ダイズ・サツマイモの品種と安定多収技術を収録

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『農業技術大系 作物編 追録第45号』を収録しました。

ダイズは、世界的な穀物高騰や水田転作への関心とともに増収への期待が高まっている反面、収量の伸び悩みが続いています。今回の追録は、重要品種・主要品種と、多収・高品質栽培に向けた各種技術の2本柱で構成しました。
品種では、品質・用途と品種選択や主要品種の特性のほか、重要品種として、「サチユタカA1号」「フクユタカA1号」などの難裂莢性品種群(写真1)、食用品種として生産が拡大している「里のほほえみ」を収録しています。
栽培技術では、排水対策と播種技術を中心に、近年発表された技術を収録しました。収量低迷の要因と多収・高品質生産に向けた課題を整理し、圃場タイプに応じた湿害対策のポイント、真空播種機と高速汎用施肥播種機の特性と利用、逆転ロータリを活用したディスク式一工程浅耕播種など、各種の栽培体系を収録しています。
このほか、生産者事例として、福岡県での部分浅耕一工程播種によるダイズ・ムギ類の安定栽培と産地振興を収録しました(写真2)。

写真1 サチユタカA1号とサチユタカの裂莢性の比較(農研機構作物研究部門提供)
写真2 部分浅耕一工程播種栽培と慣行栽培の比較(依田賢吾撮影)

サツマイモでは、近年開発された話題の新品種、栽培の基礎理論、基本技術を柱に収録しました。
品種では、焼きいもブームが定着するなかで期待度の高い「あまはづき」「ゆきこまち」「ひめあずま」を紹介しました(写真3)。栽培の基礎理論では、「生産物からみた収量の構成」、「総乾物生産量」、「多収生育相」、「品種(シンク・ソース)と収量構成」、「分配効率」「気象要因」などをアップデートしました。
栽培の基本技術では、種いも増殖に代わって今後普及することが見込まれる「ウイルスフリー苗の利用によるポット苗育苗」などの重要技術のほか、堆肥施用や緑肥すき込みの外観品質に与える効果、機械化栽培での収穫法、干し芋用サツマイモの栽培、各種障害とその対策など、高品質栽培に向けた技術を収録しています。

写真3 あまはづきの焼きいも(農研機構中日本農業研究センター提供)

このほか、ラッカセイでは、寒冷地(北海道)での栽培のポイントについて、イネでは、直播栽培と大規模経営の観点から注目されているイタリアの稲作を収録しました。

2024/04/03