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国内の米が過剰在庫を抱えるいっぽう、麦や大豆の自給率は上がらない。そんな状況のなか、今年度政府は「水田フル活用」の推進にむけ、3000億円超という最大級の支援予算を組んだ。
今、この時代に「水田フル活用」に取り組む意味とは何か。世界的にみれば、途上国の人口増などで穀物消費量は増える傾向にあるという。「需要が供給を上回る時代に入った」ともいわれる。そんななかで日本が「食料輸入大国」を続けていいのか。食料自給率を高めることの重要性・必要性は、これまで以上に高まっているのではないか。だからこそ、農家、地域から「水田フル活用」で田んぼとむらを元気にする道を切り拓きたい―。
『現代農業2021年4月号』の「主張」では、過去20年ほどの「水田フル活用」の取り組みを振り返りながら、現在の課題を“安定増収”と“地域自給”に設定し、農文協の雑誌等から注目すべき事例を紹介している。
この「主張」が先日ルーラル電子図書館に収録されました。事例に関するこれまでの記事やビデオとあわせて、ぜひご覧ください。
「主張 “水田フル活用”を、豊かな地域自給にむけてフルに活用する」(2020年4月号)より。画像をクリックすると記事が表示されます。
※「主張」とは、新聞の社説に相当するもので、月刊『現代農業』に毎月掲載されているオピニオン記事。全国の農家の実践に学びつつ、農文協論説委員会が執筆。
(記事の著作権は農文協にありますが、「主張」はコピーフリーとします。会議資料などにご自由にご利用ください。なお「主張」以外の記事のコピーに関しては許諾が必要です。)
■「主張」で紹介した事例へのリンク
●事例1:「安定増収」に向けた技術の蓄積に学ぶ①
大豆栽培の課題は、なんといっても初期生育をビシッと揃えること。とくに近年は播種・出芽時の天候が不安定で湿害や干ばつ害が常態化している。山形県の萩原拓重さんは、ドライブハローに4条播種機を取り付けて播種。ロータリ耕播種の頃に比べて、土の表層が締まり毛細管現象を期待できるようになった。乾燥気味でも出芽から初期生育までが順調となり、多収のための必須技術と感じている。
「でっかい株でダイズ毎年300kg!」(2020年5月号より連載中)より ※画像をクリック
●事例2:「安定増収」に向けた技術の蓄積に学ぶ②
福岡県で広がっているのは部分浅耕播種。ロータリの爪を、播種するウネ上部分だけ短いカルチ爪に交換し、ウネ上部分と通路部分とで凸凹耕耘するやり方だ。大雨あとでも見事に発芽が揃う。
「雨ニモ乾燥ニモ負ケナイ ダイズの部分浅耕播種」(2019年7月号)より ※画像をクリック
●事例3:交付金活用で「地域自給」を高め、地域を潤す①
魚沼市自給飼料生産組合では、稲作農家と酪農家が飼料米・飼料イネの地域内自給で連携。収入の多くは交付金だが、販売代金と外部から購入するエサ代の節約をあわせた約4500万円は、飼料自給によって地域が生んだお金だ。交付金の活用が、地域から出ていくお金を減らし、地域を潤した。
DVD『つくるぞ 使うぞ 飼料米・飼料イネ』第1巻「主食用米品種での事例~稲作農家と畜産農家がつながった」より ※画像をクリック
●事例4:交付金活用で「地域自給」を高め、地域を潤す②
10aの転作田でとれた大豆180kgを外部に売った場合と、これを地元の豆腐屋が豆腐にし、地元の小売がこれを仕入れて販売し、地元消費者が買う場合とで、地元に残るお金(外部への流出を防いだ分)がどのぐらい違うかを試算してみた。すると48.5万円も、地域から出ていくお金が減ることがわかった。このお金が農家や地域の仕事を支え、おいしい豆腐をみんなで楽しむ世界が生まれる。