農村力発見事典 『季刊地域』の用語集 59ワード

農村力発見5 自治力 愛するむらは放っておけない

地域運営組織

自治力

困りごとから「むらの仕事」へ

季刊地域30号(2017年夏号)111ページ


 2000年3月で3232あった全国の市町村数が16年10月時点で1718まで減少した「平成の大合併」。その結果は「『合併して良かった』という声はほとんど聞こえず、むしろ、『住民と行政との距離が遠くなり、周辺部が寂れ、地域間格差が拡大した』」(09年、全国町村会意見書)。そうしたなか生まれた地域運営組織とは、「地域の生活や暮らしを守るため、地域で暮らす人々が中心となって形成され、地域課題の解決に向けた取り組みを持続的に実践する組織。具体的には、従来の自治・相互扶助活動から一歩踏み出した活動を行っている組織」(総務省)。なお、合併に至らなかった市町村でも、合併協議と前後して設立されたものもある。

 全国の設置数は、609市町村において3071組織となっており、地域運営組織が存在しない市町村でも約90%が必要性を認識しているという。活動範囲はおおむね昭和の合併前の町村エリア(旧村)または小学校区。86%が任意団体で、7%がNPO法人。地域の将来ビジョンや課題の解決方法を検討する協議機能と、地域の課題解決への取り組みを実践する実行機能の両面を有している。協議機能と実行機能を同一の組織が合わせ持つ「一体型」と、協議機能をもつ母体組織から熟度の高い実行組織を切り離した「分離型」がある。地域運営組織は公民館、自治会、町内会を母体とすることが多く、設立当初は協議機能を主とした一体型からスタートし、事業が進展した場合は機動的な意思決定や事業リスクを切り離す等の観点から分離型を選ぶことも多いと考えられている。

 地域での名称は地区経営母体(山形県川西町)、地域自主組織(島根県雲南市)、集落活動センター(高知県)など多様で、活動内容としては、高齢者交流サービス、声かけ・見守りサービスなどの高齢者の暮らしを支える活動が多く、その他に体験交流事業、指定管理による公的施設の維持管理、特産品の加工・販売、資源回収など、経済活動を含む幅広い活動が行なわれている。また農協が閉鎖しようとしたガソリンスタンドや店舗を引き受けたり、簡易郵便局を開局した組織や、学童保育に取り組んでいる組織もある。

 島根県での事例をみると、雲南市鍋山地区では交流センターに拠点を置く地域運営組織が市の水道検針を受託、高齢者の見守りとの合わせ技である「安心生活見守り事業」を実施している。邑南町布施地区では、集落、自治会、公民館が一体となって二つの集落営農組織を立ち上げ、独自の人口予測にもとづいてUIターン就農による「田園回帰」を呼びかけている。浜田市弥栄自治区では、「あるもの探し」の地元学を行ない、高齢女性がつくる多品目少量生産の野菜や草花を、住民の4割以上が独居高齢者で買い物困難となっている同市緑ヶ丘団地に運んで、「軽トラ市」をスタートさせた。

→「『人口減少に立ち向かう市町村』取材の現場から」22号(2015年夏号)、「特集 どれがいいの? むらの仕事のカタチ」29号(2017年春号)

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