トマト

原産地はアンデスの高冷地。光線が強く、乾燥した、昼夜の温度格差のある気候を好みます。栽培に成功するには、日本の梅雨と夏の暑さを克服する必要があります。

植付けの準備

日当たりがよく、排水の良い畑を選ぶ

ベッドづくりの考え方 

排水のいい畑は平床に、排水の悪い畑は高床に、など畑の条件に合った植え床づくりの実際を解説

土中マルチ(農家実例) 堆肥づくり 

定植床の下に幅30~40cm、厚さ5~7cmぐらいに松葉やヨシを敷く。トマトの根まわりの排水がよくなり、生育初期に給水制限できるのでトマトが丈夫に育って病気になりにくい、というもの。第4図にその方法を図解

肥料のやり方

肥料は全層に施用するのが一般的ですが、樹ぼけさせずに多収をねらうときには、20cmの深さに3層に施肥する方法もあります。肥料の流亡はいやだというときは堆肥の根周り施用という方法も。追肥は6月中旬ころから始めよう。

肥料の種類・量と生育 

市販の肥料で栽培する人に。化成肥料から有機質肥料、ボカシ肥など各種肥料の使いこなし方を解説

元肥と追肥の割合の考え方 

「(3)元肥と追肥の量を決定する目安」をみて施肥量、施肥のタイミングの参考にして下さい

有機質肥料中心の施肥法 

有機栽培に挑戦する人に。第2表に各種有機質肥料の組成成分が紹介されています。有機質肥料は化学肥料と比べて30~70%と利用率は低いが、ボカシ肥にすれば利用率を高めることができます

石灰追肥の効果と方法(野菜) 

トマトを水につけてみてください。あなたのトマトは沈みますか、浮きますか。風味やコクのあるおいしいトマトは沈みます(第1図)。そんなトマトを作ってみたい人は、石灰追肥を試してみては。うねの片側に幅12cmの溝を切って1a当たり10kg施用します

堆肥の根まわり施用 

堆肥をやりたいが、重たくてだめだ、という人は、この堆肥の根まわり施用を試してみては。1株当たり200g程度の堆肥で鉢をくるんむようにして定植する(第1図)。10本植えるときでも、堆肥の量は全部で2kgですみます。しかも、根のまわりの通気性も排水性もよくなって、大量の堆肥を全面に施用するよりも根が深くのびてきます(第5図)

<火山灰黒ボク土> トマト・16tどり露地栽培 

東京都杉並区の篤農家田中正直さんの、深さ20cmに3層に分けた施肥法(第1図参照)。堆肥は古畳+米ぬか+尿素に過石を添加してつくる。節間、茎の太さが最後まで一定した波のない生育になります

苗の選び方

円筒形の濃緑色のがっちりした苗を選ぶ。第一花房に良い形の花や蕾がついているか、病気がないか点検してみよう。葉を太陽に透かしてみて濃淡のあるものはモザイク病の可能性があるので注意

苗の生育診断のポイント 

第1図「定植時の理想的な苗」をごらんください

わき芽を苗に利用 

せっかく定植したのに枯れてしまった、という人。生き残った株から出たわき芽が利用できます

定植とその後の管理

葉→葉→葉→花→葉→葉→葉→花の4拍子で生育するよう管理する。第一花房の一番花が咲きかけたころが定植適期。活着まではビニールマルチで地温を上げ、活着したら取り除いてワラを厚く敷いて乾燥を防ぐ

マルチの種類と利用法 

定植時にマルチをすると、地温が上がって活着がよくなり、雑草害や病害虫も防ぐことができる。マルチにはいろんな種類があります。地温をより上げたいときはグリーンマルチ、アブラムシなど害虫対策をしたいときには反射マルチがよい、など目的に合わせたマルチの選択法を解説

定植時の環境条件と活着促進 

温度と土壌水分が活着の良否を左右します

抗菌微生物を利用したネギ,ニラの混植 

ネギと混植すると、トマトの根腐萎ちょう病を防ぐことができます。ネギの混植は、ダイコン萎黄病、スイカつる割病、キュウリつる割病、などなど、いろんな野菜の土壌病害に効果があります。ニラでもタマネギでもOK

