有機放牧型・牛乳販売の循環型酪農、牛のメタンガス低減

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農業技術大系・デジタル畜産編2023年版 を収録しました。
「畜産編」は2020年版(追録第39号)で紙による追録が終了しましたが、2022年版から「デジタル畜産編」へと刷新し、逐次、畜産情報をお届けします。

北海道広尾町の鈴木牧場(鈴木敏文さん)の経営事例を収録しました。草地(66.4ha)の除草剤と化学肥料ゼロ、良質な堆肥で育てた甘い牧草による、牛の健康第一の循環型酪農経営です。2021年、日本で初めて生乳・牛肉・鶏卵の3部門でJASオーガニック認証を取得。ECサイトで卵・豚肉加工品を販売。2023年12月にはノンホモジナイズ、低温殺菌の「十勝オーガニック牛乳」の販売も始めています(写真)。

牛のげっぷに含まれるメタンガスの低減法も収録しました。牛のメタンガスは世界の人為的温暖化ガスの一つとして批判の対象となっていますが、本稿では牛の栄養生理からみたメタンガスの意味も含めて解説。牛にカシューナッツの殻液を投与すると、牛のルーメン内のメタン産生古細菌の活動が抑えられ、メタンガスの発生が抑えられることがわかりました。鼓腸症の予防にもなり、飼料効率が約10%向上するとのこと(同じ量のミルクや肉を生産するのに、エサが10%少なくてすむ)。カシューナッツ殻液は、殻液を含む飼料添加剤(商品名「ルミナップ」)として製剤化されています。

2024/06/19