山口県の雑煮は醤油仕立てで、丸もちを焼かずに入れるという点は共通ですが、だしを何でとるか(昆布や煮干し、かつお節など)、もち以外に何を入れるか(かぶ、大根、油揚げ、白菜、ねぎ、焼き豆腐など)は地域や家庭により異なります。三方を海に囲まれ豊富な魚介類に恵まれていますが、雑煮の具材にすることは少なく……
温海《あつみ》かぶは、山形と新潟の県境、鶴岡市(旧温海町)一霞《ひとかすみ》地区で400年以上前から焼畑農業でつくり続けられている在来の赤かぶです。山の斜面で無農薬・無肥料で栽培されるこのかぶは、皮がやわらかで、中はかたくてシャキシャキ感が強く、甘味があります。現在は甘酢漬けが一般的になり、庄内……
南会津郡の旧舘岩《たていわ》村(現南会津町)の赤かぶを使った甘酢漬けです。皮が赤紫色のこのかぶは、舘岩以外の土地で育てても同じように色づかないといいます。これは標高600~1000mの高冷地である舘岩の気候や土の成分によるものといわれています。甘酢で漬けると中まで鮮やかな紅色に染まります。さっぱ……
万木かぶは、県北西部の安曇川《あどがわ》流域の高島市安曇川町西万木《にしゆるぎ》で栽培されてきた在来のかぶです。やわらかく、渋みや苦味、辛さが少なく甘味が強いのが特徴で、寒風に当てて干すことで余分な水けが飛び、歯ごたえがよくなります。また、重しをしっかりかけて低温でゆっくり発酵させることで味に深……
かぶらずしは、正月の伝統的な料理として各家庭でそれぞれ腕によりをかけてつくり、親戚や知人に配ったものです。脂ののった能登のぶりは漬けこむとロースハムのようなピンク色になり旨みが際立ちます。かぶはより甘く上品な味わいになります。 魚と米(めし)を発酵させるなれずしとは違い、麹も加えて北陸のマイナス……
府北部の丹後地域では、小豆雑煮や味噌雑煮(海藻入り、かぶ入りなど)で正月を祝います。小豆雑煮を食べる家庭の方がやや多いようです。元日に食べるか2日に食べるかは家庭によります。 小豆はその赤色が邪気を払う厄除けとされ、祝いのときの赤飯や正月の小豆雑煮などで大切に食べられてきました。自家で収穫した小……
さっとゆでたかぶらとかぶらの葉を大根おろしで和え、醤油をかけて食べます。県内でも主に東部の富山市、上市《かみいち》町、魚津市などで食べられる料理で、普段の野菜のおかずとして、何かもう一品欲しいというときなどによく出されました。かぶらの歯ごたえと甘さに大根おろしの辛みがよく合い、醤油の旨みも加わっ……
米沢市に残る伝統野菜「遠山かぶ」を使った酒粕入りの味噌汁です。遠山は産地の地名で、米沢藩9代藩主上杉鷹山《ようざん》公が財政の立て直しのため、産業振興策の一つとして「大根は東の梓山に、かぶは西山に、秋かぶは遠山に」つくるように推奨したことからさかんに栽培されるようになったといいます。種は上杉家が……
津田かぶは勾玉《まがたま》のような形をした外皮が赤紫色のかぶで、東部の出雲地域に伝わる伝統野菜です。正月頃にちょうど漬かり、カリッとした食感で風味がよく色も鮮やかなため、東部自慢の漬物として年始の来客のお茶うけやお土産にされてきました。もとより島根県はお茶飲み文化がさかんな土地柄で、漬物や煮物な……
松山周辺の正月料理で、だいだい酢を使ったさわやかな甘酸っぱさと鮮やかな緋色が特徴のかぶの浅漬けです。赤色が正月の縁起物として好まれます。12~1月と旬の短いかぶと、正月飾りにもするだいだいを使った地域・季節限定の料理です。正月用に漬けて1月中に食べきります。 緋のかぶは、江戸時代初期に松山藩二代……