仕立て方

1本仕立てが基本。わき芽をこまめにとること。第4果房まで収穫できればアマ初段

直立1本整枝法 

トマトの仕立て方の基本。第3図に生育の仕方と作業の手順を図解

生育診断

(1)葉がちぢれたとき→後から分化した芽も萎縮していればウイルス病。 腋芽が正常な場合はホルモン剤や農薬の障害。(2)葉がしおれたとき→水の過不足、根張りが悪い、果実の負担が大きい、肥料が多すぎる。あるいは、地温が高すぎたり低すぎたりするとき、土壌のしまりすぎ、青枯病・萎凋病・根こぶセンチュウなどの病虫害などたくさん原因があります。(3)葉が枯れたとき→疫病などの病害が考えられますが、それ以外にも要因はたくさんあります。薬害、ガス害、窒素肥料の過不足など

萎凋、立枯れ性病害の見分け方と対策 

第1表に病気の場合の見分け方と対策が一覧になっています。しおれたり、枯れたりしたときの参考にしてください

新しいウイルス病 

代表的なウイルス病は黄化えそ病。第1図、第2図に典型的な症状の写真があります

篤農家にまなぶ

京都府園部町の谷昌嘉さん。圃場の準備、播種から収穫までの年間の栽培管理について詳細に解説しています。「育苗まではできない」というひとは、読み飛ばして結構。あちこちにトマト栽培のカンドコロが書かれています

6~9月どりトンネル栽培(強力みのり) 大苗定植―きめ細かな施肥技術で良果増収 

はじめての追肥は、第一花房の果実がソラマメ大になったとき。その後は格段の第一果房がピンポン玉になったとき、という基本技術から、第7段果房の上の本葉2~3枚残して摘心をするが、相場が高いときは、それ以後に伸びてきた側枝を横に倒したり、下に垂らしたりして着果させるなど、トマト栽培の奥義を紹介

スイカ

夏は何といってもスイカ。スイカの糖分は体に吸収しやすく、カリウム、リン、マグネシウム、ナトリウムなどミネラルもたっぷり含み、夏ばて防止にピッタリ。だが、作りこなすのがむつかしい野菜ですが、挑戦してみましょう。

たくさんあるスイカの種類、品種

大玉に中玉、小玉、そして’ラグビーボール’という楕円形のスイカもある。果肉が易黄色いもの、皮が真っ黒なもの、種なしと、いろんなスイカがある。

スイカ品種の変遷と生態的特性 

第4表で大玉スイカ、第10表で小玉スイカの主な品種の特性が一覧できる。そのほか希少品種、地方品種も紹介

苗の選定と定植

畑は日当たりがよく、水はけのよいところを選ぶ。苗を植えつける10~15日前までに苦土石灰と堆肥、肥料を入れ、土と良く混ぜて、なじませておく。

定植の方法 

(2)の①地温の確保…定植の7~10日前にはマルチやトンネルをかけて地温を高めておく。②定植日と植付方法…風のない晴天で温暖な日の午前中に…などなど

養分吸収の特徴と施肥 

第4表はスイカの本場、熊本県のJA鹿本のスイカの施肥基準。第5表は前作が果菜類で火山灰土壌の場合、第6表が前作が葉菜類で火山灰土壌でない畑の場合

スイカの生育を左右する要因 

第1図、第2図の写真が優良な苗。3号ポットで3葉苗、3.5号ポットで3.5葉苗が定植適期

病害虫対策

すくすくと育ってくれたと思ったら、突然しおれ始めて立枯れすることがあります。その予防法。

抗菌細菌を利用したネギ,ニラの混植  

一番困るのはスイカつる割病。定植時にスイカ1本につきネギ2本を両側に混植すると拮抗菌の働きで病原菌の繁殖を防ぐことができる

仕立て方

試してみよういろんな仕立て方

主枝の配置と誘引 

第1図に主枝の仕立て法とるつの配置法の4つのタイプを紹介。放任栽培でもいいが、第8図のようにつるを振り分ける方法がある(解説は「(6)新しい誘引方法」)

