福島県では、昔から凍み餅や凍み大根など冬の寒さを利用してさまざまな保存食がつくられてきました。凍み豆腐もその一つ。おもな生産地となっている福島市中央の立子山《たつごやま》には、冬場、奥羽山脈を越えて「吾妻《あづま》おろし」と呼ばれる強く冷たい風が吹きつけます。この寒風にさらしておくことで、中の水……
県のほぼ中央部に位置し、山々に囲まれた多可《たか》町は、昭和30年から40年頃までは天然の寒冷な気候を利用して高野豆腐(凍り豆腐)や凍りこんにゃくの製造がさかんでした。豆腐は一晩で凍らせた後、解凍し乾燥するのですが、そのために板にのせた豆腐が田んぼに並ぶ光景は冬の風物詩でした。冬季には但馬から豆……
「こも」とは本来、わらなどを編んだむしろ状のもので、こもで巻いた豆腐をゆでたのがこも豆腐です。もともとは自家製の豆腐のくずものを集めて巻いたところから始まった料理ですが、最近では豆腐を巻きすで巻いて手づくりしたり、市販のこも豆腐で煮物をつくる家庭が増えています。 しっかりゆでてスが立った豆腐をさ……
煮汁におかか(かつお節)を加え、煮上がってからもおかかをまぶした豆腐の煮物です。豆腐の煮すぎは禁物といいますが、スが入るまでしっかりゆでて(煮抜いて)から調味料で煮ると豆腐がかたくしまり、豆腐を直接煮汁で煮たものとは全然違った食べごたえと味わいになります。江戸時代に書かれた『豆腐百珍』にも「煮抜……
豆腐田楽は、江戸時代の料理本『豆腐百珍』に記されているほど、古くからある料理です。田植えや秋祭りに田の神に奉納した田楽舞姿(一本の竹馬の片方のようなもので踊る姿)が、豆腐を串に刺し味噌をつけた料理に似ているため、田楽と呼ばれるようになりました。 豊橋市では江戸時代より東海道吉田宿(現・豊橋市)の……
県内陸で田園地帯や丘陵、奥羽山脈にまで広がる加美《かみ》町の山間部で教わった雑煮です。この地方では、魚類を雑煮に使う習慣はなく、精進に近い雑煮が食べられてきましたが、近年では多くの家庭で鶏肉など動物性の具が使用されるようになっています。その中で、野菜類と油揚げ、凍み豆腐といった精進の雑煮が受け継……
尾瀬・日光国立公園の2000m級の山々に囲まれる片品村《かたしなむら》でつくられてきた祝いの料理です。この土地で育てられてきた在来種の大白《おおしろ》大豆と良質な湧き水でつくられる豆腐は、普通の大豆でつくった豆腐に比べて甘味とコクがあります。この豆腐を巻きすで巻いて煮上げたしめ豆腐はおいしいうえ……
「うじら」はウズラのこと。ウズラの卵に似ているのでこの名がついたとされます。沖縄風がんもどきで、魚のすり身も入り弾力のある食感になります。豆腐とすり身を丁寧にすり鉢であたり、時間をかけてつくります。外はカリカリ、中はふわふわで、色よく揚がったグリーンピースもアクセントです。 沖縄豆腐は「島豆腐」……