魚の中で最も格が高いのがさわらという県南地域で、春の産卵期の直前にだけ食べられる料理です。さわら(狭い腹の意)は出世魚で立派なものは全長1mにもなり高価です。真子は春野菜や山菜を取り合わせることもあります。白子(精巣)も煮つけ、酢の物、味噌汁などにします。 煮るとくるりとめくれて花が開いたように……
さわらは岡山で広く親しまれている高級魚です。昭和30~40年頃、さわらが外海から産卵のため瀬戸内海に入ってくる時季(5月)になると「春のさわら」を売りにくる行商の魚屋さんの呼ぶ声が聞こえました。大きいものは70㎝~1m近くあり、刺身、煮つけ、焼き、酢じめなど用途に応じて切り分けてもらいました。朝……
このすしは鰆の鮮度の良さが命です。鰆、そら豆の緑、卵焼きと見た目も春らしく、木の芽がさわやかな香りを添えます。中に違う味の具が入っているので、食感や味の違いも楽しめます。基本は四角形でしたが、近年は扇子型が多くなっています。県内のほかのすし、カンカンずしや石切ずしよりすし飯の押し方が弱めなのも特……
すしを押す際、木枠のくさびを木槌でたたいて打ちこむときのカンカンという音から、この名前がついています。さぬき市、東かがわ市に伝わるすしで、さぬき市鴨部《かべ》地域では、各家でカンカンずしの木枠を持っており、今でも法事などの行事でつくられています。 田植えのとき、田んぼから上がる暇もないほど忙しい……
行事や祭り、結婚式、棟上げなどのおめでたい席の料理としてつくられる、岡山を代表するすしです。その誕生は江戸時代に遡り、宴席の食事を一汁一菜と制限した藩主の倹約令に対して、豪華な食事を楽しみたい町民がすし飯の下に具を隠して混ぜて食べたとか、すし飯の上にたくさんの具をのせても「一菜」だといってつくっ……
県内にはさまざまな年越しの料理がありますが、ここではその中の三つを紹介します。 「年越しのおかず」は、美濃と飛騨路をつなぐ要路にあたる川辺町で伝わる煮しめです。大晦日の夜になると、新米を炊いて丸干しいわしと年越しのおかずを食べました。今年は食べ残すほどの食料があった、来年もこうであるようにとたく……