玉まわし

これはプロの技。果実の表面をきれいに仕上る方法を紹介。一般に球形からやや腰高になるのが正常。

玉まわし 

「(4)玉まわしの方法」をご覧ください。玉立て、スイカの敷物、日焼け防止、玉返しなど、立派な果実にするためには様々な手だてが必要。

追肥

おいしいスイカをつくるための、スイカ名人の秘伝を紹介

山形県村山市 門脇栄悦 

第4図で診断して、「3.つる先の角度を見て草勢コントロール」「4.葉面散布で果実品質をコントロール」をみて追肥の判断を

収穫

いよいよ収穫。せっかくここまで育て上げたスイカだ。一番おいしい時期を逃したくない。

適期収穫の判断 

「(3)成熟の進行に伴う果実の外的変化」を。「成熟してくると果粉が少なくなり、光沢が増す・・」「花痕部を指で押したときに弾力を感じるか、「メリメリ」と音を発する」「軽く手の平でたたくと、成熟すると「ポーン」と音がする」などなど

ナス

ナスは元々原産地の熱帯では低木状の多年草。丈夫な野菜で作りやすい。漬物、煮物、炒め物など料理の種類も多彩。

品種のいろいろ

個性的な、多種多様な品種がある。

カラー口絵「世界のナス、日本のナス」(その1)  (その2) 

長いナス、丸いナス、そして白いナスや縞模様のナスなど

主要品種の特性 

なじみなものだけでも千両2号、高知が主産地の竜馬、九州地方が主産地の筑陽が。そのほか大長形群、小丸形群、丸形群、米ナスなど。用途によっていろいろ作ってみたい

在来品種の特性 

水なすに始まって、仙台長、民田、窪田、でわこなす、十市などなど、各地方の個性的な品種が作り続けられている。白ナス、青ナスも

畑の選択と準備

家庭菜園といっても青枯病など連作障害が心配です。病気が出ない畑の選びかたと土づくりのポイント

露地栽培の土壌管理 

①3~4年以上ナス科作物を栽培していない畑を選ぶ。②根傷みをさせないために、耕土が深く排水のよいところを選び、稲わらや堆肥など有機物を十分施用する。梅雨明け後に石灰欠乏によすしり腐れ病が発生しやすいので石灰資材の施用も忘れずに

苗の選びかたと定植適期

第1花が開花直前のときが、定植後の栄養生長と生殖生長のバランスがとりやすい、定植適期の苗

育苗方式の比較 

第2図をご覧ください。一番左が良い苗。「下葉が黄化せずに葉面積が広くて葉肉が厚く、蕚はつやがあって濃い色で、節間が短くて草丈25cmほどで徒長せず、ややかたい感じのもの」

定植とその後の管理

定植は、早すぎると低温おために生育が停滞する。遅すぎると高温でしおれや青枯病などの病気が発生しやすくなります。スムーズに活着させるためのポイント

定植の方法と活着 

(6)定植時の第1花の向き…数本植えるときは、第1花の向きを揃えて定植する。その後の誘引作業などがしやすくなる。(7)定植後の潅水の注意点と第1花の扱い…定植後1か月は株元に十分潅水して根をスムーズに張らせる。第1花は、草勢が強いときは着果させ、弱いときは摘果する

ナスの育ちかたと仕立て方

「嫁に食わせるな」という秋まで収穫を続けるためにも、形や色づきのよいナスを収穫するためにも、樹全体に光がよく当たるよう整枝・剪定をして、樹勢を保ってやる必要があります。また、台風への備えも

仕立てのタイプと特徴(露地)

第2図の「ナスの着花習性」をご覧ください。第1花は7~9節の節間に着生し、以後2節おきに第2花、第3花と、順次上部へ着生して行く。主茎の第1花の直下の葉腋から強い芽が発生し、それが側枝となって、主茎と同じように第2節と第3節の間に第1花を着生させる…・・。第3図は「ナスの剪定・摘葉の基本」。仕立て方と支柱の立て方は第5図、第6図をの吊り下げ仕立てを基本に

