片品《かたしな》村は尾瀬国立公園の麓《ふもと》にあり、関東唯一の特別豪雪地帯です。山に囲まれた冷涼な気候で米が十分にとれなかったので、あわ、きみ(きび)、ひえ、もろこしなどの雑穀や、大麦、小麦、豆類などをつくり、米のかさ増しにしてきました。 雑穀の中でもきみ(黄実)は黄金色の美しい色合いで銭小金……
県中央部に位置する佐川《さかわ》町でつくられているきらず(おから)を使ったもちです。きらずともち米を同量混ぜてついてあるので、歯切れがよく食べやすくなっています。あんを包みきび粉をまぶしたもちは、甘すぎずあっさりとしており、ひとつ、またひとつと手が伸びる素朴なおいしさです。きび粉は、硬粒種のとう……
四方を海に囲まれた天草《あまくさ》の島々は、水田が少なく米が貴重であったため、畑で栽培されるからいも(さつまいも)を主食がわりにしていました。以前は晩秋になると家々で収穫したいもを輪切りにしてゆで、カラカラになるまで1カ月ほど天日に干し、「蒸しこっぱ」にしました。これともち米を蒸してつき混ぜたお……
かんもち(寒餅)は寒さが最も厳しい寒中にもちをつき、40~50日間寒風にさらして乾燥させたものです。じっくりあぶって香ばしくふくらませたかんもちは、冬の家族団らんの中に必ずあるおやつとして親しまれてきました。 かつては、農家が保存食や農作業中のおやつとしてつくりました。風が水分を含む海沿いよりも……