松の内の最後の日(1月7日)に、自然の芽吹きから活力を得て無病息災を願う行事食で、春の七草をかゆに添えたことから、七草がゆとも呼ばれます。中国の五節句のひとつである人日《じんじつ》に起源があるといわれています。 現在は春の七草パック(せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ……
「とりどせ」とは鶏雑炊のことです。「とりぞせ」「とっどせ」ともいいます。県内各地でいろいろな鶏雑炊がつくられてきました。 房総半島の南端を占める南房総市の中で、旧富山《とみやま》町一帯は遠浅の海がもたらす豊かな魚介類に恵まれるいっぽう、「日本酪農発祥の地」といわれる地域で牛乳も身近な豊かな地域で……
長良川では1300年以上の歴史をもつとされる「鵜飼《うかい》」が現代まで継承されています。鵜匠が鵜を巧みに操り、鮎などの魚を捕らえる漁法で、鮎雑炊はその鵜匠の家々に伝わる家庭料理です。 鵜飼は5月から10月までの期間中は、特別な日を除いて1日も休むことなく行なわれます。そのため、鵜匠たちは体調を……
だしは使わず、かにのゆで汁と身の濃厚な旨さを、淡泊な米にしみこませてかゆ状に煮た雑炊です。かにがとれる秋から冬の日常食でした。川がには、モクズガニ、ヒゲガニともいいます。小ぶりで甲羅の大きさのわりに脚が細いので身が少なく、調理がめんどうですが、手間に報いるおいしさです。 東予の四国中央市に流れ込……
大根と里芋を使った味噌味の雑炊を、徳島ではおみいさんと呼びます。「お」は尊敬語、「みい」は味噌、「さん」も尊敬語で、徳島では味噌が殿様に献上するほど美味であることなどから、こう呼ばれるようになったようです。農山村で晩秋から冬に食べられ、寒い冬場に冷えた体を温めてくれました。 大根は間引き菜(おね……
徳島県では玄そばをゆでて乾燥させた後、そば殻を除いたそば粒を「そば米」と呼びます。県西部の祖谷《いや》地域は山間地でかつ急斜面が多いため稲作ができず、焼畑にしてそばをつくりました。ハレの日には粉にしてそば切りにしましたが、普段はそば米を米に見立てた醤油仕立ての雑炊や、手軽なそばねり(そばがき)を……
勝浦川流域の勝浦町や上勝町では、夏になると河原で新鮮な鮎となすやじゃがいも、玉ねぎなどで味噌仕立てのろうすい(雑炊)をつくります。この地域では「鮎の喰い川」と呼ぶ鮎の瀬張り漁が、漁業権をもつ人を中心に近所の人たちで行なわれます。川幅が広く流れの緩やかなところ(大川)で網を上流と下流から入れて鮎を……
もずくは酢の物や吸い物に入れることが多いですが、雑炊もおいしいもので、隠岐《おき》の家庭では日常的につくられています。隠岐でとれるもずくは細もずくといって、細いながらもしっかりとした食感があります。春から初夏にかけてがやわらかいので、この時期にとって塩漬けにして一年中利用します。昔は「す」(集落……
県北部に位置する離島・壱岐《いき》では「ぞうすい」の音がなまって、「ずうしい」と呼ばれており、身近な食材でつくれる料理として親しまれています。壱岐ではお祝いごとには小豆、仏事にはささげを使うのが一般的です。かぼちゃずうしいには、かぼちゃの他、ささげ、小麦粉を練ったものを入れます。盆の入りの8月1……
鶏(とい)のだしでつくる雑炊(ずし)のことですが、雑炊というよりやわらかい炊きこみご飯のようです。畜産がさかんな南九州市では昔は鶏が貴重なたんぱく質源で、来客時、祝いごと、祭りなどには庭で飼っていた鶏をつぶし、肉はとり刺しにし、残った骨で煮物や吸い物、といのずしなどをつくりました。祭りを盛り上げ……
フーチバー(よもぎ)の入った味噌味のジューシー(雑炊)です。好みで卵や豚肉を加えたり、味噌でなく醤油で味つけをしてもおいしいです。 フーチバーは庭や野原や道ばたによく生えている多年草で、葉を煎じた汁は解熱、胃腸病、婦人病などに効果があるといわれ、昔から薬草として利用されています。ヤギ汁に入れれば……