おかいさん(茶がゆ)は、和歌山を代表する食文化の一つです。面積の8割以上が山地で水田が狭く、米が不足がちだったため、県下ほぼ全域でわずかな米でつくるおかいさんが日常の食として受け継がれてきました。 「米1合に水1升」といわれるように、水の割合が多いのが特徴で、朝、昼、晩、やつ(間食)と1日4~5……
三重県から和歌山県、奈良県の山間部の、米の収穫量の少ない地域で考えられた料理です。茶がゆは水分が多いため、米が少なくても満腹感があり、大人数で食べられます。米と水、茶葉だけで手軽にでき、口当たりも消化吸収もよく、食欲のないときに最適です。 県内では、調査した松阪市以外に、熊野市紀和町、紀宝町、津……
「大和の朝は茶がゆで始まる」といわれ、県全域で毎日食べられている主食で、東大寺のお水取りの際に修行僧がいただく寺院の行事食でもあります。茶の風味と塩味が合い、昔から「さらっとしている」と表現されるように粘りがないのが特徴です。さらっと仕上げるために、米が割れない洗い方、火加減など、各家庭で工夫が……
瀬戸内海に浮かぶ周防大島《すおうおおしま》は水田が少なく、茶がゆは米を節約するためにかつて日常的に食べられていました。晒《さら》しで作った巾着(茶袋)に、自家栽培の豆茶を入れて、茶がゆ専用のカンスと呼ばれる鉄製の茶釜でつくられていました。豆茶だけでなく、ほうじ茶などを混ぜて使うこともあります。煮……
瀬戸内海の塩飽《しわく》諸島では碁石《ごいし》茶を使った茶がゆが、季節を問わず食べられていました。碁石茶は2段階発酵をさせた後発酵茶《こうはっこうちゃ》で酸味が特徴です。高知県・四国山地の大豊町《おおとよちょう》で数軒の農家が生産しています。碁石茶は交易品として、香川県から運ばれてきた塩や反物、……
県の西北端で利根川、江戸川という大きな川が流れる野田市近辺で食べられる、上新粉のだんご入りの小豆がゆです。「でえしっけ」とも呼ばれます。味つけは塩味ですが、めいめいで砂糖をかけて食べる家もあるとのことです。 昔、農家は12月の4がつく日はワセ(早生)、ナカ(中生)、オク(晩生)大師といい、夜なべ……