庄内鶴岡では、月山周辺でとれたネマガリタケを「月山筍」と呼びます。直径1~2㎝、長さ15~20㎝の細長いたけのこで、6月の雪解けの頃から標高1000mほどの高地に群生します。月山は山岳信仰の場である出羽三山の一つで、この山の恵みを受けた月山筍は昔から珍重されてきました。 ネマガリタケは地下茎が深……
水郷の町として知られる柳川市は筑後平野の西南端に位置し、南は有明海です。筑後川や矢部川などが流れこみ、干潮時には広大な干潟が広がる有明海には固有の魚介類が多数生息し、特有の魚介の食文化が育まれてきました。 うみたけの粕漬けもそのひとつです。有明海に生息する二枚貝で、長い水管を食べます。うみたけを……
青森ではナラタケのことを「さもだし」「かっくい」などと呼びます。特有の味と香りが好まれており、加熱をするとつるりとした喉ごしになります。南部地方や津軽地方では、秋になると近くの山に行ってとったり、家族や知人からもらったりします。そうすると必ずつくるのがさもだしの塩辛です。 「塩辛」と呼ばれるのは……
庄内地方には、江戸時代中期から続く「大黒様のお歳夜」という行事が12月9日にあります。大黒様(大黒天)は、作物や財福を司《つかさど》る神様です。庄内民俗学会の春山進氏によると、昔は神仏も一年ずつ歳をとると考えられていたことから大黒天の年取りの祭り、つまり誕生日がお歳夜となります。また、大黒天が嫁……