緑肥、堆肥入り肥料で減肥、地力アップ

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『農業技術大系 土壌施肥編 追録35号』をアップしました。近年は、化学肥料の高騰と、農耕地の地力低下が問題化しています。地力の低下は、高齢化や経営の大規模化が進んで施肥労力が減り、堆肥の投入量が不足しているためです。そんななか、今回は、現場で利用が進む緑肥と堆肥入り肥料(混合堆肥複合肥料など)に注目しました。

写真1 緑肥選びのために栽培した3草種4品種の生育(長崎県農林技術開発センター)
長崎県では秋作ブロッコリーの減化学肥料のために緑肥を活用。左がソルガム、中央手前から右奥に向かってエビスグサ、クロタラリアスペクタビルス、クロタラリアジュンセア。いずれも無施肥、播種量はクロタラリアのみ6㎏、ほかはどれも5㎏。この結果、マメ科の細葉系のクロタラリアジュンセアを選んだ。
写真2 牛糞堆肥を混合した混合堆肥複合肥料「エコレット236」(神奈川県農業技術センター)
神奈川県農業技術センターが朝日アグリア(株)と連携して開発。造粒作業が難しい牛糞堆肥と硫安、尿素、米ぬかなどを混ぜた(肥料成分は12-3-6)。窒素、リン酸とも、化学肥料と同等か同等以上の肥効を示し、圃場でも化学肥料と同等以上の生育を示した。
写真3 混合堆肥複合肥料によるレタスの栽培試験(畜産環境技術研究所)
市販されている混合堆肥複合肥料でレタスを栽培。牛糞堆肥を混合した混合堆肥複合肥料の真ん中2列(グリーンとサニー)と豚糞堆肥を混合した混合堆肥複合肥料の右側2列のレタスの生育は、有機質肥料と堆肥の慣行施肥の左側2列のレタスと遜色ない。

混合堆肥複合肥料などの堆肥入り肥料はペレット成型され、堆肥より扱いやすくなっています。有機物(炭素)の残存率も有機化成と比べて多く、土つくり効果もありそう。価格も既存の有機化成の15~30%安。緑肥も含め、省力的な有機物施用で地力アップが期待されます。

2024/05/29