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夏肥(なつごえ)

カンキツの施肥時期を示す用語で、正確には夏元肥。静岡県柑橘試験場場長を務めた中間和光さんが、カンキツ樹の光合成が光の強さより温度と日長に支配されることをふまえ、その条件をもっとも満たす夏季にこそ、必要な養分も供給すべしとして提唱した。

中間さんの試算では、年間チッソ施用量二〇〜二四kg(収量四tとして)のうち六割を夏肥として、二次生理落下の済んだ六月下旬に施す。また秋十月に残り四割を追肥し、春は施用しない。

この体系は、それまでの春に元肥をやり、秋には礼肥、夏はせいぜい春肥の補いとして必要ならやるという施肥法を大きく変えるものとして多大な反発を呼んだが、樹勢の安定に伴う隔年結果の解消、春芽の充実に連動する高品質生産の実現といった現場での成果が上がるにつれ、認知されるようになった。また、熊本市みかん実験農場(当時)の飛鷹邦夫さんの一連の施肥試験もその普及に力を貸し、普通温州ミカンや晩柑類にはあてはまっても、収穫時期の早い早生種や極早生種では着色の遅れや品質の低下があるのではという不安を払拭した。

「肥料などいつやっても樹は勝手に吸収する。それより大事なのはせん定」という果樹農家が多かったなかで、その盲点を衝いたこの夏肥技術はミカンのみならず、リンゴやその他の果樹でも施肥について見直す契機をつくった。


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