小豆まんまは、見た目は赤飯ですが、もち米ではなくうるち米を使います。塩味のきいた小豆ご飯をふんわりとにぎっているので、口当たりがよく小豆の風味もおいしく、いくつでも食べられそうです。 遠野市は北上高地にあり周囲を山々に囲まれた盆地で、北上川の支流である猿ケ石川が流れる豊かな水田地帯です。小豆まん……
味噌をつけたおにぎりに青菜漬けを巻いて軽くあぶったもので、名前は武蔵坊弁慶からきています。源義経一行が兄・頼朝から追われ奥州の平泉に逃げる途中、羽前の国、現在の新庄から最上町の亀割峠に向かいました。青菜を巻いたおにぎりが袈裟で顔を覆い隠した弁慶の姿に似ていたからとか、食料調達に困った弁慶に出羽の……
香ばしい焼きおにぎりです。おろししょうがを混ぜた味噌が風味を一層よくしています。名前の由来は、上杉謙信がかたくなったおにぎりを剣先に刺して焼いて食べた「剣先焼き」がなまったという説や、「献残焼き」または「献餐焼き」と書き、献上した年貢の残りの米でつくった、という説もあります。魚沼地域では、残った……
このおむすびは、きな粉を秋の黄金の稲穂や米の花の黄色い花粉に見立て、よく花が咲いて豊かな実りがあるようにと、豊作の願いをこめたごちそうでした。田んぼの水口に柳の枝などで田の神様の依り代をつくり、豊作や無事を祈り、家族総出で親戚や近所の人と助け合って田植えをしました。田植えは田んぼが一番にぎわう「……
めはりずしは高菜の漬物で熱いご飯を包んだおにぎりで、三重県と和歌山県にまたがる熊野地方に伝わる郷土料理です。昔は茶碗3杯分のご飯を大きな葉1枚で包んだそうで、目を見張るほどの大きさからその名がついたとも、目を見張るほどのおいしさからついたともいわれます。 この地域ではどこでもめはりずしをつくりま……
吉野地域でつくられる「めはりずし」は高菜漬けが使われることが多いですが、県南の下北山村では特産の下北春まなの漬物を使います。下北春まなは、昔から下北山村の家庭の庭先でつくられてきた漬け菜で、収穫後はそれぞれの家庭で漬物づくりが行なわれてきました。 下北春まなの収穫は12月から3月で、昔は冷蔵施設……
山々に囲まれる県南東部の新宮市熊野川町は、山林が9割以上を占めています。林業の他、かつては石炭を掘る炭鉱も多く、山仕事などの弁当としてめはりがつくられてきました。 この地域のめはりは、ご飯に細かく刻んだ芯の部分を混ぜこみます。高菜のピリッとした辛さと、漬物特有のほのかな酸味と塩味で白飯がおいしく……
岩のりを贅沢に使い、おにぎりを真っ黒になるまで包む姿が「ばくだん」のようなので、こう呼ばれています。日本海に浮かぶ隠岐の島で愛されている代表的な郷土料理で、岩のりに醤油をつけてから温かいご飯に巻くと、のりの花が咲いて(のりが毛羽立つようになり)、磯の香りが立ち、しゃきしゃきとした歯ごたえが楽しめ……
香りのきのこと書く香茸は、秋になると山県郡内の雑木林に生える天然きのこです。県西北部の中国山地の山々に囲まれた地域では昔は背負子いっぱいにとれ、香りがよいので、保存して、おめでたい席や法事の会席の貴重な食材としていました。今は年々とれる量が減っているので、手に入ったときは大事に少しずつ楽しみなが……
刻んだ干しわかめをおにぎりにまぶしただけですが、天然の塩けと磯の香りが広がっておいしいものです。田植えや畑仕事には梅干し入りのわかめむすびに漬物があれば、他におかずは必要ありませんでした。普段の弁当や遠足にもよく持って行きました。 かつては、収穫したわかめはそのまま、または水でさっと洗い、天日で……
沖合を黒潮が流れる日向灘はかつおの宝庫で、深い入江をなす日向市細島は日向国一の港町として知られています。漁師たちはかつお一本釣り漁に出かけ、とれたての魚を細かく切って塩なますにして昼めしをとり、残った塩なますはご飯とこねておにぎりにして、動力船の熾火の灰の中で蒸し焼きにして持ち帰りました。このお……