農村力発見事典 『季刊地域』の用語集 59ワード

農村力発見5 自治力 愛するむらは放っておけない

田園回帰

自治力

人を増やす、増えていく

季刊地域30号(2017年夏号)116ページ


 欧米の先進国と違って、日本は首都圏への人口集中が依然として続いている。2020年には東京オリンピックもあり、地方から東京への人の流れはいささかも揺るがないように見える。だがその底流では、東京(大都市圏)から地方への新しい人の流れも起き、注目されている。

 島根県中山間地域の小学校区(218地域)を詳細に分析したところ、2008〜13年の5年間に、3分の1を超える地域で4歳以下の子供の人口が増加していた(島根県中山間地域研究センター調べ)。しかも「田舎の田舎」とでもいうべき山間部や離島に、増加地域が目立った。かつて農山村への移住者には60代の「定年帰農」が多かったが、近年はこれに加えて、20代夫婦や、30代夫婦と子供といった子育て世代のIターン・Uターンも増えてきた。その結果、一見過疎化が真っ先に進みそうな山間部や離島で社会増を実現している地域も少なくない。

 こうした若い移住者は「中途半端な田舎」ではなく、人・自然・伝統のつながりがまだ息づいている「本格的な田舎」に向かう傾向があるという。その背景には、暮らしのすべてを消費によってまかなう都会の暮らしから、人や自然とつながる農山村の暮らしへの価値転換がある。

 田園回帰は、狭義にはこのようなIターン・Uターンで都会から農山村に移住する新しい動きを指すが、広義には、東京一極集中の成長型社会から農山村と都市が共生する脱成長型社会への価値観の転換、時代のターニングポイントを指す、と、捉えることができる(小田切徳美氏による)。

→「田園回帰を時代のターニングポイントに」21号(2015年春号)、「『消滅しない地域』の条件」28号(2017年冬号)

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