レタス

サラダには欠かせないレタス。連作可能で、病害虫にも強い。サニーレタスやコスレタス、カキチシャなどレタスの仲間も増えてきた。

年間の管理

夏どり、春どりもありますが、ここでは一般的な冬どり栽培を紹介

冬どり栽培 

第4図が1月収穫、第5図が2月収穫の生育と栽培暦

育苗

購入苗を利用すればいいが、本格的に取り組みたい人は育苗から始めてみよう。手順は次の通り。堆肥を鋤き込んで苗床をつくる。播種3時間前にたっぷりとかん水し、条間10cmで2~3粒ずつ1cm間隔にまき、軽く覆土して鎮圧する。3~4日後に芽が出てくる。1週間後に1本に間引いて1か月そのままに

種子の発芽と処理 

(3)の「低温処理」:30分間の汲水後、乾燥させないように密閉できるプラスチック容器または袋に入れ、冷蔵庫に2日間入れる。

畑の準備と定植

苗の本葉が4枚になったら定植。堆肥を施して40~50cmと深く起こして畦をつくり、畦間30cm、株間15cmで定植する。本畑が乾燥していたら、定植3時間前にかん水しておく

定植時の環境条件と活着 

「(2)活着を左右する条件と対策」は必見。「(1)天候条件」によると、定植作業は夕方に行ない、夜間に根を伸長させ活着させることを基本としたい、とあります。「(2)土壌条件」は畑の準備や施肥法のポイントを解説。「(3)苗の条件」は、苗の選び方の参考になります

作型、作期、地域とマルチのねらい 

マルチには透明、黒色、シルバー、白黒ダブル、紙、生分解性など種類がたくさんあります。地温上昇、水分の蒸発防止、病害や雑草の発生防止など、目的にあわせて選択しよう。第2図は全面マルチ、第3図は平高うねトップマルチと平高うね全面マルチの方法を図解

べたがけ資材の被覆方法と栽培環境・生育 

べたがけ資材は保温、霜よけ、害虫防除などに効果があって利用すると便利。第1図ではかけ方のタイプを紹介しています。どんな資材がいいかな、と迷う方は第1表の「べたかけ資材の種類と特性」の一覧を参考にして下さい

ネギ

料理の素材としても薬味としても重宝するネギ。一うね作っておくと便利です。ネギといっても種類は多い。関東以北に多い根深ネギ、関西以西に多い葉ネギが代表的ですが、個性的な伝統品種が各地方で栽培されているので、そんな品種に挑戦してみるのもいい。家庭菜園では、乾燥に強くて作りやすい葉ネギと、株分けで簡単に増やせるワケネギ栽培がおすすめです。

圃場の準備

葉ネギは浅根性で根に多くの酸素が必要で、多湿にも弱い。だから、排水対策を十分行なう

「圃場の準備と施肥」 

(2)好適土壌と土つくり:有機物が多すぎると葉先枯れ症が発生するなど、土づくりの注意点を解説。(5)施肥量の決め方:有機質肥料の場合、1a当たり30kg(窒素成分で2~4kg)程度が適量

野菜 米ぬかボカシと米ぬか中心の施肥 

秋冬ネギの場合。7月下旬に生の米ぬかを1a当たり30kg入れて黒マルチをかける。8月下旬にうねを立てなおして定植する。赤さび病がでにくくなり、連作した畑でも栽培できるようになる

播種とその後の管理

苗を買ってきて定植するのが一般的ですが、直播でも大丈夫

「播種と発芽の揃い・安定化」 

播種量は、高温期は少なめに、低温期には多めにする。高温期には寒冷紗などで被覆して乾燥を防ぐ必要があります。その他、耕耘前、あるいは播種後にたっぷりと、むらなくかん水する、など発芽がそろって、スムーズに生育するための管理のポイントを解説

「灌水と土壌水分管理」 

低温期に向かうときは、草丈が20cmになったらかん水を少なめにする。高温期に向かうときは、草丈10cmのころに土壌水分が多いと立枯れ性の疫病が発生するのでかん水を控え目にする、など水管理のポイントを解説

