第4巻 畑作基本編・ムギ


畑作基本編 カラー

カラー口絵

畑作基本編

日本の畑作

まえがき−日本における畑作の重要性

I 日本の畑

II 日本における畑の存在構造

III 普通畑作物生産の推移

IV 畑作の技術と労働

V 畑作再興の諸問題

畑作農法論

I 日本畑作農法の現実

II 畑地の作付方式

III 農機具と農作業

IV 畑地の地力再生産

V 北海道の畑作農法

畑作の地域性

畑作の地域差

寒地の畑作

中間地の畑作

暖地の畑作

山梨県小菅村での自給的農業の歴史と課題

畑作の経営事例

近接地・温暖地畑作(両総台地)灌水施設導入,じょうずな作物組合わせで発展 ショウガ・サツマイモ・ラッカセイなど千葉県印旛郡八街町 土屋栄達さん(45歳)
近接地・温暖地畑作(富山平野)作目組合わせとサツマイモの貯蔵出荷で安定畑作経営 サツマイモ・タバコ・ダイコンなど富山県射水郡小杉町 坪田嘉治さん(56歳)
遠隔地・暖地畑作(菊池洪積台地)青果用サツマイモと和牛との組合わせで畑作経営の安定 サツマイモ・ムギ・ラッカセイなど熊本県菊池郡大津町 東肥青果物生産出荷組合
遠隔地・暖地畑作(笠野原台地)畑灌利用,飼料作物とサトイモの組合わせで経営合理化 ソルゴー・イタリアン・サトイモ・ラッカセイなど鹿児島県鹿屋市東原 小野山輝雄さん(31歳)

世界の畑作物動向

世界のムギ作の動向

世界のダイズ生産の動向


ムギ カラー

カラー口絵

ムギ

基礎編

ムギの日本史

I 日本人とムギとの出会い

II 古代(大和〜平安時代)の麦作

III 中世(鎌倉〜室町時代)の麦作

IV 近世(安土・桃山〜江戸時代)の麦作

V 近代(明治初年〜現在)の麦作

VI 今後の麦作

ムギの起源と特性

I ムギの分類と起源

II ムギの植物学的特性

生育のステージと生理・生態

I 種子と発芽

II 栄養生長期の生理・生態

III 穂の分化と発育

IV 子実の成熟

根の生長と根系の発達

ムギの種類,品種と選択

コムギの品種と選択

●平成12〜15年度育成

●平成15〜19年度育成

さとのそら−早生多収の通常アミロース含量品種

コムギ育種の現状と今後の展開

ビールムギの品種と選択

オオムギの品種と選択

オオムギ育種の現状と今後の展開

食糧用二条オオムギの品種と選択

カシマゴール−オオムギ縞萎縮病に強く成熟期の稈が折れにくい

ハダカムギの品種と選択

もち性オオムギの品種と選択

基本技術編

ムギ栽培の基礎理論

I 収量構成

II 生育と物質生産

4.根の生長と株の態勢

III 生育のタイプと収量構成

高品質と多収を同時実現する収量構成の考え方(コムギ)

生育過程と基本技術

I 播種と発芽

 種子の質と発芽

 播種期の早晩と出芽,生育

 播種深度と出芽,生育

 砕土と出芽

 土壌水分と出芽

 出芽状態の診断

 選種と種子消毒

 播種方法

 整地

 雑草対策

 排水対策

II 生育前期=分げつ期

 分げつのすすみ方を左右する条件

 分げつのふえ方と穂数

 ムギ踏み

 中耕,土入れ

 生育前期の除草剤による雑草防除

 北海道での秋まきコムギの分げつ性

III 生育中期=幼穂形成期

 幼穂分化期,節間伸長開始期の早晩とその影響

 追肥(穂肥)

 中耕

 土入れ

IV 生育後期=出穂〜成熟期

 出穂期,開花期の早晩とその影響

 成熟期の早晩とその影響

 倒伏の原因と対策

 収穫適期の判定

 収穫の方法

施肥と土壌管理

I ムギの養分吸収の特徴

II 肥効を左右する諸条件

 1.耕地の種類と肥効

 2.寒冷地の肥効と施肥

 3.多雪地の肥効と施肥

 4.関東東山地域の肥効と施肥

 5.土壌肥沃度と肥効

 6.前作と肥効

III 施肥の方法

 1.施肥位置

 2.肥料の形態

IV 生育診断と施肥

 寒地秋播きコムギの生育・栄養診断と追肥

 関東秋まきコムギの生育・栄養診断と追肥

 愛知県秋まきコムギ:きぬあかりの生育診断と追肥技術

 暖地コムギのタンパク含量低下回避技術

 西日本での高品質パン用コムギの栽培—高タンパク質化追肥技術とパン用新品種

 タンパク質含量と粉色を重視した土壌別追肥技術

 葉色診断による施肥対応—パン用秋まきコムギ‘キタノカオリ’

