こんにゃくいもの産地の渋川市では、寒い冬には手づくりの生いもこんにゃくをゆで、ゆでたてに甘辛い味噌だれをかけて食べます。囲炉裏《いろり》を囲んだ家族に、自在鉤《じざいかぎ》にかけた鍋からこんにゃくをとり出して、味噌だれを塗ってすすめるのは主婦の役割。あつあつの味噌おでんは心も体も温まり、近所の人……
伊勢原市では、こんにゃくは、家庭でこんにゃくいもから手づくりしていたため手間がかかり、日常の食事で食べることはあまりありませんでした。畑のわきの柿の木の下に植えており、秋になるとこんにゃくいもを掘り上げて、いもの状態で保存しておきます。冠婚葬祭があると、こんにゃくを手づくりし、煮しめや白和えなど……
こんにゃくの心地よい食感と、香ばしいごまの風味。なめらかにすった豆腐の和え衣はのど越しもよく、まろやかな味の和え物です。少し手間がかかることから、家庭で日常的につくることが少なくなっています。 調査に協力してくださった方は北播磨地域の北部の山間地になる八千代地区(多可《たか》町)の出身です。凍り……
県の山間部ではこんにゃくいもの栽培がさかんであったため、家々で自家製こんにゃくがつくられ、刺身や白和えで食べていました。また、節分には「体の砂おろし」になると言ってこんにゃくを食べました。県北東部で島根県の津和野町に隣接する旧阿東《あとう》町(現山口市)の道の駅では、今でもこんにゃくいもが売られ……
県中央部にある伊勢原市では、手づくりこんにゃくでつくる白和えが、法事や葬式などの仏事の料理とされてきました。具はこんにゃくだけで、野菜は入りません。今でこそ白和えを普段のおかずにすることもありますが、昔は日常の菜《さい》(おかず)にすることは避けていました。聞き書き調査をした家庭では、伊勢原に嫁……
白和えはそのときどきに家庭にある野菜や貝類などを具材にして日常のおかずとしても食べられています。三豊《みとよ》市で聞いた話では、普段はそのときにある食材、たとえば、家で収穫したほうれん草や近くでとれたはまぐりやあさりなどを入れてつくったそうです。商店が近くにあり豆腐も入手しやすく、すぐ近くで潮干……