10月に入り秋も深まると、県内の民家の庭先や畑には紫色に近いピンク色の菊の花が咲き乱れます。これが「もってのほか」「もって菊」の名前で親しまれる食用菊で、色の美しさとしゃきしゃきとした食感、香りと甘さ、ほろ苦さから食用菊の王様と呼ばれています。 名前の由来は「天皇の御紋である菊の花を食べるとはも……
伊吹《いぶき》山の裾野に位置する米原《まいばら》市大久保集落で、山村の人呼びのごちそうとしてつくられてきた料理です。ぜんまいは、薄く味をつけただけで、素材そのものの味や香りがよくわかります。真っ白になるまですったくるみの衣はまるでバターのようで、ぜんまいによくからんで、コクのある上品な味わいにな……
鶏肉や油揚げや打ち豆、野菜やきのこがたっぷり入って旨みの濃い汁によくすったくるみが溶け、さらに甘さとコクが加わります。その汁が、少しやわらかめに炊いたご飯をついて丸めただんご「やまもち」にからまり、おいしさが口いっぱいに広がります。県の最北端、村上市内陸部の朝日地区に伝わる「ごっつお(ごちそう)……
日本海沖合に浮かぶ酒田市飛島《とびしま》の家庭料理で、夏いか(するめいか)のうろ(肝臓)もくるみ(墨)も余すことなく使う、とも和え(肝和え)の一種です。くるみ(墨)を使うので、くるみ和え、また、色が黒くなるので、くろみ和えと呼ぶこともあります。木の実のくるみは入りません。15~17㎝ほどの小ぶり……
一般的なサイズの太巻きずしを内巻きずしとし、外側をさらにもうひと回り太く巻いた大きなすしです。長岡では冠婚葬祭の祝儀、不祝儀の食事の席では必ず出されました。のり巻きずし、卵巻きずし一切れずつを合わせて一組として二の膳(または別皿)に盛りつけるのが決まりです。宴席では食べずに折箱に入れて持ち帰るの……
魚津《うおづ》市など県東部の新川《にいかわ》地区でつくられる押しずしです。このあたりでは一家に一つは押し型を持っていて、代々、大事に使ってきました。 具は焼き鯖とクルミだけのシンプルなものです。焼いた鯖や刻んだクルミが香ばしく、食感の変化もあり、のりの風味も加わって海と山の幸が楽しめます。ご飯は……
「くるみ」といっても木の実の胡桃《くるみ》ではありません。つきたてのもちをあんで包むので「くるみもち」と呼ばれます。府南部の岸和田市では、ほんのり薄茶色で風味豊かな大豆あんのくるみもちが今もだんじり(秋祭り)に欠かせない一品です。もちは手水を多めにして、やわらかくつき上げます。大きな鍋でゆっくり……