ワケネギの栽培法

ワケネギは、ワケギではない。分げつネギの変種

「ワケネギ栽培」 

第1図のように、定植時期をずらせばほぼ一年中収穫できます。栽培のポイントは第1表に。ワケネギには夏用系統、秋冬用系統の2つの系統がありますが、一年中つくれる品種もあります。定植から収穫間での期間は、夏では80日、冬では120くらい

ネギの意外な効用

「ネギ*混植」で検索してみてください。たくさん記事が出てきます。

ネギの根圏微生物で土壌病害を防ぐ(その1)  (その2) 

拮抗微生物を利用したネギ、ニラの混植 

実はネギと混植すると、ダイコンの萎黄病、スイカのつる割病、キュウリのつる割病、トマトの根腐萎ちょう病などなど、他の野菜の土壌病害が防げるのです。ニラやタマネギでもOK

アスパラガス

アメリカ生まれのグリーンアスパラ。日本でも各地で産地ができ、食卓に並ぶことも多くなりました。播種から収穫まで年数がかかるのが難点ですが、1度数株植付けておけば数年は収穫できます

播種から収穫までの生育

春に播種して、翌年の春になって定植し、また1年養生する。収穫できるのは3年目の春から

アスパラガスの一生 

育苗から定植1、2年目から収穫開始以後までの栽培管理のガイダンス。第4図 「露地栽培における標準的生活環」は必見

苗つくり

苗が入手できればいい。あるいは、すでに栽培している人から株分けしてもらうのもいい

苗の種類、定植苗の苗の管理と活着 

「(2)播種から定植までの管理」:播種前に水に浸漬する。種子は汲水前の1.5倍の大きさになる。播種後は濡れ新聞紙などで覆って乾燥を防ぐ、など播種とその後の管理のポイントを紹介

畑の準備と施肥

アスパラは深根性なので、排水の良いところを選ぶ。また、肥料もたくさん必要です

土壌の改良 

堆肥はもちろん、ゼオライト、パーライトなどの無機質資材を施用するなど十分な土つくりが必要です。できれば地表下40cmはふかふかにしておきたい。アルカリ土壌を好むので、炭酸カルシウムなど石灰質資材も施用するとよい

密植栽培での生育と収量 

うね幅150~180cmで株間30cmの1条植えにするのが一般的。ここでは早期多収のために、ベッド幅をすこし広くして2列千鳥植えにする栽培法を紹介。2~3年目の収量が通常より1.5倍多くなります

定植とその後の管理

翌春に向けた株の養成法。まだ収穫できません

定植時期、苗と1年目の生育・収量 

定植後の生育に悪影響の出ない最低気温が確保でき、晩霜害などが回避できる時期に定植する

1年生株の施肥・灌水、摘心・茎葉管理と生育・収量 

定植後しばらくして側枝や擬葉が繁茂してきます。また、地下茎も大きくなってきます。追肥は定植30~60日から20~30日おきに株の周辺に少量ずつ(3)。こまめに灌水するほど地下茎も拡大し、新根の発生もよくなる(4)。(5)は摘心と茎葉の管理について解説

2年目以降の管理

毎年安定してアスパラガスを収穫するための、施肥とかん水、立茎、茎葉の刈取りなど栽培のポイント

年間の生育と養水分吸収、施肥の考え方 

アスパラガスは多肥と多灌水を好みます。肥料の利用率が高いのは4月ころなので、その時期に十分肥料が効くようにすることが肝心。その後も旺盛な生育にあわせて追肥と灌水を。翌年の春のアスパラの収穫量はこれで決まります

長期どり以外での立茎の判断と方法 

アスパラガスは春になって出てくる若茎を収穫します。しかし、いつまでも収穫を続けていると、萌芽しなくなって枯れてしまいます。翌年も収穫できるようにするためは、適当な時期に収穫を打ち切って、茎を伸長させて株を養成させる必要があります。これを「立茎」といいます。立茎については、「(5)立茎の実際 (1)作型と立茎時期」の露地普通栽培の記事を参照のこと

