郡山市西部に位置する湖南町《こなんまち》で食べられている地竹《じだけ》と鯖の缶詰、じゃがいもを入れた味噌汁です。地竹とは、根曲がり竹のこと。湖南町は高冷地で地竹がたくさん収穫できたため、たけのこというと地竹です。5月末から6月中旬頃、暖かくなり地竹がとれるようになると、じゃがいもと合わせてたけの……
奥信濃は豪雪地帯ながら、四季折々の農作物や自然の豊富な食材に恵まれています。ここで「たけのこ」というと、細長い根曲がり竹(チシマザサ)のことです。根曲がり竹がとれる5月下旬から7月上旬は、さばの水煮缶との味噌汁がよく食卓にのぼります。身欠きにしんでつくる家庭もありますが、さば缶は切ったり戻したり……
大山《だいせん》山麓は、冬は降雪量が多く野菜などがとれないため、春から秋にとれた野菜や山菜は干したり塩漬けにしたりして保存する習慣があります。当時はこの保存した山菜を使った煮物はごちそうでした。煮物以外に、郷土食の「大山おこわ」の具としても利用されます。煮物に入れるこんにゃくは自家製で、畑で栽培……
味噌仕立ての汁にもちとかつお節のみの大変シンプルな雑煮です。もちも直径7~8㎝と一般的なものよりひとまわり大きいのが福井、とくに県北部の嶺北《れいほく》の雑煮の特徴です。この雑煮を毎年食べているので、たくさんの具材がのった雑煮には違和感があるという人も多いです。「味噌ともちのみで、それぞれのおい……
のっぺいは県全域でつくられる代表的な郷土料理ですが、地域ごとに特色があります。新潟市近郊では里芋が中心で、祝いごと用と仏事用を区別します。正月用には10種類くらいの材料の中に生鮭、鶏肉、いくらが入り正月料理の主役級の存在です。祝いごとでは材料を拍子木切りか短冊切りにします。仏事用には精進仕立てで……
春を告げるたけのこや季節の野菜、豚三枚肉などを煮た、祝い膳や客膳には欠かせない煮しめ料理です。羹《あつもの》は吸いもののことですが、この料理に汁けはありません。もともとは島津の殿様料理で、県内の各町村に残る古文書などによると、筍羹、春寒、春筍、筍寒とも書かれています。由来からして鹿児島市内で武家……