No.36 流出水への監視強化へ

2006年度から調査を開始

 環境保全型農業レポートNo.11に紹介したように,1984年の湖沼水質保全特別措置法の公布から20年を経過したにもかかわらず,霞ヶ浦や琵琶湖などの全国で10の指定湖沼の水質は一向に改善されていない。この原因の一つとして,流域の農地や市街地の非特定汚染源からの流出水による負荷を十分評価せず,対策も講じていなかったことが,総務省による湖沼の水環境の保全に関する政策評価や,中央環境審議会の「湖沼環境保全制度」答申で指摘された。こうした動きを受けて,2005年6月に「湖沼水質保全特別措置法の一部を改正する法律」が成立し,農地・市街地からの流出水対策が必要な地域を,新たに「流出水対策地区」に指定し,「流出水対策計画」を策定の上,対策措置を進めることができるようになった。

 これを受けて,環境省は2006年度から3年間,「流出水対策推進モデル計画策定調査」(3,600万円)を実施することを2005年12月に環境省の平成18年度予算(案)の概要のなかで公表した。

 この調査は,指定湖沼の流域の中から対象地区を選定し,(1)流出水対策に関係する資料,データ等の収集整理,(2)流出水対策に対する地域住民意向等の把握・分析,(3)対策実施前からの地区内水質の把握,(4)流出水対策の効果把握を調査し,流出水対策推進モデル計画の検討・策定,計画策定手法の確立を図ろうとするものである。このように農地からの養分排出について監視の眼が厳しくなろうとしている。