コムギのグルテン構成タンパク比の品種間差と追肥技術

 コムギの播種遅れによる減収を防ぐ施肥法

 コムギの開花期窒素追肥による子実タンパク質含有率の向上

 ハダカムギの晩まきによる弊害と施肥対応

各種の栽培体系

イネ−ムギ体系

イネ−ビールムギ体系

コムギ−ダイズ体系(寒冷地)

ダイズ−ムギ体系(関東)

コムギ夏まき1〜2月どり栽培

春まきコムギの初冬まき栽培

秋播性コムギの冬期播種栽培

春まきコムギの収量・子実タンパク向上技術

多雪地域における秋まきパン用コムギの栽培技術

ミナミノカオリの製パン適性に影響する要因

ミナミノカオリの収量向上および子実タンパク質含有率制御技術

暖地におけるパン用コムギ栽培での穂肥重点施肥の効果

間作ムギ体系

ダイズ立毛間不耕起散播栽培

種子生産の技術体系

飼料イネ収穫機械を利用した飼料ムギとの二毛作体系

問題になっている障害

コムギ立枯病(北海道)

縞萎縮病

赤かび病

ムギ類の枯れ熟れ様障害

夏期湛水による難防除雑草カラスムギ,ネズミムギ対策

ムギ(水田ムギ)の収穫・乾燥

I 収穫ムギに要求される品質

II 収穫作業

III 乾燥作業

IV 将来の新技術の方向

高水分コムギの収穫・乾燥技術

 収穫・乾燥の現状と今後の方向性

 高水分コムギのコンバイン収穫

 高水分コムギのハイブリッド乾燥

 紫外線照射による穀物表面付着菌殺菌技術

コムギの品質と加工適性

小麦の品質と一次加工(製粉)

