昭和初期の新潟市(旧市内)は、日本海と信濃川にはさまれた「新潟島」が商業・政治・文化などの中心でした。税関もおかれた新潟港があり、県外や海外との交流も盛んでした。昔は信濃川の川べりや町の中を走る堀に沿ってクルミの木が自生していたそうですが、1964年の国体にあたり堀は埋められて道路になり、クルミ……
10月に入り秋も深まると、県内の民家の庭先や畑には紫色に近いピンク色の菊の花が咲き乱れます。これが「もってのほか」「もって菊」の名前で親しまれる食用菊で、色の美しさとしゃきしゃきとした食感、香りと甘さ、ほろ苦さから食用菊の王様と呼ばれています。 名前の由来は「天皇の御紋である菊の花を食べるとはも……
すり鉢ですったくるみだれで、もちや山菜、きのこなどを和えるくるみ和えは、県内に多数あるくるみ料理の代表といえます。くるみを割ってする労力や手間がかかることと、その味がとてもおいしいことから、昔からごちそうとされてきました。 和える材料は、そのときに手に入るものです。県東北部、北上山系にある葛巻《……
伊吹《いぶき》山の裾野に位置する米原《まいばら》市大久保集落で、山村の人呼びのごちそうとしてつくられてきた料理です。ぜんまいは、薄く味をつけただけで、素材そのものの味や香りがよくわかります。真っ白になるまですったくるみの衣はまるでバターのようで、ぜんまいによくからんで、コクのある上品な味わいにな……
会津を代表する渋柿「みしらず柿」をくるみだれで和えた料理です。焼酎などで渋抜きしたみしらず柿は甘味が強くとろりとした舌触り。コクのあるくるみだれがよく合います。昔は箸休めとして普段の食事に出ましたが、今は手間がかかるため、特別な日に食べることが多いようです。 江戸時代に書かれた『会津農書《あいづ……
真っ白な衣でこんにゃくを和えたくるみ和えは、浜松市の水窪《みさくぼ》で、家族が集う正月や冠婚葬祭に欠かせない一品です。ここは山に囲まれた地域のため、血縁、地域の結束が強く、かつての「組合」と呼ばれる住民同士の助け合いの組織が残っている地区もあります。葬儀の際には地域の女性が集まり、くるみ和えなど……