名古屋でおでんというと、一般的に味噌だれをかけた味噌おでんをいい、市民に広く親しまれています。一年中食べますが、とくに冬によくつくります。醤油味のだし汁で煮たおでんは「関東煮《かんとうに》」と呼び、味噌おでんと区別しています。 家庭によって食材が多少異なりますが、大根やにんじんなどの根菜類や里芋……
麦麹と米麹を使い、2年ねかせて3年目から食べる味噌で、独特のうま味と甘味があります。つくっている富士山麓の山中湖村は水はけがよい土地で、標高が高く寒冷で稲作に向いていませんが、味噌にはおもに米麹が使われていました。その昔はとうもろこしの麹でもつくったといいます。今は甘味を増やすために麦麹を加えて……
えんどう味噌は、豆に甘味があり、麹を多く使うことから、大豆の味噌のような辛さがなく、まったりした味わいです。県中西部の葛城《かつらぎ》地域では水田裏作として裸麦や小麦のほか、野菜、豆類も多く栽培され、どの家にもえんどう用の畑がありました。えんどうは野菜豆として自家用、出荷用とするほか、麦の秋(6……
香川県で味噌といえば白味噌。あんもち雑煮やぬた、てっぱい、白和えなど、県の代表的な料理には白味噌が多く使われています。秋に米を収穫後、蒸した大豆に多めの米麹とひかえめの塩を加えて仕込み、1~2カ月の短期間熟成させ、冬場の調味料として使いました。昔は、夏まで持たせると発酵が進んで酸っぱくなるので、……
鹿児島では、麦麹を使った麦味噌が広く使われています。麹歩合《こうじぶあい》(大豆に対する麹の割合)が高く熟成期間が短いので、甘口で淡色です。霧島・姶良《あいら》地域では現在も共同で、親戚や近所におすそ分けする分も含めて麹から手づくりする家庭が多く、他県から入った人はその様子に驚くそうです。地域の……
米、麦、大豆の3種の麹をつくり、なす、うりなどの夏野菜とともに発酵・熟成させたなめ味噌です。甘味と塩味に麹や野菜の旨みが加わり、おかいさん(粥)につけるとそれだけで食がすすみます。じゃこに少し酢をたらし、金山寺味噌をつけて食べるとおいしいという人もいますし、きゅうりなど生野菜につける食べ方も好ま……
野菜と麦麹に食塩水を加えて発酵熟成させたものです。初めはかたい麦麹が1カ月ほどでやわらかくなり、しょっぱさにうま味が加わっておいしくなります。千葉は醤油の製法が和歌山から伝わるなど歴史的に縁が深いので、なめ味噌麹も金山寺味噌とつながりがあるのかもしれません。 秋、米の収穫期になると、麹製造所では……