口絵

漬物塩嘉言(武蔵)<つけものしおかげん>

江戸の漬物問屋・小田原屋主人が,たくあん漬け,白うりの印ろう漬け・捨小舟など64種の漬物について,秘伝の漬け方を開陳。風趣ある絵と漬物名を詠みこんだ歌なども楽しい。家庭用・商売用いずれにも使える内容。

豆腐集説(武蔵)<とうふしゅうせつ>

豆腐製造者からの聞き書。豆腐のつくり方,多様な呼び方とその由来,加工品,料理などについて,図解をまじえて解説する。工程,器具,材料も具体的。江戸の豆腐は大きく,現在の約5〜6倍あったことなどもわかる。

豆腐皮(武蔵)<とうふかわ>

ゆば工からの聞き書。口伝で伝えられてきた技術で,手引書がみられないなか,ゆばの種類,つくり方,料理などを具体的に詳しく記した貴重な技術書。最も禁物な塩気(にがり),火加減の目安など,勘どころがよくわかる。

麩口伝書<ふくでんしょ>

小麦のふすまから,麩(ふ)を取り出す方法,それをもとにした焼き麩・観世麩・大名麩などのつくり方が記されている。麩の製造者の心おぼえのために書かれたものと思われる。生麩に小麦粉を加えた麩が4種,米粉を加えた麩が13種など,多彩。

仕込帳(三河)<しこみちょう>

現岡崎市八帖町の特産,八丁味(豆味)の醸造方法に関する希少な史料。いまの「大豆1石から200kgの味」と変わらない醸造技術だが,大豆・塩・水の仕込み割合を試行錯誤しながら安定させていく跡がうかがわれる。

醤油仕込方之控(播磨)<しょうゆしこみかたのひかえ>

播磨国龍野の有力な油屋による,江戸時代後期の淡口龍野油の製法書。大豆の煮出し汁「あめ」,甘酒,蜜,油粕からさらに搾った二番油(番水)などを加えてつくる,龍野油の独自の製法を詳述。

製塩録<せいえんろく>

海水をくみ上げ,塗浜に散布して塩をつくる揚浜製塩法の詳述と,能登地域の製塩にかかわる法令を抄録。それまでの製塩業を詳しくまとめるとともに,塩生産者「塩士」の待遇改善をはかろうとして記述された。