 小麦の品質と一次加工

各種加工品と加工適性

 パン

 めん類

 その他

 用途からみた品種選択

 パン用コムギ

 北海道・パン用秋まきコムギ‘キタノカオリ’の作出—原動力となった生産者,実需者,研究者のネットワーク—

 製粉性・製麺性・穂発芽耐性に優れる多収コムギ品種きたほなみ

 硬質でタンパク質含有率が多いパン用コムギゆきちからをラーメンに

 銀河のちから−パン,中華麺用超強力コムギ品種

 ゆきはるか−わが国初の菓子用薄力コムギ品種

 ゆめちから−北海道で初めての超強力コムギ

精農家のムギ栽培技術

〈コムギ〉春よ恋 収穫方法の改善で春まきコムギの安定生産 ○刈倒し・天日乾燥・拾い上げ方式による収穫 ○輪作体系の歪みを解消,作付けが自由に ○不安定作物の春まきコムギを収益作物に北海道斜里郡斜里町 朱円麦作集団
〈コムギ〉ホクシン “麦なで”栽培で800kgどり ○“麦なで”による接触刺激で倒伏防止 ○倒伏防止にあわせた密植栽培で超多収を実現 ○輪作,排水対策,有機物投入による土つくり北海道中川郡池田町 松浦穣(49歳)
〈コムギ〉ホクシン ダイズ立毛中のコムギ播種 ○低コスト省力栽培による秋まきコムギの安定多収栽培 ○間作コムギとダイズによる連作回避 ○地域ぐるみのワークシステム構築北海道空知郡北村 新田国夫(60歳)
〈秋まきコムギ ホクシン〉畑作・酪農複合経営 ○良質堆肥の投入による土つくり ○農地の交換耕作で輪作体系を維持し反収700kgを実現 ○定期的な土壌分析で適正な土改材と肥料の施用北海道河東郡音更町 木村隆美(49歳)
〈コムギ ハルユタカ〉春まきコムギの初冬まき栽培 ○春コムギの初冬まきで安定生産に挑戦 ○高品質・多収(反収600kg)で実需者ニーズに応える ○地元製粉企業による加工販売も北海道江別市 片岡弘正(56歳)
〈コムギ〉タイセツコムギ,ホクシン・大型機械化一貫栽培 ○バーク堆肥の投入により重粘土壌を改良 ○適期播種,適正播種量,正確な播種深度を維持して安定多収 ○緻密な生育診断に基づく的確な追肥の判断北海道上川郡美瑛町 大西宣充さん(41歳)
〈コムギ〉ホクシン・大型機械化一貫栽培 ○和牛繁殖と組み合わせ,畑作の5年輪作体系を確立 ○土壌診断に基づく施肥改善と3回の追肥で高品質・安定多収 ○規模拡大に合わせた機械装備と改良で適期作業と5年輪作を守る北海道勇払郡追分町 中道幸夫さん(42歳)
〈コムギ〉キタカミコムギ・全面全層播き栽培 堆厩肥多投,密植による雑草防除と茎数確保で省力多収岩手県九戸郡軽米町 日山信一さん(44歳)
〈コムギ〉バンドウワセ,農林61号・田畑輪換 大型機械化一貫栽培 ○適期播種,適期追肥と石灰多量施用によって安定500kgどりを実現○ムギ−ダイズ二毛作2年,直播と移植を組み合わせたイネ2〜3年の田畑輪換○ムギの作業時間は10a当たり3時間以内の省力管理茨城県稲敷郡新利根町 太田新田営農組合
〈コムギ・オオムギ〉シロガネコムギなど・ムギ−ダイズの二毛作体系による大規模有機生産農場 ○水稲を禁止された重粘土の河北潟干拓地での土つくり ○鶏糞主体の自家製堆肥のみでの有機栽培 ○消費者と結びついて国産有機穀物の価値を創造石川県金沢市 井村辰二郎(43歳)
〈コムギ〉伊賀筑後オレゴン・慣行栽培 車輪跡への広幅播き,少肥・土寄せによる“めん用””ムギつくり長野県更級郡上山田町 中沢国雄さん(53歳)
〈コムギ〉農林61号・有機質肥料無農薬栽培・加工品の開発と販売 ○婦人部の活動が発端となった地粉と麺類,パンなどの加工,販売 ○パン・麺類など有機コムギ加工品の開発と販売 ○堆肥と有機ペレット肥料,無農薬で「浅羽有機コムギ」をブランド化静岡県磐田郡浅羽町 遠州中央農業協同組合浅羽支店
〈コムギ〉農林61号・不耕起直播栽培 ○雨に左右されない適期播種と省力化を実現 ○不耕起で有効茎歩合の高いむだのない生育で安定・多収 ○LP40の播種同時施肥と発芽時の速効性肥料の2回分施体系愛知県安城市 農事組合法人 和泉営農組合
〈コムギ〉農林61号・地域をあげての,水田作コムギのタンパク含量向上 ○イネ−ムギ−マメの2年3作で土地の高度利用 ○出穂10日後追肥でタンパク含量向上 ○地域をあげた取組みで実需者の要望実現をめざす滋賀県 東近江地域 
〈コムギ〉イワイノダイチ,中国143号 中山間地域での小麦作,生産と特産加工を結ぶ石臼挽き「黒いうどん」 ○中山間地域に特有の気象環境に対応した転作コムギづくり ○農業試験場・加工業者と連携しての品種選定・栽培・加工・販売試験 ○石臼製粉をセールスポイントにした「黒いうどん」の加工販売広島県双三郡君田村 山口誠(64歳) 岡山県苫田郡奥津町 田中省三(69歳)
