこの問題についての調査結果と注意点を公表した(神奈川県農業技術センター (2006) 牛ふん堆肥を育苗用土として使うときの注意について)。
●症状
障害は,多くの場合,問題のある牛ふん堆肥を,圃場では6t/10a 以上,育苗用土では容積比で用土の20%以上施用したときに起こる。圃場施用で2 t/10a程度施用している場合には障害は発生しないとされている。
症状は,生育初期から主枝の芯止まりや移植あるいは播種後2〜3週目にウイルス病のように生長点付近の葉が縮れ,その後に回復する場合としない場合がある。マメ科(ダイズ,エンドウ,スイートピーなど),ナス科(トマト,ナスなど),キク科(キク,ヒマワリなど),セリ科(ニンジン,パセリ,セロリーなど)で障害の発生が確認されている。
●堆肥の障害可能性の判定法
神奈川県ではダイズまたはエンドウを用いて,堆肥を赤土および腐葉土と混合してポットにつめ,無肥料で潅水しながら1か月栽培させて,生育を対照土壌(堆肥を加えず,肥料を添加)での生育と比較して症状がでるか否かを調べることを薦めている。具体的な試験法は,前述した神奈川県の資料に記載されている。