茎葉刈取り時期の判断と茎葉処理、刈取り後の床管理 

秋になり、気温の低下にともなって茎葉が黄化してきます。しかし、刈取りは急いではいけません。茎葉が80~90%以上黄化してから刈取ること。黄化して刈取るまでの期間が長いほど根に貯蔵養分が蓄積され、翌年春の収量が高まるのです

収穫法

おいしくアスパラを食べるには、収穫のタイミングが大事

収穫時期・収穫時刻・気象条件と若茎の品質 

(2)収穫時刻と若茎の品質、(3)気象条件と若茎の品質は必見。朝収穫したほうが糖含量が高く、日持ちも良い。第2表のように、天候が良いほど、総ビタミン量も可溶性糖含量も高い

エンドウ

さやエンドウと実エンドウがあります。暖地では夏や秋に播種して晩秋から春にかけて収穫できますが、通常は秋にまいて冬を越し、春の気温の上昇とともに収穫できる

いろいろあるエンドウの種類

実エンドウは関西でよく作られていて、豆ご飯はおいしい。若いさやを食べるさやエンドウには、絹さや、大さや、スナップエンドウなどいろんな種類がある。

作型と品種の取り入れ方 

大莢ではオランダが代表品種。スナップエンドウではグルメ、スナックなど。実エンドウでは、甘味の多いものから少ないものまでいろいろあります。昔から作られているウスイは中間型

畑の選定と準備

どんな土壌でもよく育つが…

圃場の選定 

南面の陽光のよくあたる畑がよい。深く耕しておくと、生育期間も長い。連作はしないこと。

うね作りと施肥、播種

実エンドウ、莢エンドウ、品種によって異なるので注意

養分吸収の特徴と施肥・土壌管理 

根粒菌が着生するので基肥窒素は5kg/10aとごく少なくてよい

うね幅・株間の決め方(実エンドウ) 

第1表に品種ごとの栽植密度を収録

うね幅・株間の決め方(莢エンドウ) 

第1表に品種ごとの栽植密度を収録

作畦と播種方法 

第1図のように畦をつくる。播種量は第1表を参考にして下さい。発芽後は30cm程度の仮支柱ネットを張ったり小竹をさして茎葉が倒れないようにする

播種後の管理

支柱を立ててネットを張る

支柱立て・誘引・マルチ・除草 

支柱は2~2.3mのものを用意する。誘引ネットは市販のキュウリ用でよい。第1図が一般的な方法だが、和歌山県のエンドウ産地では、第2図のように「つるの折り返し」をして、下の方から収穫できる工夫をしています

鹿児島県阿久根市 藤園健一さん 

風が強いところでは、第4図のように、ネット2条誘引をするとよい

インゲン

実を採って乾燥した完熟種も利用されていますが、ここでは未熟の若いさやを食べるインゲンの栽培法を紹介。早春に播種して初夏から夏にかけて収穫

品種の選択

つる性の品種と、わい性の品種があります

インゲンの主要品種と作型のとり入れ方 

つる性では色の濃い品種が多くなっていますが、一番おいしいのは何といってもケンタッキーワンダーだそうだ。わい性種は主に九州で作られています

つる性インゲンの栽培

2m以上の草丈になる。苗を購入して定植

圃場の準備と施肥、うねづくり 

エンドウなど他のマメ類よりは肥料は多めに。降雨による泥はねを防ぐため、マルチをした方がよい

定植、整枝、誘引 

定植2~3日前に潅水する。深植えすると根腐病が発生するので注意。第2図は合掌方式といわれる仕立て方
病気も害虫も風も防ぐ省力技術

防虫ネット被覆栽培 

第2図のようにパイプで支柱を立てて、第3、4、5、6図のように、防虫ネットで覆う方法。害虫の侵入が防げるだけでなく、風害も防ぐことができる

わい性インゲンの栽培

こちらは種子を直接播種する

圃場の準備と播種 

うね幅は130~140cm、うねの高さは20から30cm、株間は30~50cm、条間は36~45cm。植え穴に3~4粒播種して、間引きする

支柱立て、誘引 

第1図がフラワーネットを利用した誘引法、第2図がひもを使った誘引法

間引きと摘葉 

通常1穴2株仕立てとする。本葉が1枚展開するころ間引きする。第1図のように、開花始めの頃に、込み合って株内部への日当たりを悪くしている上位葉を、1株当たり4~5枚程度摘み取る。そのご、収穫が始まるころから、黄化した葉や下葉を順次摘み取って行く

