県北東部の登米《とめ》地域では、鶏のそっぷ(スープ)を使った甘くて具だくさんの茶碗蒸しが昔から正月の一番のごちそうでした。卵は貴重な食材で、子どもたちは家の鶏が産んだ卵を食べずに売っておこづかいを貯める「卵貯金」をしていたという話があるくらいです。 茶碗蒸しの卵液は、卵に対してスープの割合が多い……
「小田巻蒸し」とはうどんが入った茶碗蒸しのことです。「小田巻」の語源は苧環《おだまき》で、麻糸を中空の球状に巻きつけたものを指します。器の中のうどんの様子を苧環に見立て、この名がつきました。字が難しいので「小田巻」の字があてられたそうです。 昭和30年代前半は卵はまだまだ貴重で、病気見舞いに持っ……
たっぷりとだしを含んだ麩を卵が包み、散らした青菜の彩りも鮮やかな車麩の卵とじは、簡単につくれるのに豪華な一品となり、金沢市や金沢市近郊の家庭で、昔から四季を問わず日常的に食べられています。子どもからお年寄りまで、誰もが好きな味です。夏場なら冷やして供すると、つるんとした食感がまたおいしく、食欲が……