「そば」といっても麺ではなく、殻を除いたそばの実(そば米)をゆでて、冷たいそばつゆをかけます。酒田をはじめとする庄内地方の家庭料理で、来客時のもてなし料理や精進料理の一品とされてきました。元は関西方面の寺院で食べられていたものが、北前船の西回り航路で酒田に伝えられ、料理屋でのもてなしの食膳にとり……
北茨城市、常陸《ひたち》太田《おおた》市、常陸大宮市、大子《だいご》町などの県北では、寒い冬の夜、また年越しにけんちん汁をかけたそばを食べます。昼夜の寒暖差があり、水はけのよい斜面が多くソバの栽培に適した地域だったことから、米の不足を補う意味もあり、江戸時代からソバ栽培がさかんで、現在は全国4位……
京都名物のにしんそばは、にしんがそばに隠れています。見栄えがよいからともいわれますが、食べ進めるにつれ、にしんから味が染み出て、味に変化をつけるのに役立っています。 身欠きにしんは海から離れた京都の食生活には欠かせないたんぱく質源でした。小骨が多い魚ですが、甘辛くほっこりと炊いたにしんの棒煮は食……