収穫適期

野菜の中でも鮮度が落ちるのが早いので注意

鮮度保持技術 

莢の温度が上がらない、早朝から午前中の早い時間帯に収穫したい。収穫後は日陰に置く。

ソラマメ

タンパク質はもちろん、ビタミンA、B2、Cなど栄養価の高い豆。最近は、抗酸化物質があることで注目されている。かつては主食の一つとして利用されるほど重要な作物だった。10~11月に播種して、秋に播種あるいは定植して幼植物で越冬させて、翌年の5月ころに収穫します

品種の選択

豆の小さいものから大きいもの、莢の長いもの短いものといろいろ

主要品種の特徴と作型のとり入れ方 

江戸時代に導入された清水一寸、明治時代に選抜された河内一寸といった伝統品種から、最近育成された唐比の春(からこのはる)など代表的な品種11種の特性を解説

畑の準備と肥料のやり方

根の酸素要求量が多いので、しっかり耕し、堆肥を十分施用する

養分吸収の特徴と施肥 

第4表に10a当たりの施肥例がありますので、参考にして下さい。「(4)カルシウムの欠乏症」にあるように、カルシウムが欠乏するとしみ症とう生理障害が発生します。カリが多すぎてもカルシウムが欠乏しやすいので注意

土壌管理 

土壌の気相率を高めることと、根をしっかり張らせるために、しっかり深く耕して、堆肥を十分施す

うねづくりと播種

ソラマメの種子は低温を経過しないと花芽分化しない

うね幅・株間の決め方 

日当たりを良くしてやることが最大のポイント。だから、うねの方向は南北にするのが一番。うね幅は165~180cm、株間は40~50cmと広めにすると、後々の作業がしやすい

催芽・播種と育苗・定植 

種子は1a当たり1lくらい。小粒、傷、割れ、形のいびつなものを除く。冬の間に長期間寒さに当たれば十分育つが、そうでない場合は、(2)以下の催芽、低温処理、育苗などが必要

整枝・誘引

茎葉に十分光が当たるようにしてやるのがポイント

整枝・誘引と作業の省力化 

・一般的には第1図の二条U字仕立てにする。本葉5枚程度で主枝を摘心し、防風のためにテープ2本で株を両側から挟み込むようにして仮支柱をしておく。2~3m間隔に支柱を立て、テープを3~4段に張って、枝をU字方に誘引する。・第5図の写真のように、座って作業ができる省力的な仕立て方が一条L字仕立て法。第6図の右側の図のように、うねの肩部に播種して、主枝を摘心した後の第1節、第2節から発生した側枝をうね中央部まで誘導し、そこから立ち上げて誘引するもの。鹿児島県で最近開発された新方式。

摘花・摘莢

確実に着果させ、粒ぞろいのよい莢にする方法

摘花・摘莢と生育 

1枝に約60の花が咲くが、実を結ぶのは10さや程度。いつまでも花や莢を残していると、実の入らない莢がたくさんできてしまう。適期に摘花・摘莢してやると、品質のよい実を確実に着けることができる。1節当たり1花または1莢が基本。「(3)摘花・摘莢の実際」にその方法を解説

エダマメ

「自家用のエダマメをとりにいくときは鍋を火にかけてから畑に行け」といわれるほど、エダマメの味を決めるショ糖やグルタミン酸は収穫後急速に少なくなる。うまいビールを飲みたいなら是非とも栽培しておきたい

