赤飯というと小豆と小豆の煮汁で色づけしたもち米を蒸してつくることが一般的ですが、北海道では甘納豆を入れ、もち米を食紅で色づけします。小豆を煮る手間がかからないことから手軽につくれる行事食、ハレの食事として定着しています。最近では簡単に炊飯器で炊き、日常のちょっとしたときに食べることもあります。 ……
甘い赤飯は、おもに北海道、東北地方の一部でつくられています。赤飯が甘いのは、北国の極寒の冬を乗り切るエネルギーを補給するための生活の知恵といわれています。また、砂糖が高価だった頃、祭りや盆で集まった人へのもてなしの心を甘い味に宿らせたのです。もち米が砂糖でツヤツヤ光ってもっちりとし、2、3日して……
県北で田植えのときに持って行ったのが、南部せんべいにおふかし(赤飯)をはさんだまんませんべいです。農作業の合間にも手軽に食べられることなどが理由ですが、ご飯をはさんでなじませることでパリパリのせんべいがしっとりした食感になり、もちもちとしたご飯との組み合わせが楽しいものです。南部せんべいの黒ごま……
古くは冠婚葬祭では黒米で炊いた色つき飯が用意されていました。やがてそれに代わって豆の煮汁で染めたもち米が赤飯としてつくられるようになりましたが、秋田では伝統的には「てんこ小豆」と呼ぶささげの一種(黒ささげともいう)を用いてきました。小豆は胴割れしやすいことから、切腹に通じて縁起が悪いとする説もあ……
県西部、日高市で「おくんち」につくられる赤飯です。おくんち(御九日)とは秋祭りのことで、10月9日が初くんち、19日が中のくんち、29日をしまいくんちといいます。19日は高麗《こま》神社で獅子舞の奉納があり、各家では赤飯、煮しめなどを重箱に詰めて親戚などに配ります。正月や節句などの祝いごとに赤飯……
黄色いもちあわがきれいな赤飯は、山梨と埼玉の県境にある奥多摩町で食べられてきたものです。この地域は山間部で稲作ができないため麦やそば、あわ、きびなどの雑穀が多くつくられ、普段はひき割りの大麦を混ぜた麦めしなどの雑穀めし、秋にはさつまいもや栗を入れて楽しみました。子どもたちは甘いさつまいもだけを選……
赤飯はお祝いの料理と思われがちですが、神奈川県の一部の地域では伝統的に葬儀にもふるまわれてきました。 赤飯は赤色が邪気を払うとされ、赤米にそのルーツがあるといわれています。赤飯はデイクなどと呼ばれるお椀の形をした大型の容器に入れて葬儀に持参しました。神奈川の民俗地図(神奈川県立博物館)によれば、……
市販の甘納豆で甘く味をつけ、食紅で着色した赤飯です。甲府市、笛吹《ふえふき》市、甲斐市、南アルプス市や県北部などでつくられていますが、同じ地域でも甘くない赤飯を食べる家もあります。スーパーでも販売されており、和菓子屋では両タイプの赤飯を扱い、客に希望を聞いて提供しています。つくるのは普通の赤飯よ……
県東部の内陸で、石川県や岐阜県と接する大野市は「上庄《かみしょう》さといも」の産地です。畑は砂質で排水がよく、盆地で昼夜の温度差が大きいので、でんぷん含量が高く煮くずれしにくい里芋ができます。いも赤飯は、もちもちとした赤飯と、味がしみてねっとりと煮えた里芋が合わさり食べごたえがあります。 秋、浄……
県東部で京都府と接する丹波市でつくられる、もち米とうるち米を混ぜて炊いた赤飯です。名産の丹波栗と丹波大納言小豆がふんだんに入った自慢の一品で、巻きずしやさばずし、小芋の煮物などとともに秋祭りの食卓を飾ります。 秋祭りでは神輿《みこし》が町内ごとにまつられている氏神を回るので、当番に当たった家は、……