お釈迦様の誕生日である4月8日の灌仏会《かんぶつえ》(花まつり)にお供えする行事食で、お釈迦様の頭、螺髪《らほつ》をかたどってつくったお菓子です。表面がゴツゴツした形ですが、食べると甘味と豆やくるみ、あられのコリコリとした歯ごたえが楽しめます。「こごり」とは、煮こごりと同様にちょっと固まった状態……
北本《きたもと》市、鴻巣《こうのす》市、加須《かぞ》市をはじめ、県東部の穀倉地帯で広く親しまれているまんじゅうです。まんじゅうといいながら、まわりに赤飯をまぶしてあり、それが栗のいがのように見えるのでこう呼ばれています。ユニークな形と素朴な味で、まんじゅうと赤飯という異なる素材が、意外にマッチし……
県のほぼ中央部に位置する東金《とうがね》市の極楽寺地区は農村地帯で、昔は米に加えて小麦もよくとれました。初夏、山の端や庭の木陰にあるみょうがが大きくなってくると「食べようかね」とみょうがの葉焼きご飯をつくりました。ご飯と小麦粉、味噌、砂糖をこねた生地は食べごたえがあり、みょうがの香りもさわやかで……
山間の奥多摩町では水稲をつくることができず、たまに陸稲《おかぼ》を育てていた家もありましたが、麦やそば、あわ、きびなどの雑穀が中心でした。米は貴重だったので、残りご飯は小麦粉を足してめしもちをつくり、ゆでておやつにしました。すいとんの代わりに汁に入れて食べることもありました。 朝炊いて残ったご飯……
しとぎは米をつぶした粉でつくったもちのことをいい、もともと神様への供物という意味もあります。米どころの津軽地方はもち粉を使ったおやつがたくさんあります。しとぎもちも、中南津軽は小麦粉を加えず、もち米粉かだんご粉だけだったりと地域独特のつくり方があります。虫送り、稲刈りの終わり、農作業のいっぷく(……
木曽地方では、月遅れの6月5日の端午の節句にちまきや柏もちの代わりに朴葉巻きをつくり、神仏にお供えして子どもの成長を祈ってお祝いしました。米の粉をこねた皮に小豆あんを包み、朴葉でくるんだ蒸し菓子で、朴葉の独特な香りがし、葉の殺菌作用で日持ちがするため、昔は保存食としても食べていたそうです。 葉は……
県本土の中央部にある姶良《あいら》地区では、田植えだんごを田ノ神様や仏壇にお供えして五穀豊穣を願い、田植え時のお茶うけにしてきました。米粉や小麦粉に同量のさつまいもを混ぜた生地であんを包んだり練りこんだりして、身近にある葉に包んで蒸します。さつまいもが入っているのでやわらかく、ほっとするおいしさ……
県北西部の大崎市や船形山系でつくられている、味噌あんを青じそでくるんで揚げた料理です。砂糖と小麦粉、ごまの入ったもっちりとした味噌あんと、カラッと揚がったしその葉の組み合わせがよく、老若男女を問わず好まれています。地域の特産である鬼ぐるみやえごまを入れても、コクや旨みが増しておいしいです。揚げる……
沖縄の代表的な内臓料理で、正月や結婚祝い、97歳を祝うカジマヤーの祝い、米寿を祝うトーカチの祝い、生まれ年の干支が巡ってきた年に祝う生年(トシビー)祝い、法事などでつくられます。沖縄の正月には、もともと他県のような雑煮やおせちはほとんどの地域にはなく、出される料理は地域や家庭によって異なりますが……
徳島市周辺や県南部では、桃の節句(月遅れの4月3日)になると、女の子も男の子も三段重ねの手提げの小箱「遊山箱」にごちそうを詰めてもらい、遊山に出かけます。 中に詰める料理は、巻きずしにいなりずし、ゆで卵に卵焼き、色つきの寒天やようかん、ういろう、煮しめが定番です。行き先は桜の咲く土手や公園、磯や……
清明祭は、中国から伝来した祖先供養の行事といわれ、旧暦の3月上旬、二十四節気の一つ清明の頃盛大に行なわれます。墓前に親族や一族が集まり、重箱料理や果物などをお供えし共食します。聞き書きした那覇市の家庭では、本家が重箱料理をつくり、1970年代にはいとこやその子どもまで30名ほどが集まったそうです……
田植えではいろいろな地域で似たような煮物が食べられていますが、飯山地方の煮物に欠かせないのは凍《し》み大根。凍み大根は寒さの厳しい地域で生活する人々の知恵で生み出された保存食です。凍み大根が水分をよく吸うことから、田んぼにたっぷり水が入るように、田の水に不自由しないようにという願いがこめられてい……
県南の宇城《うき》市小川町周辺では、「さなぼり(さなぶり)」や夏祭り、お盆にみょうがの葉で包んだまんじゅうをつくります。さなぼりは、農作業を見守っていた田の神様が田の植えつけがすんで帰るのを見送る祭りのこと。この日はお神酒《みき》をあげ、みょうがまんじゅうやぼたもち、野菜や山菜の煮しめ、魚料理な……
県北西部の秩父地方は、盆地特有の寒暖差が大きい気候で、夏はかなり暑くなります。この夏の高温を利用した発酵による甘酒やすまんじゅうが昔から各家庭でつくられ、甘酒は夏バテ予防によく飲まれていました。今も秩父では夏に甘酒祭りが行なわれていますが、この甘酒からすまんじゅうをつくり、みんなで食べていたそう……
長崎市は、江戸時代、外国への玄関口として発展してきた港湾都市です。材料を油で揚げる調理法が400年前にポルトガルから伝来し、天ぷらと称されるようになりました。長崎天ぷらは、江戸風、上方風の天ぷらとは違っているため、他国の人がそう名づけたという文献もあり、固有名詞となっています。卓袱《しっぽく》料……