金時草は金沢が主産地で、15種が認定されている加賀野菜のひとつです。和名は「スイゼンジナ」といい、東南アジアが原産。時代は定かではありませんが、金沢の農家が熊本の水前寺菜を持ち帰り、自家用に栽培したのが始まりで、昭和25年頃からは金沢市場へ出荷されるようになりました。葉の表面は濃い緑色ですが裏面……
10月に入り秋も深まると、県内の民家の庭先や畑には紫色に近いピンク色の菊の花が咲き乱れます。これが「もってのほか」「もって菊」の名前で親しまれる食用菊で、色の美しさとしゃきしゃきとした食感、香りと甘さ、ほろ苦さから食用菊の王様と呼ばれています。 名前の由来は「天皇の御紋である菊の花を食べるとはも……
12月9日の大黒天のお歳夜《としや》に食べる庄内地方の縁起物の料理で、大根おろしのしぼり汁と酢で黒豆を煮て、大根おろしと和えます。黄大豆ではなく黒豆を使うのは、大黒様の黒にちなんでいるため、また黒という色が「邪気を払う」とされ、1年間元気にすごせるようにという意味があるようです。黒豆の色素成分ア……
色鮮やかでぱりぱりした甘酢漬けは、簡単でおいしい保存食です。木曽地方では赤かぶは野菜の不足しがちな冬場の大切な食料で、かぶ菜(葉)は無塩の漬物の「すんき」の材料であり、かぶの部分は、かぶの甘味を利用し、「おさい」と呼ばれるおかずにしました。酢と砂糖と塩で漬ける甘酢漬け、米ぬかと塩と砂糖で漬ける赤……
万木かぶは、県北西部の安曇川《あどがわ》流域の高島市安曇川町西万木《にしゆるぎ》で栽培されてきた在来のかぶです。やわらかく、渋みや苦味、辛さが少なく甘味が強いのが特徴で、寒風に当てて干すことで余分な水けが飛び、歯ごたえがよくなります。また、重しをしっかりかけて低温でゆっくり発酵させることで味に深……
静岡県では豊富な湧水に恵まれた安倍川流域や伊豆半島、富士山周辺地域などでわさびが栽培されており、わさび田でつくる水わさびの栽培面積や生産量は全国第1位です。とくに伊豆地域は、大きな石から砂までを下から順に敷き詰めたわさび田を棚田状に配する畳石《たたみいし》式わさび田で、高品質なわさびが生産されて……
丹波は兵庫県の中央東部に位置し、海に面していない内陸部です。大納言小豆、栗、とろろ芋など名産品が多いですが、中でも丹波黒大豆(黒豆)は有名です。9月末から10月末までが枝豆の旬です。通常の枝豆よりもひと回り大きく、ゆでて食べると甘味があり、やみつきになるおいしさです。 一方、乾燥豆は葉が枯れた1……
黒豆ご飯は全国的に食べられていますが、島根県では「おけじゃめし」といいます。ただ米《ごめ》(うるち米のこと)に炒った黒豆を加えて炊いた香ばしいご飯で、黒豆の栽培がさかんな東部地域の山間部でよくつくられてきました。 黒豆は弱火で、食べて青臭みがなくなるまで炒ってから使います。このとき豆は真ん中あた……
ずいきは八つ頭などのいもの葉柄《ようへい》です。8月の盆あたりから、秋にかけて、長くのびた葉柄を収穫します。スーパーなどの店頭にも生ずいきが並び、ずいきの季節の訪れを感じます。 赤ずいきの酢の物は、日常の料理ですが、盆や秋祭りにもよくつくられます。酢を加えるとアントシアニンの色素が赤い色に変わっ……