キャベツについて知っておきたい話


ヘアリーベッチ混植でキャベツの害虫が減る

『現代農業』2009年5月号 116〜117ページ

ヘアリーベッチを混植した秋まきキャベツでの害虫の密度抑制効果を調べると、発生したコナガ、ウワバ類、モンシロチョウの幼虫数は、除草区に比較してヘアリーベッチ混植区で少なく、とくにモンシロチョウの産卵数および幼虫数はきわめて少なくなりました

どうやら障壁としての効果が最も重要であり、ウワバ類やアブラムシ類はおそらくリビングマルチがあることで、うまくキャベツまでたどり着けないことが要因であろうと思われます。

露地栽培キャベツの害虫被害を軽減させる研究を紹介した記事。へアリーベッチはマメ科で、雑草を抑え、地力増進にもつながる。農薬散布回数の削減や他の作物にも有効性が期待できるとのこと。


アブラナ科野菜の害虫はネット・遅播き・分散で防ぐ

『現代農業』2013年9月号 172〜175ページ

害虫の攻撃パターンを見てみよう。まず、もっとも目立つのがモンシロチョウなどの「空爆型」である。空を飛んできて葉にとまって卵を産みつけ、幼虫が葉を食い荒らす。ナガメなんかも空爆型といっていい。

空爆型のモンシロチョウが最大の敵であるキャベツやブロッコリーには物理的防御が有効である。

あらゆる虫害対策では苗のうちから虫をつけないことが重要で、生育がなるべく速く進むよう大きな苗を植えるのも大事なポイントである。私の場合、キャベツやブロッコリーは9cmポットに鉢上げした苗を畑に定植する。

苗を定植後、4mm目合い・2m幅の防風ネットのトンネルで覆う。

キャベツを含むアブラナ科の野菜は、被害を与える害虫の種類が多く、その被害の甚だしさもダントツで、無農薬栽培の難易度が高いという東山さん。だが、畑の作りまわしを考えた時、アブラナ科野菜の占める割合は大きく、害虫の対策は絶対に必要だそうです。「空爆型」のモンシロチョウには、大苗とネットの物理的防除で対抗しています。記事では、そのほか、コナガ、ヤサイゾウムシ、ヨトウムシ、ダイコンサルハムシ、カブラハバチ、ハスモンヨトウなどの被害とアブラナ科野菜の作りこなしの実際も紹介されています。


キャベツ畑にハクサイ植えたら、コナガはみんなそっちへ行っちゃった

『現代農業』1996年6月号 192〜194ページ

その年は苗不足だったので、挿し苗(補植苗)がなく、やむなくハクサイ苗を8月下旬、枯れ苗のあとに植えました。すると数日後には、コナガの成虫がハクサイに集中していたのです。「これは」と思い、畑の周りにハクサイ苗を植えたところ、それにも集まっていました。さっそく背負い噴霧器で農薬散布して集中防除しました。何回繰り返してみても、同じようでした。コナガはキャベツよりもハクサイが好きなようで、その年はラクに虫から守ることができました。

7月に苗を仕立てて、8月に定植する秋どりの作型。コナガが猛威をふるう時期の作型ですが、まったくの偶然から、コナガがキャベツよりハクサイを好むらしいと発見。集中防除で効率良く退治することができるようになりました。記事では、そのほか春どりの作型での防除や大苗仕立てについても触れています。


キャベツの基礎知識

 アブラナ科に属する一、二年生の草本であり、メキャベツ、コールラビ、ブロッコリー、カリフラワーと同じ種である。

比較的冷涼な気候(15〜20℃)を好み、耐寒性は極めて強い。一方、耐暑性は比較的弱く、22℃を超えると生育が衰え、28℃を超えるとほとんど生育しない。

緑色植物バーナリゼーション型で、低温に感応する苗の大きさ(苗齢)は品種によって大きく異なる。

モンシロチョウやコナガなどの鱗翅目害虫による被害が多く、立枯病、黒腐病、菌核病、根こぶ病、バーティシリウム萎凋病などが代表的な病害である。

「冬キャベツ」、「寒玉」と呼ばれるキャベツが主流で、球がかたくしまり、球内が白色で偏平な形をしている。一方、結球がゆるく球内まで緑色の残る「春キャベツ」、「春玉」、通称「サワーキャベツ」の栽培が、愛知県(春玉と寒玉の両方)、神奈川県、千葉県で主流となっている。

以上、『農業技術用語辞典 NAROPEDIA』より抜粋。『農業用語辞典 NAROPEDIA』は、約16,000の重要語を網羅した用語辞典。ルーラル電子図書館内に収録されていますが、どなたでもご覧になれます。


キャベツの野生種の写真

『農業技術体系 土壌施肥編』で、キャベツの野生種の写真が見られます。