品種の選択

子実用のダイズでも十分おいしいエダマメが採れるが、エダマメ用品種もたくさんある。最近は茶豆はもちろん、黒豆もエダマメとして出荷され人気を呼んでいる

エダマメの主要品種の特徴 

第1表で北海道から九州までのエダマメ産地で栽培されている品種が一覧できる。今年は少し変った品種に挑戦してみよう

畑の準備と播種

ダイズは畦に作ったもの。ある程度土壌水分があるほうがいいい。そうでない場合は潅水できる畑を選ぶ。のちに中耕・培土をする場合は、うねの高さは0~10cm程度にする

土壌管理と施肥―畑地 

土壌管理と施肥―水田転換畑 

畑で作る人は前者を、水田転作で作る人は後者を参考に。前者の第2表に施肥事例。(3)の(2)に「野菜づくりの施肥感覚で肥料を施すと茎葉が繁茂して開花の遅れや不揃い、不稔粒をまねいて失敗することが多い」とあります。施肥量には注意

うね間、株間の決め方 

「(3)うね間・株間・決定要素」を。「一般にはうね幅54~60cm、株間18~20cm」「樹勢が旺盛となる直まきではうね幅60~75cm、株間25~28cm」

播種、育苗 

直播でもよいが、移植栽培をすると、鳥害が防げる、短稈になりやすく早く採れるなどメリットが多い。育苗する人は第1図を参考に。育苗期間は20~25日。

本圃の管理

中耕・培土 

食味がよく、莢の色のよいエダマメを収穫するためには、収穫直前まで根が活発に動いて、肥料養分を吸収しやすくしてやる必要があります。さらに雑草防除も必要で、そのために中耕・培土を行ないます。理想的には第4図のように2回(中耕・培土前のうねの状態は第3図)。やむを得ず1回の場合は本葉5~6葉の初生葉位置まで行なう。

灌水 

常に乾燥し過ぎや、過湿にならないようにしたい。特に子実が肥大する時期は、水分不足にならないようにする。第1図が最初の灌水時期のエダマメ

収穫・保存

できるだけおいしく食べたい。また、たくさん採れすぎたときには食味が落ちないように保存したい

食味成分の特徴とそれらの集積 

「(5)収穫後の食味成分の変化と保持対策」をお読みください。「種子のショ糖やアミノ酸は午後から夕方にかけて増加し」、香りも午後のほうがよい、そうだ。保存するときは気温の低い朝方に収穫して急速に冷却する。一般にはすぐ茹でて冷凍する人も多い

サツマイモ

ポリフェノールやアントシアニン色素の機能性で評判を呼ぶサツマイモ。気象の変動にも強く作りやすい野菜です

品種の選択

サツマイモというと、焼きイモに干しイモ、芋羊羹など、いろんな利用法があります。そして、それぞれの用途にあった品種があります

食用品種の特性と選択 

高系14号、ベニアズマなど主要品種の特徴と栽培のポイントを解説

加工用品種の特性と選択 

いま面白いのは加工用品種。アントシアニン色素がたくさんあって、色素抽出に使えるアヤムラサキ、ジュースに向いたジョイレッドなど、変わり種、いや変わりイモ栽培にも挑戦してみよう

苗の選び方と苗つくり

数本だけ植えるときは苗を買ってきて植えればいいが、1aも植えようとするとき、あるいは本場の特殊な品種をつくりたいというときは、苗つくりから始めてみよう

育苗条件と苗床管理 

太くて、節間が短く各節に根の原基があり、25~30cmの長さで7~8枚の葉がついた、硬くもなく軟らかくもない苗がよい。購入するときは、そんな苗を選ぼう。苗つくりに挑戦する人は(1)~(7)の手順で

サツマイモ―ムギ、自給野菜、家畜、裏山利用の自然循環 

苗床を作りたい方は、第4図「苗床の断面図」を参照のこと。これは、千葉県サツマイモ産地の篤農家の苗つくりです

うね作りと植付け/圃場の選択と施肥

3~5年と連作するに連れて形状も良くなり、食味もよくなります

植付様式 

多収をねらうなら水平植えか改良水平植えに。大きいイモが欲しいときは船底植えか斜め植えに。品質をねらうなら直立植えか釣針植えに。目的に合った多様な植付方式があります(第1図)

中間地普通栽培 

窒素が多いとつるぼけするのでひかえ目に。リン酸を多くすると食味も形状もよくなり、石灰を多くすると皮色がよくなります