農村力発見事典 『季刊地域』の用語集 59ワード

農村力発見1 地域資源にあふれている

カヤ

地域資源

荒れ地だって、活かせば宝

季刊地域30号(2017年夏号)70ページ


 茅葺き屋根によく使われてきた草のことを、総称で「カヤ(茅・萱)」と呼ぶ。乾地に生えるススキと湿地を好むヨシとがその代表格だが、チガヤやオギ、カリヤス、スゲなどもすべて「カヤ」。かつては屋根材のほか、田畑の肥料、牛馬のエサとして、農村ではなくてはならない草たちだった。カヤ場はたいがい入会地で、草山の維持に欠かせぬ春先の野焼きは、集落総出の一大仕事だった。

 だが、日本の家の屋根が茅葺きからトタンや瓦に代わり、自給していた肥料や飼料も購入が当たり前になるに連れて、カヤの活躍の場は減少。カヤ場も、昭和30年代以降次々と植林されたり、ゴルフ場やスキー場に変わって、多くが姿を消していった。

 時がたって現在。事態は進み、今度はカヤ不足が深刻化しつつある。古民家や文化財など、貴重な茅葺き屋根を修復したいと思っても、茅葺き職人がまとまってカヤ束を入手できないのだ。いっぽう年々増える荒れ地や耕作放棄地には、カヤはいくらでも生えてくる。この実態に目を付けた福井県小浜市中名田地区の人たちは、耕作放棄されていた計4haの田でカヤの栽培を開始。といっても普段は管理は必要なく、年に1回、雪が降る直前に集落みんなでカヤ刈りするだけ。1500束ほどを積んで乾燥させ、年に120万円以上を売り上げている。

「カヤを田畑に入れると作物がうまくなる」というファンの農家も意外に多い。土にすき込むと、ゆっくり分解しながら腐植を増やす。ケイ酸含有量が多いせいか、丈夫な作物ができる。暗渠材・堆肥材・マルチ材にも適する。

 やせ地でも生え、生長量が大きいので、バイオマス資源としての生産性も高い。ペレット化して燃料利用、発電利用を目論む人も出てきている。

「特集 地域資源だ 荒れ地のカヤ」19号(2014年秋号)

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