〈コムギ〉さぬきの夢2000 県産麦によるさぬきうどんの原料自給をめざした高品質安定栽培 ○基盤整備を契機に集落営農で取り組む転作コムギづくり ○経営規模を拡大し労働時間の省力化を実現 ○排水対策に重点をおいたコムギ栽培香川県木田郡三木町 多田孝夫(57歳)
〈チクゴイズミ・ほうしゅん〉 省力化・効率化と緻密な手入れの両立で高収量・高品質 ○排水対策の徹底と品質改善への取組み ○経営安定のためコムギ作付けの半分は採種用 ○大規模経営を妻と2人でこなすための土地利用と作業効率化福岡県筑前町 斉田藤尚
〈コムギ〉ミナミノカオリ・実需者と連携した水田作での硬質コムギのタンパク含量向上 ○出穂10日後の実肥でパン用として適正なタンパク含量を確保 ○地域の製粉,製麺,製パン業者と連携した取組みで実需者の要望実現を目指す ○地場産‘ミナミノカオリ’100%粉の個性をアピール福岡県 うきは地域
〈コムギ・オオムギ・ビールムギ〉チクゴイズミ・ニシノホシ・ミハルゴールド 排水対策の徹底と入念なムギ踏みで500kgどり ○圃場作業効率アップで反当たり労働時間6時間以下 ○肥料・品種選択,合理的作業体系で低コスト・高収益 ○ていねいな作業で信頼を得る17haの大規模経営佐賀県佐賀市 荒巻秀泰(44歳)
〈オオムギ〉ムサシノムギ・慣行栽培 2年5作,落葉堆肥,細かい管理で全体を高める安定技術栃木県芳賀郡茂木町 大貫 勇さん(64歳)
〈オオムギ〉カシマムギ・慣行栽培 露地野菜との組合わせ−省力安定技術神奈川県秦野市横野 今井暉夫さん(60歳)
〈オオムギ〉カワサイゴク・飼料用=畦立栽培 品種選択,排水対策,中耕・土入れ,ムギ踏みの徹底福岡県筑後市大字久恵 尾山 守さん(53歳)
〈オオムギ〉ニシノチカラ・うね立てドリルまき栽培 ○オオムギ,コムギと中生,晩生イネとの組合わせで作期と作業性を考えたローテーション ○品種特性,気象や生育診断,圃場条件に合わせたきめ細かな施肥 ○トラクターカルチによる土入れで排水対策と生育コントロール佐賀県杵島郡有明町 原巻 守さん(39歳)
〈ビールムギ〉ほしまさり・春播栽培 融雪促進−早播き−大型機械一貫体系北海道網走市浦土別 渡辺由市さん(48歳)
〈ビールムギ・コムギ〉ミカモゴールデン,ミサトゴールデン,バンドウワセ・ドリル播き 大規模米麦3年5作の輪作体系で低コスト・高品質・安定多収栃木県下都賀郡藤岡町 渡辺 昇さん(51歳)
〈ビールムギ〉はるな2条・水田転作 ビールムギ茶の製品化・販売 ○売れないビールムギをムギ茶として製品化 ○「新ムギ茶」の抜群の香りと甘味が根強い人気を得る ○8〜10月の3回の耕起で除草剤は1回に減少茨城県北相馬郡藤代町 農事組合法人 ニューファーマーズふじしろ
〈ビールムギ〉成城1号・慣行栽培 夏作との組合わせで地力維持,条間を広げた安定栽培神奈川県秦野市戸川 久保寺重雄さん(64歳)
〈ビールムギ〉あまぎ二条・地元産麦で地ビール,パン,パスタ加工 ○日本で唯一の国産オオムギによる麦芽生産で地ビールつくり ○食・農体験を軸にした農業公園構想で「六次産業化」がスタート ○重粘土地帯でムギの不耕起栽培に挑戦三重県阿山郡阿山町 伊賀の里モクモク手づくりファーム
〈ビールムギ〉成城17号・ダイセンゴールド・全面全層播き栽培 ドラム罐鎮圧機で発芽,苗立ちの安定岡山県津山市平福 宇津美 固さん(58歳)
〈ビールムギ〉成城17号・簡易全層播き栽培 生わら耡込み,排水管理,集団機械化で安定確収山口市大字名田島 角村吉雄さん(69歳)
〈二条オオムギ,ハダカムギ〉ニシノホシ,イチバンボシ 味噌・焼酎用品種の契約栽培で「地産地消」ムギ産地確立 ○加工メーカーとの共同研究による品種選択 ○地域のムギで地域の焼酎,地域の味噌 ○加工に適した品質を確保する栽培法確立大分県 宇佐地域
〈ハダカムギ〉キカイハダカ・全面全層播き栽培 堆厩肥の投入−出芽数の確保で作柄が安定香川県多度郡琴平町 小野貞男さん(34歳)
〈ハダカムギ〉イチバンボシ・浅耕ばらまき栽培 ○徹底した排水対策で強湿田でムギ栽培を実現 ○3〜5cmの浅耕ばらまき後,溝切りをしながらの覆土で発芽をそろえる ○追肥重点の施肥管理と2〜5回のムギ踏み,3〜4回の土入れで安定多収愛媛県西条市 安藤鶴美さん(61歳)
〈ハダカムギ〉イチバンボシ・うね立てドリルまき栽培 ○熟期の異なる3麦種をイネ,ダイズと組み合わせ,土地利用率200%を実現 ○主要な農機具は共同利用,修理・点検も自己完結 ○気象の変動に応じた綿密な播種・追肥・踏圧管理で安定多収福岡県三潴郡三潴町 西田 健さん(55歳)
〈ハダカムギ〉イチバンボシ・農機具の共同利用,期間借地の斡旋 ○ブロックローテーションによるイネ−ムギ−ダイズの輪作体系確立 ○排水溝掘りをかねた,3回のムギ踏みと土入れで安定多収 ○ハダカムギは味噌協業組合に出荷され高級味噌に大分県宇佐市 下矢部営農集団