花の天敵利用と土壌病害対策

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農業技術大系 花卉編 追録第27号 をアップしました。
今回の追録の重点は「花の天敵利用」と「土壌病害対策」。花卉の減農薬は野菜や果樹に比べて遅れていましたが,薬剤抵抗性害虫が増え,薬剤散布労力も増すばかりのなか,いよいよ天敵利用をはじめとした減農薬栽培技術が広がり始めました。また,減農薬栽培された花の需要は,店内装飾用などを中心として徐々に高まりつつあります。

写真1 J熊本県の施設バラ農家・村上健次氏の圃場。ハダニがいない場合にえさとなるバラの花粉と,有機物マルチとして敷き詰めているカヤにより,天敵カブリダニが増殖しやすい環境が形成された(写真撮影:赤松富仁)

また,トルコギキョウなどのリンドウ科の花卉ではフザリウム立枯病が全国的な問題になっています。それに対抗すべく,薬剤では消毒しきれない作土層深くまで消毒が行きわたる低濃度エタノールを用いた土壌還元消毒が普及しつつあります。今回は各品目での土壌病害とその対策方法をまとめました。

写真2 低濃度エタノール土壌還元消毒の実証圃場。通路に灌水チューブを設置することで、ウネ立て後に還元消毒をする場合でもウネの土が硬くなりにくく崩れにくい(写真提供:渋谷淳平)

このほか,需給ともに高まりを見せるスターチス,コロナ禍でも堅調だったデルフィニウムの基礎技術や育種動向を改訂したほか、水稲育苗ハウス・育苗箱を利用した隔離土耕栽培も収録しました。

写真3 スターチス・シヌアータの冷蔵育苗施設。順化後の段階であれば常温での育苗も可能となった(写真提供:宮前治加)
写真4 水稲育苗施設でのフリージア隔離土耕栽培。露地プール育苗の導入により、空いた育苗ハウスで花卉栽培ができるようになった(写真提供:村濱稔氏)

2025/06/27