下北地域では、端午の節句になるとべこもちをつくります。べこもちはもち粉とうるち米粉に黒砂糖と白砂糖を入れて別々に混ぜ、2色の生地を組み合わせて模様をつけたもち菓子です。きれいに模様を出すのは難しく、稲わらを束ねた「たばね模様」のつもりなのに、失敗すると「これはがに(蟹)だが?」とからかわれること……
米粉の生地であんを包み、色をつけたもち菓子で、花まんじゅう、花だんご、ひなだんごとも呼ばれます。女の子のいる家庭では桃の節句には必ずつくり、くるみと黒砂糖入りの「きりせんしょ」(『米のおやつともち』p68)とともにおひな様や神様、仏様に供えました。 このお菓子が見られるのは県央部の北上川流域の水……
砂糖醤油で味をつけたもちで、ひと口かじると中から黒砂糖がとろっと出て、くるみや黒ごまの風味と歯ごたえがおいしいです。古くから盛岡市や滝沢市、花巻市、遠野市、紫波《しわ》町などの県央部で桃の節句には「ひなまんじゅう」(『米のおやつともち』p67)とともにつくり、おひな様や神様、仏様に供えました。農……
県北東部の新庄《しんじょう》市や最上《もがみ》地方では、旧暦の桃の節句になると色とりどりのくじらもちを大皿に盛りつけてひな壇の前にお供えします。くじらもちに使う米の粉は細かいほど仕上がりがなめらかになります。かつては米を3日以上浸水してから乾燥させ、製粉所に持ち込んでいました。仕込みから蒸し上が……
米粉の生地を薄くのばして焼いた素朴なお菓子です。材料も少なく調理も簡単ですが、指で表面に筋をつけることで、焦げ目のつき方に変化がついて風味や食感の違いが楽しめます。うるち米の粉なので歯切れがよく、小腹がすいたときは何枚も食べられます。県内では米粉の代わりに小麦粉を使ったり、中に煮豆やあんを入れた……
米粉、砂糖、塩、熱湯でつくる、ほんのり甘くもちもちした食感の素朴な食べもので、県北を中心に親しまれている家庭の味です。また筑北村坂井地区では、金太郎あめのようにして花柄などの美しい模様の、目でも楽しむやしょうまがつくられています。お釈迦様が入滅された旧暦2月15日の涅槃会《ねはんえ》に供えるもの……
府南部の京田辺市あたりでつくられてきたものです。この地域ではあんを中に包むことはせず、間にはさんで「だんご」をつくります。また、生地を型押しして模様をつけるのも独特で美しく、桃の節句に花を添えるものになっています。型は以前は木型を使いましたが、生地が型に残って洗う手間もかかるので、カットガラスの……